悪のカリスマ トレンド
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2025.11.30 19:00
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映画『爆弾』鑑賞。
原作は既読でちょっと前に再読もした。その圧倒的な面白さと熱量に打ちのめされてきただけに、実写化に対する期待と不安は入り混じっていた。半端な出来なら容赦なく批判するつもりで劇場へ足を運んだが、それは杞憂だった。面白い映画だと思う。
飽きるほどに言われていると思うのでほどほどにしておくけれど、スズキタゴサクを演じた佐藤二朗氏の演技について触れざるを得ない。 世間ではその怪演が称賛されているようだが、僕も概ね同意する。スズキタゴサクというキャラクターの「核」を崩さずに演じられる役者として、ベストに近いキャスティングだったと思う。
ただ、原作ファンとして少し厄介なこだわりを言わせてもらえば、このキャラクターを安易な「悪のカリスマ」として消費したくはない。ジョーカーやハンニバル・レクターになぞらえるのは簡単だが、スズキタゴサクの本質は、社会の底に澱む「しょうもない中年男性」風である点にこそある。佐藤二朗氏はその「しょうもなさ」を見事に体現していたが、演技の端々に「実は知能犯である」というニュアンスが見えており、それは正しいのだがバランスの難しさを覚えた。もう少し「ただのノイズ」として扱われるような軽薄さがあっても良かったかもしれない。
構成と演出は素晴らしい。 原作の持つ複数の視点を整理し、要素を削ぎ落とすことで、2時間強の上映時間を感じさせないソリッドなサスペンスに仕上がっている。特に取調室での類家との心理戦は見事だった。地味になりがちな密室劇を、カット割りやテンポの良さで緊迫感ある攻防へと昇華させている。息つく暇もないとはこのことだ。
一方で、爆発シーンのCGなどがやや作り物めいて見えたのはご愛嬌か。タイトルが『爆弾』である以上、もう少しこだわっても良かった気はするが、本作の本質はスペクタクルではなく、人間の偏見や悪意と対峙する心理戦にある。そう割り切ればノイズというほどではない。
原作よりも人間味があるニュアンスの物語に調整されている感じもある(ちょっと言語化が難しい)が、根底に流れるテーマは損なわれていない。小説の映画化として、極めて誠実で、かつエンタメとして強度のある良作だった。 November 11, 2025
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