『フォートナイト』『APEX』をTwitter分析!戦略、技術、運……勝負の快感が人を虜にする 2021.09.14 18:00 UP

バトルロイヤルゲームの中でも昨今著しい人気を誇るFPS・TPS。
FPSはファーストパーソンシューティング(一人称視点)を意味し、主人公と同じ視点で操作する対戦シューティングゲームを指す。TPSはサードパーソンシューティング(三人称視点)で主人公の後方視点から操作する対戦シューティングゲームを意味している。
この言葉を初めて聞いた、また初めて意味を知ったという人も少なくないだろう。
しかし、以下の作品にはご存知のものもあるのではないだろうか。

『Splatoon』
『PlayerUnknown's Battlegrounds』(以下、『PUBG』と表記)
『荒野行動』
『Call of Duty』(以下、『CoD』と表記)
『Apex Legends』(以下、『Apex』と表記)
『Fortnite』
『VALORANT』

こちらは現在人気のFPS・TPSの一例かつ、eスポーツタイトルともなっている作品たちである。いずれのタイトルにも多くの支持を得る人気のプロチームがいたり、圧倒的な影響力のある人気ストリーマーや配信者などがいたりする。
eスポーツ自体への注目も上がっているいま、大会やイベントの配信時には数千、数万もの人々が視聴するほどだ。




いまや大人だけでなく子どもたちもドはまりするバトルロイヤルゲームの数々。特に2020年、コロナ禍の影響やYoutubeの盛り上がりを受け、ユーザー数や認知の数が劇的に増えた作品として『Apex』『Fortnite』が挙げられる。

『Apex』『Fortnite』は、先月公開の『Among Us』分析レポートでも参考にした倭国経済新聞の記事(6月15日)の通り、ユーザー数億越えの「億ゲー」と称され世界中からの人気を有すタイトルだ。
(参考記事▶「億ゲー」10作品突破:倭国経済新聞

今回の倭人速報Twitter分析では、2020年8月~2021年8月半ばまでを集計期間とし『Apex』『Fortnite』の2タイトルを対象にツイート数のデータを算出。ツイート数の推移から、両タイトルの話題や人気度合いの流れについて分析を行っていく。

調査の結果、面白い事実が見えてきた。


倭国での対戦シューティングゲームの変遷


Twitter分析を見ていく前に、まず倭国における対戦シューティングゲーム、及びバトルロイヤルゲームの略歴を簡単に説明したい。

昨今倭国での人気が高まり、eスポーツの大会も国内で徐々に増えつつある対戦シューティングゲーム。しかし本来倭国では対戦シューティングゲームはマイナージャンルだった。

2000年代ごろ、ユーザー数は決して少なくなかったが、海外と比較するとその人気具合は完全に引けを取っている状態だった。主なシューティングゲームはほとんどが海外産だったことも、倭国で広まらなかったひとつの要因と考えられる。
加えて当時の倭国では一般層にはRPG、ゲーマー層には格闘ゲーム系が流行っていたため、対戦シューティングゲームの人気は下火となってしまっていたことも理由のひとつだろう。

そんな中、倭国で対戦シューティングゲームを流行らせた立役者が、任天堂から発売された『Splatoon』である。
現在は『Splatoon2』まで発売されており、シリーズの累計発売部数は1600万部以上。2021年2月にはシリーズ3作品目の『Splatoon3』が2022年にリリース予定であることが発表された。
2018年に独自のeスポーツトーナメントサーキットを設立しており、「NPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン2」や「スプラトゥーン甲子園」などが開催されている。


次に対戦シューティングゲームに加え、バトルロイヤルを浸透させたタイトルが『PUBG』。2021年の現在、プレイヤー人口は減りつつあるが、現実を忠実に再現したPUBGの世界観は他作品にはない魅力として今もなお人気が高い。
以降、『CoD』や『荒野行動』など本格的にFPS・TPSのタイトルが倭国で人気を博しはじめる。

長い間FPS・TPSとして根強い人気を誇っていた『PUBG』の人気を上回る作品として登場したのが『Fortnite』。2017年のリリース時、もともとプレイヤーvsモンスターのタワーディフェンス型のゲームだったためそこまで話題とならなかったのだが、翌年の2018年にバトルロイヤルモードがアップデートされ、さらにその後のクリエイティブモードの誕生から一気に人気をさらっていくこととなる。

2020年になってからも『Fortnite』の人気の高さは継続中であり、当時のTwitch最高同時視聴者数ランキングをまとめた動画がからもその様子がうかがえる。


『PUBG』に始まったバトルロイヤル&対戦シューティングゲームの覇権争い。そこに参戦したのが、2019年初にリリースされた『Apex』だ。『Apex』は海外と倭国で注目されるのに多少のタイムラグがあった。このことは現在『Apex』が海外と倭国で人気の熱に差がある要因のひとつとも考えられる。

『Apex』はリリース当初にチーターが多発してまともな試合にならなかったことが問題となり、多くのプレイヤーを遠ざけた。複数回にわたり対策がとられはしたが、チーターは依然として多く、なかなか人気と信頼を取り戻すまでに至れていない。
(参考記事:▶『Apex Legends』にて、すでに1万6000以上のチーターをBANしたとの発表。ユーザーの信頼を得るための運営続けるとコメント | AUTOMATON

そのため現在でも海外で『Apex』は他タイトルに比べるとやや盛り上がりに欠けている面がある。しかし反対に、ある程度対策が施された後に流行った倭国においては安定した人気を勝ち取れているというのが『Apex』の人気の形だ。
また『Apex』はにじさんじやホロライブなどのタレント、渋谷ハルなどのVTuber、俳優・松坂桃李や速水もこみち、お笑い芸人からは霜降り明星など、多くの人気タレント・芸能人、配信者がゲーム実況をしており、その点も倭国で多くの人気を獲得した要因として大きいだろう。







格闘ゲームの陰に隠れたマイナージャンルだった対戦シューティングゲーム。
しかしこの10年の歳月で多くのタイトルが登場し人気を拡大させ、果てにはeスポーツ大会も多く開催されるようになるまでに至った流れを、この記事で少しでも理解していただけたら幸いである。


『Apex』と『Fortnite』、それぞれのゲーム性


では次にいよいよ、上記の中でも頭一つ分ぬけた人気を勝ち取った2つのタイトル、『Apex』『Fortnite』のツイート数の推移を見ていこう。


こちらのグラフにある通り、2020年8月~2021年3月までの間に、『Apex』と『Fortnite』のツイート数が逆転している様子が見て取れる。
だが一言に「逆転している」と言っても、『Fortnite』のツイート数が減ったというよりは『Apex』のツイート数が徐々に増えていったという言い方が正しい。

ではなぜツイート数は逆転したのか。どうして『Apex』は『Fortnite』の人気を上回れるに至ったのか。
それは2つのタイトルそれぞれの「ゲーム性」に要因があると考えられる。


●『Fortnite』の目指す「メタバース化」


『Fortnite』をプレイしたことがない人でもこの名前を知っている場合、それはゲームの大会や有名な配信者というよりも、ゲーム内でのライブ開催や映画上映がキッカケであることが多いのではないだろうか。
現在Epic Gamesは、『Fortnite』を純粋な対戦シューティングゲームからメタバースにしようとしている動きがあるのだ。
(参考記事▶フォートナイトの急成長、テックジャイアントが注目する「メタバース」とはなにか

上記のグラフで目立つ8月7日42,935tweetsを叩き出したこの日も、米津玄師がライブを行ったものでメタバースの企画のひとつである。ちなみに2021年の今年は同日にアリアナ・グランデがライブを行っている。
『Fortnite』はゲームの方針としてクリエイティブモードや映画上映、マーベルとのコラボなどを多く企画することで、メタバース化を基軸としてゲームのアップデートを進めている。



メタバース化によるクリエイティブモードの登場、有名人や映画などのコラボが盛り上がりが見せた2020年。日常的なツイート数は現在と変わりはしないものの、イベント時にはツイート数が著しく跳ね上がっており、話題が大きく取り上げられていたこともうかがえる。

しかし2021年に入ってからはその様子も落ち着き、大きな盛り上がりはあまり見られなくなってしまった。今年2021年の8月7日に行われたアリアナ・グランデのライブも、海外ではより大きく注目されてはいたようだが、倭国では去年に比べると12,178tweetとあまりツイート数は伸びなかった。
ゲーム性の面でもメタバース化をメインで進められているということもあり、純粋な対戦シューティングゲームとしてゲームを始めた人々は少し困惑と物足りなさをを感じているいるようだ。

特にクリエイティブモードはゲームに慣れ親しんだものでもプレイが難しく、攻略動画を見たとしてもその難易度は高い。最初は話題を呼んだコラボやイベントも、人々の飽きにより大きな話題を呼ぶことがなくなってしまったというのが現在の『Fortnite』の人気の停滞の要因と考えられる。
しかし人気が下がったということでもない。去年と今年で盛り上がりに違いは見られるが、かといって日常的なツイート数自体には減少傾向は見られない。
ゲームとしての人気も未だ高く、プレイヤー人口が減ったというわけではないだろう。だが『Fortnite』はいまや、ゲームに慣れていない者や純粋に対戦シューティングゲームを求めている新規ゲーマーにとってはハードルの高いタイトルとなっているかもしれない。

その反対に、2020年下半期からめきめきと倭国での人気を伸ばした『APEX』は、新規ユーザーの獲得に向いているゲーム性であると言えるだろう。


●『Apex』初心者にもプレイしやすいゲーム性


『Fortnite』の目指すメタバース化とは反対に、『Apex』は純粋なバトルロイヤル&対戦シューティングゲームとしてアップデートを常に進めてきた。

グラフ上で決定的にツイート数が入れ替わったのは11月ごろ。23,967tweetsを出した11月6日は『Apex』がシーズン7にアップデートされ、そのことで大きな話題を呼んだようだ。
その後も定期的にツイート数が増大している日は『Apex』のアップデート日と一致しており(⑦~⑩)、ほぼほぼツイート数=アクティブユーザー数であることが見てとれる。

また『Apex』が倭国で人気になった要因の一つとして、やはり人気配信者・Vtuberの存在は無視することはできない。
Vtuberや配信者のゲーム実況者は『Fortnite』『Apex』共に多いが、先ほども触れたとおり、ゲームの人気度の上昇に彼らの影響がより出ていると思われるのは『Apex』である。



最近記憶に新しいのは、8月4日大人気YoutuberヒカキンがVtuberになったことだ。ヒカキンがそのような新しい方針に変えたのは、Vtuberかつ『Apex』を共に遊んでいるプレイヤーとの掛け合いを考えてのこと。
この日は『Apex』が新シーズンにアップデートされた日でもあり、ツイート数は32,527tweetsにも上っている(グラフ上⑩)。アップデートでの注目はもちろん高かったが、人気配信者のこのような転向もうけ、8月4日のツイート数はこれほどまでに伸びたと考えられる。



このようにヒカキンやVtuberなど、特に若者からの人気が高い配信者たちは『Apex』に集まっている傾向がある。
そしてこの傾向が『Apex』のもつ「より初心者が始めやすいシステムとなっている」ゲーム性と相性が良く、新ユーザー数の獲得につながっているとも言えると考えられる。配信の影響を受け新しくゲームを始めるプレイヤーがどれほどいるかは定かではないが、全く関係がないとは言えない。
また『Apex』には魅力的なキャラクターたちが多数おり、ゲームに慣れ始めたプレイヤーの中ではキャラクターたちに惹かれよりハマり、プレイし続けている人などもいるという。

『Apex』は配信者の影響、また分かりやすいゲームシステムから、非常に新プレイヤーを集めやすく、また持続させやすい特性を持っており、そのため現在までの高い人気を獲得できたのだと言えるだろう。


とはいえバトルロイヤル&対戦シューティングゲーム界でいまだ高い人気を誇っている『Fortnite』。
倭国国内で勢いを増し続ける『Apex』。
どちらか片方だけでなく、両方プレイしているユーザー数も多く見られる。
また最近新たに登場した『VALORANT』も破竹の勢いで人気を高めており、さっそく倭国国内でeスポーツの大会が開かれることに。

プレイしたことがない人々でも名前を聞く機会が増えたバトルロイヤル&対戦シューティングゲームの数々。
これからの動向にますます目が離せない。


(倭人速報編集部:座布団)

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