滑走路 トレンド
0post
2025.11.29 03:00
:0% :0% (-/-)
人気のポスト ※表示されているRP数は特定時点のものです
『ターミネーション・ショック』ニール・スティーヴンスン
冒頭が素晴らしい。オランダの女王が空港に着陸しようとしたら滑走路に豚の群が飛び出してきて着陸失敗の大事故になるんだけど、豚の群を追ってた男に救われる。彼は巨豚を追うエイハブ船長みたいな…
#読書メーター
https://t.co/af0UM6AtXo November 11, 2025
SKY103
羽田神戸
SKY106
神戸羽田
日頃FR24のリプレイ見ながらセルフベクターして飛んでるんですが、復路の羽田で滑走路閉鎖(28日午前)が起きたこと知らずに飛び、ILS乗る寸前でアプローチがキャンセルに。結果、25分遅れで到着。
なお、迂回後は燃料の関係で、1回GAしたら即ダイバードでした...。 https://t.co/4QSUVR9vrv November 11, 2025
◆第4章 「境界線を越えるとき、人は何を手放し何を守るのか」
NGO説明会の会場は、都内の小さな市民センターの会議室だった。
照明は少し暗くて、机は古く、飾り気のない場所だったけれど、胸の奥では静かに炎が燃えていた。
緊張で手のひらが汗ばむ。
周りを見渡すと、学生、医療職、元外交官、退職後のボランティアらしき人など、様々な背景の人が座っていた。
けれど、誰もがどこか同じ表情をしていた。
――「見てしまったものに背を向けられなくなった人」の表情。
講師として登壇したのは、40代ほどの医師・藤堂遥。
スライドに映された写真の向こうには、砕けた建物、土埃、テント、そして無数の人の顔。
「ニュースで見る風景」ではなく、「そこで暮らす人の時間」だった。
藤堂は静かに語り始めた。
「支援の現場では、正しい選択ができない日なんていくらでもあります。命を救えたことより、救えなかったことのほうが、ずっと心に残ります」
その声は傷ついているのに、折れてはいなかった。
「だけど、だからこそ私は思うんです。
“全員を救えないからやらない”という考えより、
“せめて今目の前の人を救う”という行動のほうが、ずっと世界を動かす。」
一言一言が胸の奥に沈み込んでいく。
私は気づかないうちに涙腺が熱くなっていた。
講演後の質疑応答で、若い男性が手を挙げてこう言った。
「結局、現場に行っても世界は変わらないんじゃないですか?」
挑戦的というより、諦めと恐怖の混ざった声だった。
藤堂は即答しなかった。
数秒の沈黙。
そして穏やかな笑みを浮かべて言った。
「世界が変わるのは、結果です。
人が行動するのは、理由じゃなく願いです。」
私は呼吸が止まった。
まるで自分のための答えのように響いた。
説明会が終わったあと、配られた資料を胸に抱えたまま外に出ると、冬の空気が頬に刺さるように冷たかった。
遠回りして帰ろうと歩き出したとき、スマホで音楽アプリを開いた。
ランダム再生で流れたのは、偶然にも10代の頃に支えられたあのバラードだった。
〈優しさよりも強さでもなく 迷いながら生きるその姿が希望になる〉
立ち止まった。
歌詞カードでも見ているかのように、言葉が胸の中でくっきりと響いた。
迷って、苦しんで、泣いて、それでも歩く姿。それ自体が誰かを救う。
そう思った瞬間、胸の奥で「世界へ行く」という決意が形になった。
翌日、私は病院のロッカールームで三浦さんに声をかけた。
「国際医療支援の研修に応募しようと思っています」
三浦さんは驚いたように目を丸くした後、いつもの柔らかい微笑みに戻った。
「すごい決断ね。でも帰ってこられる?心を壊さずに」
心配でも否定ではない言い方だった。
けれど病棟全体が応援ムードだったわけではなかった。
主任は書類を受け取りながら、淡々と言った。
「現場は人手不足です。今の時期に離れるのは無責任では?」
私は何度も喉を開きかけては閉じた。
正論だった。
でも、正論だけで動いてきたわけじゃない。
正しさの近くにある冷たさにも、私は触れてきた。
沈黙が耐えられなくなる直前、私は静かに言った。
「私が行く理由は、逃げるためじゃなくて、向き合うためです」
震えた声を、情緒と捉えられたか、意思と捉えられたかは分からない。
でも私の中では確かだった。
数週間後、研修参加の正式決定のメールが届いた。
支度をして、旅券を更新し、ワクチンを打ち、家族にも職場にも説明をした。
病院の同僚たちがサプライズで寄せ書きをくれた。
そこにはこう書いてあった。
「迷う智優が好き。迷い続ける智優でいて。」
涙がにじんだ。
迷うことは弱さじゃなかった。
迷いを抱えながら歩く姿そのものが――あの日の歌が教え続けていた希望だった。
そして出発の日の朝。
まだ陽が昇りきらない空港のロビーで、私は搭乗券を握りしめた。
滑走路の向こうの空が少しずつ明るくなる。
世界は、痛みと希望が入り混じった巨大な混沌のまま私を待っている。
胸が高鳴っていた。
怖かった。
それでも、心の中で確かな声が聞こえた。
――行け。
――見てこい。
――世界の涙を、遠いもののままにしないために。
私は深呼吸し、前へと歩き出した。
扉は、もう開いていた。 November 11, 2025
<ポストの表示について>
本サイトではXの利用規約に沿ってポストを表示させていただいております。ポストの非表示を希望される方はこちらのお問い合わせフォームまでご連絡下さい。こちらのデータはAPIでも販売しております。



