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2025.12.01 14:00
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東浩紀氏の**「誤配(ごはい)」**は、彼の哲学の中心概念の一つで、「間違った宛先に届き、間違って理解されること」を指します。
この概念は、通常はネガティブな意味を持つ「誤配」を、創造性やイノベーションの源としてポジティブに捉え直す点に特徴があります。
誤配の核心
* 定義: 手紙などが意図した相手ではない間違った宛先に届き、本来の意図とは異なる形で間違って理解されること。彼の初期の著作である『存在論的、郵便的』から続く重要なテーマです。
* 価値: 意図や予測を超えた偶発的な出来事やコミュニケーションの失敗の中にこそ、新しい発想や希望、創造性の可能性を見出します。
* 自由との関係: 東氏は「誤配とは自由のことである」とも述べており、手紙の送り手が(予測可能な応答に縛られず)自由であることを意味します。
誤配がもたらすもの
東氏によると、「誤配」は以下のような働きをします。
* イノベーションとクリエーションの源: 人々が必要だと認識していないものや、受け手にとって「無用」に見えるものが、誤配されることで思わぬひらめきや創造的な展開につながることがあります。
* 予測の外部: 誤配のない世界では、人は自分が想定した以上の出来事に出会うことはなく、真の意味での思考や創造性が生まれないと考えられています。「正解」を求める人生から「誤配」を愛でる人生への転換を促します。
* 能動的な営み: ゲンロンカフェの運営など、一見無駄話や無駄な情報に見えるものを通して、観客に思わぬ思いつきを与える**「誤配=出来事」**を能動的に生み出す場づくりを実践しています。
つまり、東氏の哲学における「誤配」は、意図的・予測的なコミュニケーションや等価交換の論理の外側に位置する、予期せぬ豊かさと新たな可能性を開くための鍵となる概念です。 December 12, 2025
面白い視点ですね。「コミュニケーション能力で生き残ったのに、悩みの種もコミュニケーション」というパラドックス、そして「人間同士が直接話さなくなる未来」。
東浩紀の**「誤配(ごはい)」**という概念を補助線にすると、そのモヤモヤは非常にクリアに説明できます。
結論から言うと、**「私たちは『誤配(ズレ)』のおかげで生き延びたが、今はその『誤配』を『バグ』だと勘違いして除去しようとしているから苦しい」**ということになります。
以下、3つのステップで解説します。
1. なぜコミュニケーションが「課題」になるのか?
答え:コミュニケーションの本質は「伝わること」ではなく「ズレること(誤配)」だから。
多くの人は、コミュニケーションを「私の頭の中にあるAという情報を、正確にあなたの頭に移動させること(通信)」だと思っています。だから、正確に伝わらないと「失敗(課題)」だと感じます。
しかし、東浩紀の「郵便的」な考え方では、コミュニケーションはそもそも「誤配」を含んでいるのがデフォルトです。
* 生き延びられた理由:
ホモサピエンスが強かったのは、正確に命令を伝達できたからだけではありません。「誤解」や「多義性」があったからです。Aと言ったのにBと受け取られることで、当初の意図を超えた新しい発想(イノベーション)や、緩やかな連帯(「まあ、細かいことはいいや」という共存)が生まれました。「誤配」という「遊び(ゆとり)」があったから、環境変化に対応できたのです。
* 今の苦しみ:
現代社会は、「誤配」を許容できなくなっています。SNSやビジネスでは「正解」や「即レス」、「100%の同意」が求められます。本来「ズレて当たり前」なものを「ズレてはいけない」と強要するから、コミュニケーションが無限のストレス(課題)になるのです。
2. 「直接コミュニケーション」がなくなる未来はあるか?
答え:あり得る。それは「誤配のない(=自由のない)世界」の完成を意味する。
質問者さんが予感している「かつて人間同士が話していた時代」というのは、東浩紀の文脈で言えば**「人間がアルゴリズム(データベース)に管理される世界」**です(著書『一般意志2.0』などの議論に近い話です)。
* 摩擦ゼロの社会:
AIやビッグデータが発達すれば、人間同士が言葉で議論して合意形成する(=面倒くさいコミュニケーションをする)必要はなくなります。
「あなたがお腹が空く時間」も「あなたが欲しい言葉」も、AIが先回りして最適解を出してくれるなら、他者とぶつかる「誤配」は起きません。
* 「動物化」する人間:
これは非常に快適です。しかし、東浩紀はこれを「動物化」と呼びます。欲求が即座に満たされる環境では、人間は他者という「謎」について考える必要がなくなり、ただ環境に反応するだけの存在になります。
もし「コミュニケーションの課題」を完全に解決しようとすれば、「人間同士が直接話さない(AIが仲介してノイズを除去する)」のが最適解になってしまいます。
3. 東浩紀的視点からの結論
質問者さんの意見を「誤配」の視点でまとめると、以下のようになります。
> 「コミュニケーションの悩み」こそが、私たちが人間である(プログラムされた機械ではない)証拠である。
>
もし将来、人間同士が直接話さなくなり、コミュニケーションの悩みが消滅したとしたら、それは**「誤配(=自由)」が死んだ世界**です。
* 誤配があるから: イライラするし、戦争も起きるし、悩みは尽きない。
* 誤配があるから: 想定外の恋が生まれたり、新しい芸術ができたり、他者への想像力が働く。
東浩紀なら、**「だからこそ、コスパが悪くて面倒くさい『誤配』を愛せ。ノイズのない綺麗な世界に閉じこもるな(観光客になれ)」**と言うでしょう。
あなたの感じる「コミュニケーションだらけの課題」は、私たちがまだアルゴリズムに支配されきっていない、**人間としての最後の抵抗(あるいは特権)**なのかもしれません。 December 12, 2025
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