アンバランス トレンド
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2025.12.03 15:00
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70万超えたね!ゴールドアンバランス🐍
まだまだ盛り上がってテレビでパフォーマンス観たい‼️
#GoldUnbalance #MoriCalliope
#KentoNakajima #中島健人
https://t.co/XsZYZxAuzd December 12, 2025
野崎まどかは途方に暮れていた。夕方、仕事終わりにスタバで苺フラペチーノを飲もうなんて思いつつ、満員電車の揺れに耐えていたところ、一緒にルームシェアをしていた浜田ユリエからLINEが届いたのだ。
「ごめん、家、出ていくことにした。いままでありがとう。お元気で」
意味がわからなかった。冗談にしては面白くない。すかさず腹が立ってきて、慌てて帰宅したところ、たしかにユリエの荷物はなくなっていた。唯一、占い師のうさんくさいYouTubeで寝室に置くといいと言っていたとかで、最近、置き場所を変えたピンク色の花柄財布だけ残されていた。
嘘でしょ? 帰ってくるんだよね?
ユリエの財布には一万円札が五枚も入っていた。免許証やマイナンバーカードなど大事なものはカードケースに入れていたはずなので、そこには診察券とかカルディのポイントカードとか、どうでもいいものばかりだった。
まさか手切れ金のつもりじゃないよね? どこに行ってしまったの?
スマホを睨み、当たり前な質問を送りまくったけれど既読スルー。電話をかけても反応はなし。まどかは脳みそにコカ・コーラを注ぎ込まれたような絶望に襲われながら、家賃どうしよう……と現実的な問題に目の奥がずんずん痛くなった。
二人が暮らし始めたのは大学を卒業し、社会人生活がスタートした三ヶ月前の四月だった。ユリエが適当なノリで、
「そろそろ同棲しますか!」
と、プロポーズしたのをきっかけに部屋を探した。入学早々、軽音サークルで出会い、互いに一目惚れ。付き合って長かったこともあり、まどかとしてもそれは自然な流れだった。当然、病めるときも健やかなるときも助け合っていくものだと信じていた。
だから、先を見越して広い部屋を借りた。管理費込みで約十六万円。根津駅の近くにしたのはそれぞれの職場へのアクセスを考えてだった。
正直、高いとは思っていた。でも、二人で割れば一人当たりは八万円。都内に住むんだったら妥当な金額ではあった。本当は将来のために節約すべきなのかもしれないが、そのせいでストレスが溜まり、不健康になっては元も子もない。特に新生活は疲れやすいし、まどかは攻めの姿勢で物件を決めた。なお、ユリエは人任せな性格ゆえ、
「まどかが真剣に選んでくれたんだし、全然いいよー」
と、お気楽だった。あのときはそのゆるさに感謝したものだけど、こうなってみるとあまりの無責任さに生卵でもぶつけてやりたい。
まさかユリエがいなくなってしまうとは。とは言え、薄々、気持ちが離れていることにまどかも気が付いてはいた。バイト先だった大手ファストファッション店の正社員になったユリエは嫉妬めいた発言が増えていた。
「いいよねー、まどかはー。優秀だもんねー。商社に勤めているなんて凄いなぁー」
「別にそんなことないって。商社と言っても、うちは業界内ではマイナーもマイナー。給料だって、有名だからと比べたら大したことないんだってば」
ゴールデンウィークを過ぎ、着実に忙しくなってくると夕飯のタイミングもズレてきた。休日もバラバラでデートもできていなかった。夜もだいたい疲れてそのまま眠ってしまった。肌と肌が触れ合ったのはいつが最後だったろう? 目と目が合ってから何日経ってしまっただろう? ちゃんと話し合わなければいけないとまどかは重々承知していた。ただ、働く二人にそれはあまりにも難しかった。
実際、大切な恋があっけなく壊れてしまったにもかかわらず、悲しみなんてどこへやら、まどかの意識は収入と支出がアンバランスに陥る現実をまっすぐ捉えた。はっきり言って、一年目の彼女の手取りは二十万弱。家賃十六万はストレートにイカれていた。
もし、これが"普通の女の子"だったら親に頼ることができたのだろう。そういう意味でまどかは"普通の女の子"じゃなかった。彼女の両親はユリエとの関係に反対していた。部屋を借りるから保証人になってほしいと頼まれた際も断固拒否した。結局、サークルの仲間に頭を下げ、無理やりサインしてもらうことでことなきを得たけれど、結果、実家と縁を切るように根津へ越してきたのだ。いまさらユリエに逃げられたので、お金を貸してくださいとは死んでも口にしたくはなかった。
これ以上、友だちにも迷惑をかけたくなかった。退去も検討したが、契約書には違約金で賃料の二ヶ月分がかかると書いてあり、そんな大金は手元になかった。つまり、生活費を削るだけ削り、自分一人で家賃を払っていかざるを得なかった。
それから、まどかは貧乏に勤めた。スタバに寄ることはなくなった。起きていると余計なことにお金を使う危険があるため、早寝早起きするようになった。夕飯はもやしとキャベツを中心に自炊し、そのあまりでお弁当を作り、職場の隅っこで寂しく切なくついばんだ。
だが、こんなに頑張っても水道光熱費やら通信費やら、諸々かかって毎月赤字になってしまった。「はたらけどはたらけど猶わが生活くらし楽にならざり」とはよく言ったものだ。学生時代の貯金があったからよかったものの、計算をすると物件の契約更新にギリギリ間に合う程度しかない。無駄遣いは許されなかった。
なのに、どういうわけか、イレギュラーな出来事は発生してしまう。高校時代に仲良しだった友だちから結婚式の招待状が届いてしまった。どうしても出席したいけれど、ドレスにご祝儀にお金を工面できそうにない。
悩み、ベッドに倒れ込んだとき、久々にピンク色の花柄が目に飛び込んできた。たしか、そこには一万円札が五枚入っていた。まどかはよっぽどのことがない限り、このお金には手をつけないと決めていた。そして、いま、よっぽどのことが起きている。
さて、数ヶ月が経ち、その結婚式はとても素敵に執り行われた。まどかは友だちをお祝いすることができて幸せだった。でも、痩せてしまったユリエの財布がぼんやり気になり続けてしまった。
モヤモヤは平日になり、仕事中にもしつこく絡みついてきた。ユリエのことだし、突然、ひょっこり戻ってくるかもしれない。というか、そのときの言い訳に使うため、財布をわざと置いて行ったに違いないとまどかは考察していた。
あの子は無邪気を装って「実は財布忘れちゃってー」と何事もなかったかのように帰ってくるつもりなのだ。ほんと、人をバカにしている。まあ、それで許してしまうわたしもわたしなんだけどね……。
結局、未だ副業が禁止されている錆びついた会社規則に怯えつつ、まどかは空いた時間でタイミーを重ね、どうにかこうにか五万稼いで、ピンク色の花柄財布に戻しておいた。そうすれば、ユリエに「なにやってんだか。これのことでしょ」とクールに言ってやれるから。
満腹になった財布をいつものところに置いたとき、照れくさそうに笑った気がした。
(了) December 12, 2025
キルアってあんなに天才で優秀でいい子()なのにやたら面倒見いいの、アンバランスでかわいいよね
ゴンは眩しい光なだけでけっこうひどいこと言うので好きになれない けど光 さすがジンの息子 December 12, 2025
中野量太「兄を持ち運べるサイズに」家族全てを見送った経験のある者ならグッとくるはず。俳優もみんなよかった。ただ、オダギリジョーに感情移入させる仕掛けが不足している割には、言わなくてもわかることをこれでもかとわからせようとしていて、やや過剰でアンバランスな気がした。 December 12, 2025
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