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2025.12.09 03:00
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中国は、生成AI(ChatGPTのような言語モデル)の競争を一部横目に置きながら、物理的な身体を持ち、視覚・推論・行動を統合した「具身知能(embodied AI)」に国家総力を挙げて投資しています。
これこそが、工場生産、物流、サービス業、さらには戦場における次のAI覇権を決める鍵だと北京は確信し、2025年現在、世界で最も野心的かつ急速に進展するプロジェクトとなっています。
2025年3月の全国人民代表大会政府工作報告で、具身知能は生物製造、量子技術、6Gと並ぶ「未来産業」の一つに初めて明記され、生成AIから物理世界を直接操作・理解するAIへの明確なシフトが宣言されました。
中国指導部は、これを単なる技術革新ではなく、
①労働力不足と高齢化社会への対策
②製造業・実体経済の生産性爆上げ
③自律型兵器による軍事優位の確保
④人型ロボットやスマート機器の輸出による他国への「中国依存」創出
⑤現実世界との相互作用を通じて真のAGI(人工汎用知能)に到達する最短ルート
という複数の戦略目標を同時に達成する手段と位置づけています。
この戦略を支えるのは、桁違いの投資と「まずパイロット、次に全国スケールアップ」という中国伝統の手法です。
北京はAIチップ・センサー分野に特化し100億元(約2兆円)規模の15年ファンド、上海はセンサー・コア部品に初期5.6億元(約110億円)の専用ファンドを立ち上げ、広東・浙江はヒューマノイドロボットプラットフォーム、湖北はスマート車両に重点投資。
2025年上半期だけで具身知能分野への投資は232億元(約5,000億円)を突破し、通年では前年総額を大幅に上回るペースで、民間大手のAlibaba、Tencent、JDcomなども巨額を投じています。
中国が圧倒的な優位を持つ最大の理由は、世界の製造業の約30%を握るハードウェア生産能力と、密集した工場ネットワークから得られる膨大な実世界データです。
DJI(ドローン世界シェア80%以上)、XPengやBaidu Apolloの自動運転技術、安価で高性能なLiDAR(Hesaiなど)を背景に、Unitree、UBTECH、AGIBOT、Fourier Intelligenceといった企業が人型ロボットの量産化を急ピッチで進め、2025年末には20万円台という驚異的な価格帯の製品も登場。BYDやBMWの自動車工場ではすでに人型ロボットが実務稼働し、物流倉庫やサービス業への導入も加速しています。
2025年のWorld AI Conference(WAIC)では208体ものヒューマノイドロボットが一堂に会し、12月に入っても上海「第三届無錫国際人工智能創新應用大會」や北京の技術イノベーション对接会など大型イベントが相次ぎ、全国的なエコシステム構築が一気に進んでいます。
市場規模は2025年時点で約53億元(グローバルシェア27%)ですが、2030年には1,000億元超(シェア44%超)へ急拡大すると予測されています。
一方で課題も少なくありません。
急激な自動化による大量の雇用喪失リスク、複雑で予測不能な実世界タスクへの汎用性不足、軍事転用への国際的な懸念、そして高い開発・製造コストなどが挙げられます。
それでも、国家総動員型の支援とオープンソース・コミュニティの拡大により、中国はこれらの壁を高速で乗り越えようとしています。
要するに、中国は生成AIの「デジタル競争」をスキップし、物理世界を直接変革する具身知能に全振りする独自路線を突き進んでいます。
この賭けが成功すれば、2030年頃には経済成長、産業構造、さらには地政学的なパワーバランスを根本から変えるゲームチェンジャーとなる可能性を秘めており、世界中が注目せざるを得ない「静かなる革命」が今、まさに進行中です。 December 12, 2025
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