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2025.12.17 01:00
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ジャムおじさんとM&Aトラブル編
ジャムおじさん、バイキン城株式会社を買収する
「これでビジネスが拡大できる」と思った瞬間、悪夢が始まった
ある日、ジャムおじさんのパン工場に、一人の仲介者が訪ねてきた。名前はホラーマン。M&A仲介会社「デスマッチM&A」の営業担当だ。
「ジャムおじさん、素晴らしいお話があります。バイキン城株式会社が売りに出ています。買収しませんか?」
バタコさんは「バイキン城……?あの、ばいきんまんの会社ですか?」と驚く。
ホラーマンは、ニコニコしながら言う。「そうです。実は、ばいきんまんは資金繰りに困っていて、会社を売却したいと考えているんです。年商3億円、営業利益5,000万円の優良企業ですよ。今ならEBITDA倍率5倍で、たったの2億5,000万円で買えます!」
ジャムおじさんは眉をひそめる。「でも、ばいきんまんは、わしらの敵じゃないか。なぜ、わしがその会社を買わなきゃいかんのじゃ?」
ホラーマンは畳みかける。「実は、バイキン城株式会社は『試練提供サービス』という独自のビジネスモデルを持っています。御社のパン工場と統合すれば、垂直統合による大きなシナジーが生まれますよ!ヒーローと敵役の両方を持つことで、ストーリーの完全コントロールが可能になります!」
バタコさんは「シナジー……ですか?」
ホラーマンは「そうです!しかも、今月中に契約すれば、私の成功報酬が10%割引になります!これはチャンスですよ!」
ジャムおじさんは少し考える。「確かに……ばいきんまんがいなければ、アンパンマンの価値は下がる。もし、ばいきんまんのビジネスを買収できれば、わしらのビジネスも安定する……よし、やってみよう」
こうして、ジャムおじさんは銀行から2億5,000万円を借り入れ、DDもほとんどせずにバイキン城株式会社を買収した。
1. 【よくあるトラブル①】キーマンが即退職
買収が完了した翌日。ジャムおじさんとバタコさんは、バイキン城に向かった。
ばいきんまんは、ニヤニヤしながら言う。「ハヒフヘホー!ジャムおじさん、買ってくれてありがとうな!これでオレ様は自由だぜ!」
ジャムおじさんは「ばいきんまん、これから一緒にビジネスをやっていくんじゃ。よろしく頼むぞ」
ばいきんまんは「あ、そうそう。オレ様、明日からハワイに移住するから。もうここには来ないぜ!じゃあな!」と言って、バイキンUFOに乗って飛んで行ってしまった。
バタコさんは「え?待って!契約書には『買収後も3ヶ月間は業務を引き継ぐ』って書いてあったはずでは……?」
ジャムおじさんは契約書を確認する。すると、小さな字でこう書いてあった。
「ただし、売り手の健康上の理由、または家庭の事情により、引き継ぎ期間を短縮することができる」
ばいきんまんは「オレ様、ちょっと体調悪いんだよね。ハワイで療養するわ!」と言い残して消えた。
これが、M&Aで最も多いトラブル「キーマンの即退職」だ。
2. 【よくあるトラブル②】粉飾決算が発覚
バタコさんは、バイキン城の帳簿を詳しく調べ始めた。そして、顔が青ざめる。
「おじさん……これ、見てください……」
帳簿には、こう書かれていた。
【買収前に提示された数字】
年商:3億円
営業利益:5,000万円
純資産:1億円
【実際の数字】
年商:2億円(架空売上1億円が含まれていた)
営業利益:実質赤字2,000万円
純資産:実質マイナス5,000万円(簿外債務が6,000万円あった)
バタコさんは「おじさん、これって……粉飾決算ですよね?」
ジャムおじさんは「そんな……仲介者は『優良企業』と言っておったのに……」
バタコさんは、架空売上の内訳を調べた。すると、こんな記録が出てきた。
架空売上の手口
循環取引:バイキン城 → ダークネス商社 → バイキン城と、商品を売ったことにして売上を水増し
架空顧客:存在しない「宇宙王国」への売上を計上
期ズレ:来期の売上を前倒しで計上
バタコさんは「これ、完全に粉飾決算じゃないですか……でも、買収前のDDで、なぜ気づかなかったんですか?」
ジャムおじさんは「実は……DDをほとんどやっておらんかった……ホラーマンが『この案件は人気で、他にも買い手がいます。早く決めないと逃げますよ』と急かすものだから……」
これが、M&Aで二番目に多いトラブル「粉飾決算」だ。DDを怠ると、必ずこうなる。
3. 【よくあるトラブル③】簿外債務が山ほど出てくる
さらに、バタコさんは「簿外債務」を発見した。
簿外債務リスト
未払い残業代:従業員ドキンちゃんへの未払い残業代2,000万円
リース債務:バイキンUFOのリース契約(残債3,000万円)
訴訟リスク:過去に試練提供で怪我をさせた被害者からの損害賠償請求1,000万円
税務リスク:過去3年分の消費税申告漏れ、追徴課税予想額1,500万円
環境リスク:バイキン城の地下にカビ廃棄物が埋まっており、除去費用5,000万円
合計:1億2,500万円
バタコさんは「おじさん……これ、全部私たちが払わなきゃいけないんですか?」
ジャムおじさんは「契約書には『簿外債務は売り手が負担』と書いてあるはずじゃ……」
バタコさんは契約書を確認する。確かにそう書いてあった。でも、こんな一文もあった。
「ただし、買い手が知り得た、または知り得るべきだった債務については、買い手が負担する」
つまり、DDをちゃんとやっていれば発見できたはずの債務は、買い手が負担することになる。
ジャムおじさんは「そんな……」
これが、M&Aで三番目に多いトラブル「簿外債務」だ。
4. 【よくあるトラブル④】顧客がキーマン依存で、契約が全部解除される
さらに、バタコさんは顧客との契約書を調べた。
試練提供契約書(カレー王国)
契約期間:1年間(自動更新)
報酬:年間1億円
ただし、ばいきんまん本人が試練を提供すること。代理は認めない
バタコさんは「おじさん……これ、ばいきんまん本人じゃないとダメって書いてあります……」
ジャムおじさんは「ということは、ばいきんまんがいなくなった今、この契約は履行できないということか……?」
バタコさんは、カレー王国に電話をかけた。
「もしもし、カレー王国ですか?バイキン城株式会社を買収した、ジャムおじさんと申します。これから、ばいきんまんの代わりに……」
カレー王国の担当者は、冷たく言う。
「契約書を読んでください。ばいきんまん本人が提供すること、と書いてあります。ばいきんまんがいないなら、契約は解除です。今年度分の前払い金5,000万円を返金してください」
バタコさんは「返金……?でも、もう買収代金を払ってしまって……」
カレー王国の担当者は「それは知りません。来週までに返金しない場合、訴訟を起こします」
電話は切られた。
バタコさんは、他の顧客にも電話をかけた。パン王国、宇宙王国、海底王国……全ての顧客が、同じことを言った。
「ばいきんまんがいないなら、契約解除。前払い金を返金しろ」
合計返金額:1億5,000万円
ジャムおじさんは「そんな金額、わしには払えん……」
これが、M&Aで四番目に多いトラブル「キーマン依存による顧客離反」だ。
5. 【よくあるトラブル⑤】従業員も一斉退職
さらに悪いことに、従業員のドキンちゃんが辞表を持ってきた。
「あたし、もうここで働きたくないわ。ばいきんまん様がいなくなったら、意味ないもの」
バタコさんは「ドキンちゃん、お願いです。一緒に頑張りましょう」と引き止める。
ドキンちゃんは「無理よ。それに、あたし、未払い残業代2,000万円もらってないのよ。払ってくれるなら、考えてもいいけど」
バタコさんは「2,000万円……?」
ドキンちゃんは「ばいきんまん様、いつも『後で払う』って言ってたけど、結局払ってくれなかったの。労働基準監督署にも相談してるわ」
バタコさんは「でも、それは買収前の話ですよね?ばいきんまんに請求してください……」
ドキンちゃんは「労働債務は、会社が引き継ぐのよ。買収したあなたたちが払う義務があるわ。払わないなら、労基署に訴えるし、辞めるわ」
バタコさんは「そんな……」
ドキンちゃんは「じゃあね」と言って、バイキン城を去った。
これが、M&Aで五番目に多いトラブル「従業員の一斉退職と労働債務の請求」だ。
6. 【よくあるトラブル⑥】隠れた重要契約が足枷になる
バタコさんは、さらに契約書を調べた。すると、とんでもない契約が出てきた。
業務委託契約書
委託者:バイキン城株式会社(ばいきんまん)
受託者:悪の秘密結社ダークネス
契約内容:
ダークネスは、ばいきんまんに「悪役としての指導」を提供する
ばいきんまんは、試練提供ビジネスで得た収益の30%をダークネスに支払う
本契約は、会社の所有権が移転した場合も継続される
契約期間:10年間(残り8年)
違約金:契約を途中で解除する場合、3億円を支払う
バタコさんは「おじさん……これ、私たちが引き継がなきゃいけないんですか?年間8,000万円を、あと8年も?」
ジャムおじさんは「契約書には『会社の所有権が移転した場合も継続される』と書いてある……つまり、わしらが引き継ぐことになるのう……」
バタコさんは「でも、もう顧客はいないから、収益もないですよね?それなのに、ダークネスには払い続けなきゃいけないんですか?」
ジャムおじさんは契約書をよく読む。すると、こう書いてあった。
「収益の有無にかかわらず、最低保証額として年間5,000万円を支払うこと」
バタコさんは「おじさん……これ、あと8年間で4億円ですよ……」
これが、M&Aで六番目に多いトラブル「隠れた重要契約(チェンジオブコントロール条項)」だ。
7. 【よくあるトラブル⑦】競業避止義務がなく、売り手がすぐに競合を始める
買収から1ヶ月後。町の人から、こんな噂を聞いた。
「ねえ、知ってる?ばいきんまんが、隣町で新しい会社『バイキン城2.0』を作ったんだって。また試練提供ビジネスをやってるらしいよ」
ジャムおじさんは「なんじゃと!?」
バタコさんは「おじさん、契約書に競業避止義務は書いてありましたか?」
ジャムおじさんは契約書を確認する。でも、競業避止義務の条項はなかった。
つまり、ばいきんまんは、買収後すぐに同じビジネスを始めても問題ない。
しかも、ばいきんまんは元の顧客(カレー王国、パン王国)にこう営業していた。
「オレ様が戻ってきたぜ!また一緒に仕事しようぜ!しかも、今度は前より安い値段でやるぜ!」
顧客は、喜んでばいきんまんと再契約した。
ジャムおじさんは「わしらは、顧客を失い、債務だけが残った……そして、ばいきんまんは顧客を取り戻して、また儲けておる……」
これが、M&Aで七番目に多いトラブル「競業避止義務の不備」だ。
8. 【よくあるトラブル⑧】表明保証があっても、売り手が逃げて回収不能
ジャムおじさんは、弁護士に相談した。
「先生、契約書には『表明保証』があります。ばいきんまんが嘘をついていたら、損害賠償を請求できるはずです」
弁護士は契約書を見る。
「確かに、表明保証はあります。でも、問題があります」
バタコさんは「何ですか?」
弁護士は「まず、ばいきんまんと連絡が取れません。ハワイに移住したと言っていますが、住所も電話番号もわかりません」
ジャムおじさんは「でも、訴訟を起こせば……」
弁護士は「訴訟を起こすこともできます。でも、ばいきんまんの居場所がわからなければ、訴状を送ることもできません。仮に勝訴しても、財産が隠されていれば、回収できません」
バタコさんは「つまり……表明保証があっても、意味がないんですか?」
弁護士は「エスクロー(第三者預託)を使っていれば、売却代金の一部を預けておいて、問題が発覚したら自動的に返金されるシステムがあります。でも、この契約書には、エスクローの条項がありません」
ジャムおじさんは「つまり、わしは泣き寝入りするしかないのか……」
これが、M&Aで八番目に多いトラブル「表明保証があっても回収不能」だ。
9. 【よくあるトラブル⑨】仲介者は成約後、一切関与しない
ジャムおじさんは、仲介者のホラーマンに電話をかけた。
「ホラーマンさん、大変なんです!買収した会社が粉飾決算で、簿外債務も山ほど出てきて……」
ホラーマンは「あー、それは残念ですねー。でも、契約は成立してますから、僕の仕事は終わってます」
ジャムおじさんは「でも、あなたは『優良企業』と言ったじゃないですか!」
ホラーマンは「僕は、売り手から提供された情報を伝えただけですよ。DDは買い手の責任です。それに、契約書にも『仲介者は、情報の正確性について責任を負わない』と書いてあるでしょ?」
ジャムおじさんは「そんな……」
ホラーマンは「それより、成功報酬2,500万円、まだもらってないんですけど。早く払ってくださいね。じゃ!」
電話は切られた。
これが、M&Aで九番目に多いトラブル「仲介者は成約後、一切関与しない」だ。
10. 【よくあるトラブル⑩】銀行が融資を引き上げる
買収から3ヶ月後。ジャムおじさんは、銀行から2億5,000万円を借り入れていた。その返済が始まる。
銀行の担当者は「ジャムおじさん、今月の返済額は500万円です。ちゃんと払えますか?」と尋ねる。
ジャムおじさんは「実は……バイキン城株式会社の売上がゼロになってしまって……」
銀行の担当者は「え?どういうことですか?買収時の事業計画では、年商3億円と聞いていましたが」
ジャムおじさんは「それが粉飾決算で……実際の売上は半分以下で……しかも、顧客も全員離れてしまって……」
銀行の担当者は「それは困りましたね……では、融資を一括返済してください」
ジャムおじさんは「一括返済……?そんな金額、払えません……」
銀行の担当者は「では、担保のパン工場を差し押さえます」
ジャムおじさんは「そんな……」
これが、M&Aで十番目に多いトラブル「銀行が融資を引き上げ、担保を差し押さえる」だ。
11. 税務署からの「調査」と追徴課税
さらに追い打ちをかけるように、税務署から調査が入った。
事業内容等について
・バイキン城株式会社の過去の申告について、以下の点を確認させてください。
・架空売上:循環取引による売上1億円は、取り消されるべきではないですか?
・外注費:悪の秘密結社ダークネスへの支払い年間8,000万円は、実態がありますか?
・消費税:過去3年分の消費税申告に漏れがあります
追徴課税予想額:1億2,000万円(過少申告加算税・延滞税含む)
ジャムおじさんの税理士は「これは……買収前の税務リスクが表面化しています。原則として、買い手が負担することになります」
ジャムおじさんは「1億2,000万円……そんな金額、わしには払えん……」
これが、M&Aで十一番目に多いトラブル「税務リスクの表面化」だ。
12. 損害の合計
バタコさんは、すべての損害を計算した。
損害の合計
買収代金:2億5,000万円
仲介手数料:2,500万円
顧客への返金:1億5,000万円
簿外債務:1億2,500万円
ダークネスへの支払い(8年分):4億円
追徴課税:1億2,000万円
未払い残業代:2,000万円
合計:12億9,000万円
バタコさんは「おじさん……これ、どうやって払うんですか……」
ジャムおじさんは「わしには、もう払える金がない……」
13. 破産手続き
結局、ジャムおじさんは破産手続きを取ることになった。
パン工場は競売にかけられ、見知らぬ会社に買い取られた。
バイキン城株式会社も、清算された。
ジャムおじさんは、全てを失った。
バタコさんは「おじさん……私たち、どうやって生きていけばいいんですか……」
ジャムおじさんは「わしには、もう何も残っておらん……」
チーズも「ワンワン……」と悲しそうに鳴く。
14. アンパンマンが助けに来るが……
そんなとき、アンパンマンがやってきた。
「ジャムおじさん、大変なことになってるって聞いたよ!僕たちが助けるよ!」
ジャムおじさんは「アンパンマン……ありがとう。でも、わしの借金は12億円を超えておる。君たちでも、どうにもならん……」
アンパンマンは「そんな……」
カレーパンマンも「俺たち、何かできることはないのか?」
しょくぱんまんも「ジャムおじさん……」
でも、どうにもならなかった。
15. M&Aの教訓──よくあるトラブルまとめ
この物語から、M&Aでよくあるトラブルと教訓をまとめる。
【よくあるM&Aトラブル11選】
1. キーマンの即退職:買収直後に売り手や重要人物が辞める
2. 粉飾決算:売上・利益が水増しされていた
3. 簿外債務:未払い残業代、リース債務、訴訟リスク、税務リスクなど
4. キーマン依存による顧客離反:顧客が「本人じゃないとダメ」と言って離れる
5. 従業員の一斉退職:キーマンがいなくなると、従業員も辞める
6. 隠れた重要契約:チェンジオブコントロール条項で、買収後も不利な契約が続く
7. 競業避止義務の不備:売り手がすぐに同じビジネスを始める
8. 表明保証があっても回収不能:売り手が逃げて、連絡が取れない
9. 仲介者は成約後、一切関与しない:トラブルが起きても、仲介者は知らんぷり
10. 銀行が融資を引き上げる:計画と実態が乖離すると、融資が引き上げられる
11. 税務リスクの表面化:買収前の税務問題が、買収後に追徴課税として降りかかる
【買い手側がやるべきだったこと】
DDを徹底的にやる(最低3ヶ月、専門家を雇う)
財務DD:過去3年分の決算書、総勘定元帳、請求書をすべて確認
税務DD:過去の申告書、税務調査の履歴を確認
法務DD:契約書、訴訟リスク、コンプライアンスを確認
労務DD:従業員の雇用契約、未払い残業代、労働紛争を確認
事業DD:顧客契約、キーマン依存度、競合状況を確認
表明保証とエスクローで防御する
売却代金の30%をエスクロー口座に預託(2年間)
粉飾決算・簿外債務が発覚したら、エスクローから補填
税務リスクが発覚したら、エスクローから補填
キーマンとの雇用契約を必須にする
ばいきんまん本人を、買収後3年間雇用する契約
違反したら、売却代金の50%を返還させる
競業避止義務を必ず入れる
買収後3年間、同じビジネスを禁止
違反したら、損害賠償1億円
チェンジオブコントロール条項をチェック
買収後も継続される不利な契約がないか、全契約書を確認
それでも怪しければ『買わない』
DDで疑問が残る案件は、絶対に買わない
【結論】
M&Aは、『買って終わり』じゃない。『買った瞬間から全責任を引き受ける取引』だ。
DDを怠る=将来のトラブルを高値で買う行為。
本気でやるなら、税務・労務・資金流用を中心にDD。取り切れないリスクは、表明保証・エスクローで封じ込めよ。
それでも怪しければ、『買わない』が正解。
ジャムおじさんは、窓の外を見ながら呟く。
「わしは、愚かじゃった……仲介者の甘い言葉に騙され、DDを怠り、リスクを見落とした……」
これが、ジャムおじさんが学んだ、高すぎる教訓だった。 December 12, 2025
2RP
松屋フーズHDが「六厘舎」などを運営する松富士を91億円で買収。
これ、ラーメン業界激震のニュースですが、公開された決算数値を紐解くと「なぜ松屋がこの巨額を出したのか」という経営戦略がめちゃくちゃ面白かったので解説します。
まず、今回の買収金額は91億円。
これに対して、直近の松富士の業績は以下の通りです。
・売上高:約100億円
・営業利益:約4億円
・店舗数:120店舗
パッと見てどう思いますか?
「売上100億すごい!」と思う一方で、「利益率4%(4億円)ってちょっと低くない?」と感じた経営者の方もいるかもしれません。飲食、特に高単価なブランドを持つチェーンなら、もう少し利益が出てもおかしくない数字です。
さらに、純資産は約15億円。
つまり、松屋は差額の約76億円もの「のれん代(ブランド料など)」を乗っけて買ったことになります。現在の利益(4億円)ベースで考えると、回収に20年以上かかる計算です。普通に考えたら「高値掴み」に見えるかもしれません。
でも、ここがM&Aの面白いところ。
僕の予想ですが、松屋フーズは「今の利益4億円」なんて見ていないはずです。
松屋には、牛めしやとんかつ業態で培った最強の「調達力」「物流網」「店舗オペレーション」「データ活用」があります。
今の松富士の利益率4%という数字は、裏を返せば「松屋のインフラに乗せれば、コストを一気に下げて利益率8〜10%に改善できる余地がある」ということです。
もし利益率を改善できて、営業利益が10億円になれば?
91億円の買収額も、PERなどの指標で見れば一気に適正価格、あるいは「お買い得」な案件に化けます。
さらに決算推移を見ると、直近3年で売上が67億→85億→100億と急伸しています。
これは株主であるファンドと創業家が、M&AによるExitを見据えて、この数年で店舗を一気に増やし、しっかりと売上を作って「企業価値を仕上げてきた」形跡がありありと見えます。まさにプロの仕事。
結論として、今回の買収は以下の2点が噛み合った綺麗なディールだと感じました。
売り手:ブランドを磨き、店舗数を増やして売上規模を最大化して高く売った
買い手:完成されたブランドと売上基盤を買い、自社のオペレーション力で利益体質へ変革させる(時間を金で買った)
「六厘舎」という超強力なブランドが、松屋の資本とオペレーションでどう化けるのか。
店舗展開のスピード感や海外展開も含めて、同じ麺業界の人間として、そして経営者として、今後の展開が非常に楽しみで脅威でもあります。
それにしても、ラーメン業界の再編が面白いことになってきましたね。 December 12, 2025
宝くじ買いに来たらメガガイア伊勢崎東店がビックマーチになってた😳 どうやらM&Aでビックマーチがメガガイアを買収したみたい。グランドオープンは12月20日の13時オープン。
並ぶのめんどくさいけどグランドオープンならほぼ100%勝てるよね🤡 https://t.co/031gIEJ26O December 12, 2025
【株主・投資家の皆様へ】
先ほど、当社の創業以来 最高のIRを適時開示しました❗
★売れるネット広告社グループ(9235)“年間取扱高36億円”“黒字”予定の「ADWAYS CHINA」及び「ADWAYS ASIA」株式取得(子会社化)‼️
https://t.co/O4pTvuR3yc
今回のM&Aで何が変わったか。
売れるネット広告社グループは、
「国内グロース企業」から
「グローバル・マーケティング・カンパニー」へ
舵を切った。
売上100億円、時価総額250億円。
これまでは「目標」だった。
でも今は、
中国×36億円規模×黒字見通し事業を
“現実に持った状態”で語れる。
つまりここは、
成長ストーリーの“最初の評価局面”。
どう評価されるか、
マーケットが決めるフェーズに入ったと思ってます。
#大勝負その1
加藤公一レオ
売れるネット広告社グループ株式会社(東証上場 証券コード9235)
代表取締役社長CEO December 12, 2025
匿名質問を募集しています!
最近回答した質問例
・新しい男?元彼?
・人生のM&Aはいつ頃なんですか?
・好きな人できたということでしょうか?!
・アプリで会った外コンガールと会ってそ…
https://t.co/vqbI59RV4a December 12, 2025
「M&Aで非連続な成長」という経営者は多いが、PMIの再現性がない買収は、単なるPLの毀損。
吉村フードHDやGENDAが評価されるのは、買収先をバリューアップする勝ち筋の型があるから。
ラクスルが上場を廃止してまで取りたかったのはPMIエンジンの実装。 安易なロールアップ戦略は避けるべき。 https://t.co/koUQRsirZT December 12, 2025
株式会社グッドコムアセット(3475)
1. 業績と株価の過去トレンド分析
業績推移(過去5年間:2020年10月期~2024年10月期)
過去5年間の業績は拡大基調にあったものの、直近の2024年10月期には減収減益となりました。
2020年10月期: 売上高 263億円、営業利益 26億円、営業利益率 10.0%
2021年10月期: 売上高 342億円、営業利益 31億円、営業利益率 9.2%
2022年10月期: 売上高 400億円、営業利益 43億円、営業利益率 10.8%
2023年10月期: 売上高 221億円、営業利益 17億円、営業利益率 8.0%(※販売時期のズレ等により一時的減収)
2024年10月期: 売上高 597億円、営業利益 54億円、営業利益率 9.1%(※過去最高売上・利益を達成)
2025年10月期(実績): 売上高 545億円、営業利益 29億円、営業利益率 5.4%
注記: 直近の2025年10月期は、売上高が前期比8.7%減、営業利益が同46.2%減と大幅な減益となっています。
事業ポートフォリオの変化
同社の事業は、投資用マンション「GENOVIA」シリーズの販売が中心ですが、販売先の構成比に変化が見られます。
ホールセール(業者販売・ファンド販売):売上の大半を占める主力セグメントです。特に近年は不動産ファンドへの販売強化を進めており、売上構成比が高まっています。2024年10月期には売上高443億円(構成比約74%)でしたが、2025年10月期は394億円(構成比約72%)となっています。
リテールセールス(個人投資家販売):かつては主要顧客であった公務員層への販売が、物価高や建築費高騰によるマンション価格上昇の影響で減少しています。売上高は2024年10月期の128億円から、2025年10月期には97億円へと大幅に減少(前期比24.2%減)し、セグメント損失12億円を計上して赤字転落しました。
新規事業(Livenup Group):2025年6月に子会社化したLivenup Group(戸建・再販事業)が新たなセグメントとして加わりました。2025年10月期は売上高30億円を計上しています。
業績変動の要因と株価反応
成長期(~2022年): 順調な物件販売と管理戸数の増加により、株価は上昇トレンドを描き、2021年には一時的に高値をつけました。
調整局面(2023年): 大型物件の販売時期のズレ込みなどにより大幅な減収減益となり、株価は軟調に推移しました。
回復と課題(2024年~): 2024年10月期は過去最高益を達成しましたが、2025年10月期はリテール販売の不振や、M&A費用、広告宣伝費、株主優待費用などの販管費増加(前期比43.6%増)が利益を圧迫し、再び減益となりました。株価はこれらの業績変動や将来への期待(配当維持など)を織り込みながら推移しています。
2. 成長ドライバーの深掘り(将来性と収益性)
不動産ファンド事業と私募リート
今後の最大の成長ドライバーは、自社で組成する不動産ファンドおよび私募リート事業です。
ビジネスモデル: 自社開発した物件を自社組成のファンドに販売し、開発利益(フロー)を得ると同時に、アセットマネジメント(AM)やプロパティマネジメント(PM)による手数料収入(ストック)を積み上げるモデルへの転換を図っています。
進捗: 2025年10月期には第3号、第4号ファンドを組成し、運用資産残高は約432億円に達しています。2026年以降、資産規模を1,000億円超へ拡大し、私募リート、将来的には上場リートへの移行を目指しています。
M&Aによる事業領域拡大
Livenup Groupの子会社化: 戸建住宅や中古再販事業を持つ同社をグループ化することで、事業ポートフォリオを多様化し、管理戸数の増加によるストック収入の強化を図っています。
日成アドバンスとの提携: 大阪を中心とする関西エリアでの仕入・販売を強化し、首都圏に集中していたリスクの分散と事業拡大を進めています。
稼ぐ力の質(セグメント利益率)
2025年10月期のセグメント利益率は以下の通りです。
ホールセール: 利益率 9.4%(売上394億円/利益36億円)。安定した収益源ですが、ファンド組成により外部売却よりも粗利率が低下する傾向があります。
リアルエステートマネジメント: 利益率 34.1%(売上24億円/利益8億円)。最も利益率が高く、管理戸数の増加に伴い安定的に利益貢献しています。
リテールセールス: 赤字(損失12億円)。販売不振と固定費負担が重荷となっています。
3. リスク要因と課題(ダウンサイドリスク)
建築コストの高騰と販売価格への転嫁
資材価格や人件費の高騰により、建築コストが上昇しています。これによりマンション価格が高騰し、従来のリテール顧客(公務員層など)の購買力が追いつかず、販売不振に陥っています。富裕層向けの高価格帯ブランド「G-classt」へのシフトを進めていますが、この転換がスムーズに進むかが課題です。
金利上昇リスク
有利子負債依存度は2024年の50.2%から2025年には60.1%へ上昇しています。仕入拡大に伴い借入金が増加しており、今後の金利上昇局面では支払利息の増加が利益を圧迫するリスクがあります。
在庫リスクと資金回転
仕入を積極的に拡大しており、たな卸資産は295億円(前期比54億円増)に増加しています。ファンドへの販売等で出口は確保しつつあるものの、市況悪化時に在庫が滞留し、キャッシュフローが悪化するリスクには警戒が必要です。
4. 経営計画と株主還元
中期経営計画(2026-2030)
会社側は「VISION 2030」として、2030年10月期に売上高6,000億円、営業利益600億円という野心的な目標を掲げています。
2026年10月期予想: 売上高792億円(前期比45.3%増)、営業利益77億円(同163.3%増)とV字回復を計画しています。
自信度: 1,069億円相当の販売用物件を確保済みであり、ファンドへの出口戦略も明確化していることから、トップラインの達成については一定の自信を持っていると推測されます。ただし、利益面ではリテール部門の立て直しや販管費コントロールが鍵となります。
株主還元
株主還元には非常に積極的です。
配当政策: 配当性向35%を目標とし、上場来9期連続の増配を予定しています。2025年10月期は45円、2026年10月期は46円(予想)としています。
自社株買い: 2025年に発行済株式数の約3%にあたる90万株(上限)の自社株買い枠を設定し、積極的に取得を進めています。
株主優待: 福岡証券取引所への重複上場や上場10周年を記念し、保有株数に応じたデジタルギフト(最大10万円分)を贈呈するなど、個人投資家へのアピールを強化しています。
5. 総合評価とカタリスト(結論)
SWOT分析
強み (Strengths): 首都圏でのブランド力(GENOVIA)、高い入居率(90%超)、自社ファンドによる安定的な出口戦略、高い株主還元意識。
弱み (Weaknesses): リテール販売の不振(赤字化)、有利子負債の増加、建築コスト増による利益率の圧迫。
機会 (Opportunities): 不動産ファンド・私募リート市場の拡大、関西圏への進出、インバウンド需要や都心マンション需要の底堅さ。
脅威 (Threats): 金利上昇による調達コスト増と購買意欲減退、建築資材・人件費のさらなる高騰。
結論とカタリスト
グッドコムアセットは、足元ではリテール販売の苦戦と先行投資(M&A、広告費)により減益となっていますが、豊富な手持ち物件とファンド事業の拡大により、来期以降のV字回復を計画しています。現在の株価は減益を織り込んでいる可能性がありますが、以下のカタリストが顕在化すれば、上昇トレンドへの転換が期待できます。
注目すべきカタリスト:
リテール部門の黒字化: 富裕層向け新ブランド「G-classt」の販売が軌道に乗り、リテール部門の赤字が縮小・解消されるか。
ファンド組成の進捗: 計画通りに第5号以降のファンドが組成され、私募リート等の運用資産残高が順調に積み上がるか。
2026年10月期予想の達成確度: 期初(2025年末~2026年初)の進捗で、営業利益77億円という高い目標に対する達成の蓋然性が示されるか。
投資家としては、積極的な株主還元(配当+優待)による下値サポートを期待しつつ、構造改革(リテールの富裕層シフト、ファンド事業拡大)の成果を確認するスタンスが推奨されます。
1. 2026年10月期「V字回復(営業利益77億円)」の根拠数字
資料(2025年10月期 決算説明資料など)によると、2026年10月期の売上高予想792億円、営業利益77億円の達成根拠は、主に**「自社組成ファンドへの巨額販売」と「確保済み在庫」**に依存しています。
① 売上高の内訳と確定状況
資料には、来期の売上構成の目安として以下の記載があります。
• ファンドへの売却(約600億円): 来期の売上計画の約75%約600億円を、自社で組成する「第5号・第6号・第7号ファンド」へ販売する計画です。
◦ これは外部の第三者と個別に売買契約を結ぶのではなく、自社グループでファンドを組成し、そこに自社物件を卸す形をとるため、計画通りのファンド組成ができれば、売上の実現可能性は高い構造にあります。
• Livenup Group(約90億円): 2025年に子会社化したLivenup Group(戸建・再販)の売上が通期で寄与し、約90億円を見込んでいます。
• その他(約100億円): 残りがホールセール(法人販売)やリテール(個人販売)、管理収入等となります。
② 「契約済み・確保済み」の在庫状況
「売上が確定している契約済み物件」という表現ではありませんが、**「販売用物件は確保済み(仕入契約済み)」**であることが強調されています。
• 確保済み物件規模: 2025年10月末時点で、販売価格ベースで約1,069億円相当の物件を確保していると記載されています。
◦ 内訳:棚卸資産(販売用不動産+仕掛品)約295億円 + 手付金支払い済み等の未計上物件(約774億円相当)
• 結論: 来期の売上目標792億円に対し、既に1,000億円超の「タマ(販売用在庫)」を確保しているため、「仕入ができずに売上が立たない」というリスクは排除されていると説明されています。
2. 過去の期初計画の下方修正・未達の傾向分析
過去の資料、特に直近の2025年10月期や2023年10月期の推移を分析すると、同社の業績予想には**「期末偏重型」かつ「未達リスク」**の傾向が見て取れます。
① 直近(2025年10月期)の未達事例
• 期初計画: 営業利益 58.8億円 を予想。
• 第3四半期時点: 累計営業利益は 11.4億円(進捗率約19%)にとどまっていましたが、この時点では通期予想を据え置きました。
• 最終実績: 営業利益 29.3億円 で着地(計画比 約50%未達)。
• 要因: リテール販売の不振や、利益率の高い在庫ではなく、期中に急遽仕入れた物件を販売したことによる利益率低下などが挙げられています。
• 分析: 第3四半期まで進捗が悪くても、「第4四半期に大型の販売(ファンドや業者向け)で挽回する」というシナリオを描く傾向があり、結果として期末に大幅未達となるパターンが確認できます。
② 過去(2023年10月期)の変動
• 2023年10月期も、売上高が前年の400億円から221億円へとほぼ半減し、営業利益も減少しました。
• 会社側は「販売時期のズレ込み」等を理由としていますが、期初に高い成長目標を掲げつつも、市況や販売先の都合により実績が大きく下振れるボラティリティ(変動幅)の高さが同社の特徴といえます。
まとめ:投資判断上の留意点
資料から読み取れる2026年10月期の見通しは以下の通りです。
1. 数字の蓋然性(トップライン): 売上の75%(約600億円)を「自社組成ファンド」への販売で計画しており、販売物件も既に1,000億円分確保済みなため、売上高(トップライン)の達成確度は比較的高い構造に見えます。
2. 利益面のリスク: 過去(2025年期)の教訓として、売上は作れても「利益率」が計画通りいくかが課題です。特にリテール(高利益率)が苦戦し、ファンド向け(相対的に利益率が抑制される傾向)の比重が高まると、売上目標は達成しても利益目標が未達になるリスクは残ります。
3. 修正のタイミング: 過去の傾向から、期中の進捗が悪くても第3四半期までは「期末挽回可能」として修正を出さない傾向があります。したがって、四半期ごとの進捗率が低くても安心できず、特にファンド組成のニュースリリース(販売完了)が出るかどうかが最大の監視ポイントとなります。 December 12, 2025
ワイはM&A仲介で従事したのち、一社M&Aをさせていただき、現在別業態のM&Aを検討しているのですが
ようやくM&Aした会社が自走し始めたのですがこれもう一回やると思うと、もう寝袋買って会社泊まろかなと。 December 12, 2025
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