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法の支配
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2025.12.15 08:00
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Kalshiの成長はやはりライセンスを正式に取得できた瞬間から爆発的に成長してきました。
最近のインタビューや登壇でも規制関連に言及しているので、彼らが挑んだCFTC(米商品先物取引委員会)との戦いの記録を、詳細に振り返ってみました。
1. 規制回避ではなく、正面突破を選んだ「Regulatory First(規制第一)」の戦略
Kalshiは当初から、予測市場が米国で違法状態にあることを深く理解していましたが、彼らが見据えていたのは海外の賭けサイトのような立ち位置ではありませんでした。あくまでCoinbaseやRobinhoodのような、メインストリームの金融サービスを目指す道を選びました。
・創業時の決断と4年の歳月
2018年末の創業以来、彼らは法の抜け穴を探すのではなく、既存の金融枠組みを「拡大」することを目的に、正式な規制下での運営認可を得るために4年もの時間を費やしました。
・目指した世界観
アンダーグラウンドな存在ではなく、誰もが安心して利用できる透明性の高い市場インフラを構築することが、彼らの揺るぎないビジョンでした。
2. 立ちはだかった規制の壁と、組織の存続をかけた提訴の決断
しかし、正規の手続きを踏もうとする彼らに対し、規制当局の壁は厚く、理不尽とも言える対応が続きました。特に対立の核心となったのは「選挙市場(Election Market)」の認可です。
・繰り返された拒絶と遅延
2022年の中間選挙に向けた申請では、CFTCは判断を意図的に遅らせる「ポケット・ベト(握りつぶし)」のような手法を取り、実質的に市場開設を阻止しました。さらに2024年の選挙に向けた2023年の再申請も却下されました。
・ピボットの推奨を押し切った決意
周囲からはAI分野などへの事業転換(ピボット)を勧められ、取締役会からは「自社の監督官庁を訴えれば会社は潰れる」と強い忠告を受けました。それでも共同創業者のLuana氏とTarek氏は、自らの正当性を信じ、連邦政府を相手に訴訟を起こすという大きな賭けに出ました。
3. 「有用性(Utility)」こそがギャンブルと金融を分ける境界線
Kalshiが勝訴を手にした背景には、1936年制定の商品取引所法(CEA)に基づいた、極めて論理的かつ歴史的な法的戦略がありました。
・経済的有用性という防波堤
彼らの主張の核は「有用性がある限り、それはギャンブルではない」という点です。選挙結果やブレグジットのような事象は人々に経済的影響を与えるため、それに対してヘッジを行ったり、正確な確率を知ったりすることには明確な「金融商品としての機能」があると訴えました。
・1905年の最高裁判決の引用
Kalshiは、穀物先物取引に関する100年以上前の判例を持ち出しました。当時も先物はギャンブルだと批判されましたが、投機的な側面があったとしても、価格発見機能や在庫管理(ヘッジ)に使われるため金融商品であると認められています。この論理を選挙市場にも適用し、投機筋の存在が市場の有用性を否定するものではないと主張しました。
・法の支配の遵守
規制当局には市場を止める権限がありますが、彼ら自身も制定法(Statute)に従う義務があります。Kalshiは、当局が恣意的に法を曲げることは許されないという原則を強く突きつけました。
4. 歴史的な勝訴と予測市場のメインストリーム化
結果として裁判所はKalshiの主張を支持し、予測市場は新たなフェーズへと突入しました。
・司法による正当性の認定
裁判所は、選挙市場において投機目的の参加者がいることを認めつつも、選挙結果を予測しリスクを管理することの重要性を高く評価しました。
・大手金融との連携加速
この法的勝利は即座にビジネスへの信頼へとつながり、Robinhoodなどの大手証券会社との提携を実現させています。
・今後の展望
Tarek氏は、今後はCFTCとSEC(証券取引委員会)の連携が進み、企業の収益や株価に関連する予測市場についても整理が進むだろうと予測しています。
途中でAIへのピボットや訴訟の引き止め似合いながらも戦い抜いたのは創業者2人がシンプルにすごい。だからこそ、オフショアはダメだという主張にも繋がるのは理解できますね。 December 12, 2025
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