治安維持法 トレンド
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2025.12.14 11:00
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高橋和巳の本をひさびさに。本書は「ひのもと求霊会」という「大本教」をモデルにした宗教団体が戦前・戦後にかけて衰退していくさまを描いている。共同体の解体中、その構成員(信者)はどのように振る舞うのか。それを、これほど詳らかに描いた作品をぼくは他に知らない。まず、あらすじを紹介しよう。→
物語は、二代目棟梁たる行徳仁二郎の時代から始まる。教団は「治安維持法」により軍部権力から二度の弾圧をこうむる。教団本部は爆破・解体。仁二郎も同法違反、また不敬罪の容疑で投獄された。その後、幹部会議は「三代」をどうするかという話題に。圧倒的カリスマだった初代・二代。それに比肩する人材がいないなか、どうやって信者を導いていくのか――。
結局、波打ち際の砂山のように、教団は徐々に崩壊していく。
今回は、本書を組織論的に読み解いた。「ひのもと求霊会」はなぜ崩れたのか。その理由を箇条書きにして以下に記す。
[宗教組織が衰退する要因]
① 初代棟梁と第二代の志向・指導性が微妙に食い違っていた。その食い違いが教団内の派閥争いを拡張させてしまう(それぞれの派閥が初代・二代の指導を持ち出して自己正当化を図った)。教団幹部が指導の体系化に着手するも、遅きに失した。
② 初代の予言が、教団にやってくるであろう出来事すべての指針になるわけではない。初代・二代の指導に照らすことのできない新しい時代の新しい事態に教団が対応する際には、現実的に新たな方法が必要。その際に、どうするべきかについて意見が対立し、それが感情の対立に発展する。最終的には、古い指導性に固執する老年世代(仁二郎とともに生きた世代)が、若年層の声に耳を貸さず、教団自体が時代の変化に適応できずに終わる。
③ 教団は、三代・千葉潔をカリスマに仕立てようとし、三代目に権力を集中させるが、カリスマを待望する発想自体が、衰退しかかった教団の再生力を奪う結果になった。「カリスマ頼り」は組織を自滅させる。ビジネスも同じ。
④ 閉鎖的で世俗と隔絶した教団本部の体質が、時代性や地域性によってフレキシブルに変化すべき現場の指導性を硬直させ、信徒の「本部離れ」を助長した。変わるべきところは変わり、変わるべきでないところは変えてはいけない。そして両者の腑分けを、日常的に追求することが大事である。
⑤ 言論や暴力による弾圧には教団は強かったが、外部から経済的基盤をおびやかされることには弱かった。「ひのもと求霊会」は国家権力に近づきすぎたために、かえって国家に警戒され、カネでゆすられ、足元をすくわれた。
⑥ 幹部が、信仰心や良心よりも利害で人間関係を築くようになった。また、世俗の息吹きを過度に教団に吹き込んだため(適度ならよいのだけれど)、教団全体が世俗化し、信心の純度が下がり、宗教的理想も次第に見失われ、教団のエネルギーが減った。
⑦ 若者・知識人の育成に力を注がなかった。
体系的に記すと、こんなところである。
宗教に限らず、地域共同体や会社、NGOなど、さまざまな集団組織の維持発展に欠かせない指針が、反面教師の形で『邪宗門』に記されている。ぜひ手に取って、ご自身で読解を試みてほしい。
ちなみに、別書『我が心は石にあらず』で高橋和巳は、そういった組織の衰退防止にかんするメッセージも発信している。同書では、科学的無政府主義という奇抜な思想が提示され、主人公は組合運動に身を投じる。科学的無政府主義とは、科学の発達による労働のオートメーション化によって、労働者が「労働」のみならず「組織」という人間の自由を奪うくびきからも解放される、という仕組みに生きる立場のことだ。
この信念は、いまでいうアナーキズム(=無政府主義)的な組織に適用すべきものとして、本書で紹介されている。
特に同書がおもしろいのは、最高の組織のあり方に示唆を与えているところだ。
Googleの有名な調査でも明らかになったことだけれど、最高の組織は「スタープレーヤーだけを集めた組織」でもなく「同じ釜の飯を食ったような仲のよい組織」でもなく「スローガンを掲げて一致団結する組織」でもない。大切なのは、心理的安全性が高く、上下関係は機能的に存在するだけで人間の上下には関係がない組織であること、そして、自由闊達に意見が言えて、意見が否定されることもなく、失敗をとがめられることもなく、むしろ失敗は挑戦の証しとして尊重されすらする組織が「最高の組織」だと言える。
また、そういう組織は「心理的安全性の高い組織にしていきましょう!」といったスローガンやルール化による押しつけではなく、自然とわきだす雰囲気によって変えられるべきだとされる。
本書は、その核心を文学的にも教えてくれる。
高橋和巳『邪宗門』河出書房新社@kawade_bunko December 12, 2025
2RP
【倭国では「スパイ罪」は一度も適用されていない=法学者】
法学者で関東学院大学名誉教授の足立昌勝氏がこのほど、スプートニクの取材に応じた。第一弾では倭国の近代刑法、スパイ防止法案の歴史について語った。
目次 🔻
00:00 近代刑法の研究を始めたきっかけ
01:19 1985年のスパイ防止法案
01:35 スパイ防止法が必要な背景
02:39 治安維持法との違い
03:22 特別高等警察の誕生
03:55 ゾルゲ事件の真相
04:39 国防保安法の中身
05:54 尾崎秀実は誤判で処された?
08:14 スパイ事件弾圧の歴史
08:53 スパイ罪を決める規準の曖昧さ
(おことわり)スプートニクは、倭国における特定の政党や政治家、主義主張を支持・支援することは一切ございません。本記事は取材に基づくものであり、編集部の立場や意見と必ずしも一致するものではありません。 December 12, 2025
1RP
@gerogeroR 自民党がそんなことしだしたら「治安維持法の再来だ!」って全力でぶん殴るだろうに…
まぁ実際そのとおりだから我々も反発するけどさ
顧みて今回の立憲の発言も同じことしようとしてるよね?ってのがどうにも自称リベラル様には伝わらないらしい
画像の警句にならんよう最初から反対せねばならんのだ https://t.co/6fbJEenSVZ December 12, 2025
最後は荻野富士夫氏インタビューで現在の倭国と接続。治安維持法/スパイ防止法
特集全体は碑(詩碑、墓碑)=記憶を切り口に、尹東柱ゆかりの地を訪ねる(東京~京都~福岡~ソウル~間島)という構成。自分は(詩碑がいっぱいあるなあ)くらいだったのでとても勉強になった。ありがとうございました December 12, 2025
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