伊藤さんが関係者全方位に対して信頼関係を失うようなことをしていて、実際映画に出ている人たちの権利や感情を侵害したことは明らかだと思いますが、その侵害の程度をどう評価するのかという点で人によって見解が分かれているんだと思ってます。

一つはサバイバーである伊藤さんなのだから、そのような不義理や信頼関係を毀損するようなことであっても、ある程度は免責あるいは考慮されるべきと考える立場。

もう一つはサバイバーであっても倫理や信頼関係が優先されるのが当たり前であると考える立場。（そこまでに至る複雑な経緯や文脈をあえて省略して）ざっくり言えば、この両者の対立なのだと思いますね。そしてそれこそが海外メディアが「倭国でだけ起きているこの論争」に関心を持たない最大の要因でもあるのでしょう。

自分が言いたいのは、その違いやアウトかセーフのライン――自分が人生において何を大事にしているのかということを判断するためには実物の映画を見ないとダメだということです。観た上で自分がどっち寄りの立場なのか、0／100でないグラデーションの中で、自分はどこの立ち位置にいるのか考えることが何よりも肝要。そしてそうした機会を多くの人に提供することには少なくない公共性・公益性がある（結果的にもたらされている）と思います。 December 12, 2025

ただ同時に、詩織さんが倭国の司法制度の限界に直面して涙する姿にヒリヒリするようなシンパシーを感じた。その部分は事件以来、映像を記録し続けた詩織さんにしか表現できない思いだったと思う。極めて尊く公共性がある表現なので、弁護士の方に、このヒリヒリを理解していていただけなかったのは残念 December 12, 2025

マクロな視点で見れば、個人や法人への権利侵害することで食って行ってるんです。

でも、↑こんなことは私自身書いていて説得力がないと思う。元々公共性や真実性と個人や法人の権利がせめぎ合う空間なんだということだと思います。

伊藤詩織さんのドキュメンタリー映画はそもそもジャーナリズム December 12, 2025

伊藤詩織さんの映画には映像使用に関する許諾や同意の問題があった。それだけである。
許諾や同意の問題があったとしても、それは映画の芸術的価値とは基本的に関わりない。そして、その公開の公共性を損なうものでもない。
変な方向に話を拡げ過ぎて、人間的な好き嫌いの話題に落ちているような。 December 12, 2025

利用の平等と機会の平等が区別できてない人って多いなぁ。公共性とは『全員が使うこと』ではなく、『誰もがその価値を享受できる状態にあること』を指すんだよ。 December 12, 2025

国政政党が、Ｘという不特定多数に開かれた公開空間を用いて、内輪の会食や私的なエピソード、組織内部の称賛関係を物語として発信すること自体が、政党の公共的性格と根本的に矛盾している。

そもそも国政政党とは、支持者や関係者のための親密な共同体ではない。国民全体を代表し、政策を掲げ、立法と行政監視を担うために存在する政治主体である。その発信は、原理的に「内部向け」ではなく「外部＝国民向け」でなければならない。ここでいう外部とは、支持者に限らず、無関心層、批判者、反対者を含む全ての国民を指す。

にもかかわらず、公開SNS上で展開される内輪の忘年会描写や、誰が誰を褒めたかという詳細な人間関係の共有は、発信の受け手を暗黙のうちに選別する。そこに描かれる「温かい組織像」は、内部の結束を確認するための物語であり、政策判断を求める国民にとっては情報価値を持たない。むしろ、その発信は「われわれの内側」を前提とする排他的な構造を露呈させる。

また、こうした発信は、政治的責任の所在を意図的に曖昧にする効果を持つ。政策や国会活動を語らず、人柄や雰囲気、善意のエピソードを前面に出すことで、政党は評価軸を「是非」から「好悪」へとすり替える。これは政治を人格物語に還元する典型的な手法であり、民主政治において最も警戒されるべき傾向だ。

さらに問題なのは、公開の場と私的空間の区別が意識的に解体されている点である。忘年会という本来私的な行為を、あえて公開SNSで共有する行為は、「私たちは仲が良い」「上下関係がない」というイメージを演出する一方で、政党という公的組織に求められる緊張感と距離感を失わせる。公的権力に近い位置にいる者ほど、私的な振る舞いを抑制すべきだという原則が、完全に逆転している。

また、ボランティアやスタッフへの称賛が繰り返される構図も、一見すると配慮に見えながら、実際には組織内部の序列を再確認する装置として機能している。誰が称賛する側で、誰が称賛される側なのかを可視化する行為は、権力関係の演出に他ならない。それを公開の場で行うことは、政党の透明性を高めるのではなく、むしろ私的権威の誇示に近い。

国政政党の発信において問われるべきなのは、「どれだけ温かいか」ではなく、「何を決め、何に責任を負うのか」である。内輪の美談や雰囲気の共有が発信の中心に据えられる時点で、その政党は政治主体としての自己規定を見失っていると言わざるを得ない。

Ｘは日記帳でも、回覧板でもない。そこは公共空間であり、国政政党が立つべき場所は、私的な共感の輪の中心ではなく、常に批判に晒される開かれた場の只中である。内輪の物語を語り続ける政党は、その公共性を自ら縮小し、政党である以前に「仲間内の集団」へと自己を矮小化している。

これは好みや印象の問題ではない。
国政政党という存在の定義そのものに関わる、根本的な問題である。 December 12, 2025