声優業界で「強い女性キャラが少ない」というポストについてサウンドミキサー視点で考察しますが、

まず“強い女性の声”を成立させるために必要なのは、声優さんがよく言う「滑舌」「腹」「思い切り」…これはガチで王道。

でも、現場にいて感じる“コツ”はもう一つあります。

それは 「評価軸を極度に気にしすぎない声作り」

これはあくまで私のドラマでの経験に基づく話になってしまいますが、

キャラの方向性を決める段階では、「強いけど可愛さは残したい」「でも威圧感もほしい」みたいに、複数の要素が同時に求められることが多い。

結果、“強い女性像”が曖昧なまま収録に入ってしまうケースが意外とあります。

そこで大事になるのが、声優さん本人の 「自分の意志を堂々と外に出すマインド」。

ここが強い人は、マイク前の芝居にもブレがなく、ミキサー的にも EQ やコンプで“芯を補強するだけ”で成立する。

逆に、周りの空気を気にし過ぎるタイプだと、声がふっと弱くなる瞬間があり、そのたびに音響側で支え直す必要が出てくる。

つまり強いキャラは、声帯だけじゃなく「心の姿勢」が音に乗る。

これは収録でずっと仕事をしていると本当に分かる。

技術はあとから伸びるけど、「自分の感情を堂々と使う勇気」は、作品の空気を変えるほど音に出る。

強さって結局、音としての“芯の密度”に現れるんですよね。

息が混じるとキャラが弱く聴こえるし、逆に腹から真っ直ぐ通った声は、どんなに優しいセリフでも“軸”がぶれない。

そんな意味でも、強い女性キャラクターを演じるためには、優しさと強さを併せ持つ“芯のある心”が一番の武器だと思っています。 December 12, 2025