イタリアン・ジャズ・ロックの最高峰バンド、アルティ・エ・メスティエリの最新作『ディー・ブレーン』が到着。キングレコードより11月26日、倭国先行発売。

前作『ウニヴェルシ・パラレリ～併存』以来、約10年ぶりのスタジオ・アルバムで、デビュー50周年記念盤です。これまでアルティ・エ・メスティエリに縁のあったメンバーが大挙して参加しており、これ1枚でバンドのデビューから現在までの歴史を（メンバー的にも）俯瞰できる、壮大なオリジナル作品に仕上がっています。

1974年のデビュー作『ティルト』から50年を迎えた昨年、最初は『ティルト』の完全再現+αの作品を作ると聞いていたんですが、どんどん話が大きくなっていって、いつの間にか全編オリジナル楽曲による新作となりました。

50年経ったバンドであるにも関わらず、昨年他界したアルトゥーロ・ヴィターレの演奏を含め、オリジナル・メンバー6人が全員参加していることは驚異に値します。そんなバンドは世界中ほかに聴いたことがありません。とにかくスピードがあり、手数が多いフリオ・キリコの爆裂ドラムが今も変わらずパワー全開であることが、アルティの現役感を醸しだしていて嬉しくなります。

各曲の雰囲気が作曲者それぞれのキャラクターが色濃く出ているのに、フリオのパワー・ドラムのおかげですべてがアルティ・エ・メスティエリの音楽になっているから不思議です。

前作もかなりの高評価を得ましたが、今作も間違いなく現代のイタリアン・ロックを代表するアルバムとして聴き継がれることは間違いないでしょう。

倭国盤のみのボーナス・トラックとして、今年行われたアルトゥーロ・ヴィターレ追悼コンサートから、残った5人のオリジナル・メンバーが演奏した「インプロヴィゼーション・フォー・アルトゥーロ」が収録されています。

私は解説を担当しました。

このアルバムを引っさげての来年春の来日公演が待ち遠しいですね。

ディー・ブレーン
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