オーボエ トレンド
0post
2025.11.23 12:00
:0% :0% (40代/男性)
人気のポスト ※表示されているRP数は特定時点のものです
**[毎日更新]吹奏楽テキストドラマ
《Brass Roots — ブラスルーツ》
第10話「教室に響く“伝統の音”と、8人の立ち位置」**
放課後。
結衣は、胸の奥がずっと落ち着かなかった。
今日は——
トランペット8人全員が揃う初めての練習。
その場所は、普段は普通の教室。
でも吹奏楽部の時間になると、
机が端に寄せられ、譜面台が並び、
“トランペットパート専用の練習教室” に早変わりする。
扉を開けた瞬間——
空気が震えた。
高く、太く、鋭い音。
金管特有の圧が、教室の壁を震わせている。
(……これが……
伝統の“パワーブラス”のトランペット……?)
橘優那(3年)がロングトーンをしていた。
ただのB♭のはずなのに、
芯のある音が天井までまっすぐ突き抜けていく。
その横で、下村麗(3年)も高音を鳴らしていた。
橘とは違う角度の強さで、張りのある音が響いている。
2年の広瀬朋香と、
同じく2年の城山彩音は、
低めの音でしっかり支えるように吹いていた。
その音は**“支えるための力”**がはっきりある。
1年生数名もウォーミングアップをしているが、
先輩たちの音圧と比べると、
まるで別の楽器のように聞こえた。
結衣は思わず息を呑んだ。
(な、なんて強い音……
音量っていうより、“密度”が……違う……!)
すると、
城山彩音が明るい笑顔で手を振ってきた。
「結衣ちゃん、来たね。
今日は“パワーブラスの基礎”からやるよ」
そこへ橘先輩が声を上げた。
「じゃあ、始める。
全員、ロングトーン——
“押し出す音”で」
その合図で、8人が一斉に構えた。
吸って——
吹く。
ドンッ!
息を吹いた瞬間、
教室の空気が揺れた。
結衣はその迫力に、一歩後ろに下がりそうになった。
(す、すごい……!
音が重い……圧がすごい……!)
しかし周りの先輩たちは
まったく力んでいないように見える。
それなのに、音が太い。
広がらず、まっすぐ飛んでくる。
——これが“伝統”の音。
橘先輩が結衣に近づき、
やさしく教えてくれた。
「天野、息を“上じゃなくて前”に出す感じだよ。
音じゃなくて、
**“空気そのものを押し出す”**イメージ」
「お、押し出す……」
再び吹いてみる。
音はまだ先輩ほど強くないけれど、
ほんの少し、伸びる感覚があった。
「そう。
今の、いい。」
橘先輩が軽く頷いた。
次のメニューは“ユニゾン”。
8人で同じメロディを吹く。
「この曲、伝統の“パワーブラス曲”のやつね」
と誰かが言い、
先輩たちが嬉しそうに構えた。
(パワーブラス……もうそれだけで緊張する……!)
指揮なし。
橘先輩の息吸いだけで全員がタイミングを合わせる。
「スッ——」
——音が放たれた。
8人なのに、1つの巨大な楽器みたい。
音が分厚いのに、バラつかない。
そして、
圧倒的に「攻めてくる」。
(すごい……
まさに……“伝統の金管”の音だ……)
結衣の音はその中に埋もれがちだった。
でも、橘先輩が声をかける。
「天野、
“負けない”じゃなくて“乗る”感じね。
波に逆らわないで、
波の上で鳴る音を出すの」
「……波の上……?」
意味はまだ完全に理解できなかったが、
結衣は必死に吹いた。
すると——
ほんの一瞬だけ、
先輩たちの音の“上の空間”に
自分の音がふっと乗った。
(……今……乗った……?)
城山彩音が笑顔で言う。
「そうそう!その感じ!
結衣ちゃん、ちゃんと“このパートの音”になってるよ」
喉が熱くなる。
(私……
この“伝統の音”の中で……
ちゃんと吹けてる……?)
橘先輩が全員に向けて言う。
「8人で5席を目指して、
みんなで強くなろう。
同じ曲を吹いても、
“誰が必要か”は音が決めるからね」
8人の目の色が変わった。
もちろん結衣も。
(音が……
私の“立ち位置”を決めるんだ)
震えるほど怖くて、
でもそれ以上に胸が高鳴った。
——結衣は、ここで強くなりたい。
そう強く思った。
----------
松戸市の市民吹奏楽、クラルテウインドはオーケストラです!毎週日曜、午後から練習しています!全パート募集中なので見学に来てください!
HP https://t.co/eZQqxasE00
#松戸市 #吹奏楽 #吹奏楽コンクール #吹奏楽あるある #吹奏楽ネタ #フルート #オーボエ #クラリネット #サックス #バスクラリネット #ファゴット #トランペット #トロンボーン #ホルン #ユーフォニアム #テューバ #コントラバス #パーカッション November 11, 2025
1RP
マルチェッロのオーボエ協奏曲です。イタリアの音楽。この二楽章だけでオーボエを吹きたいと歩みを始めるものは多いのです。 https://t.co/ArPbbJxwpB November 11, 2025
**[毎日更新]吹奏楽テキストドラマ
《Brass Roots — ブラスルーツ》
第11話「先輩たちの本音と、城山の迷い」**
8人全員での“伝統のパワーブラス”練習が終わり、
結衣は楽器を拭きながら、
胸の高鳴りがまだ収まらないでいた。
(今日の音……
少しだけでも、波に乗れた……
気がする……)
あの一瞬。
自分の音が、8人の巨大な響きの中に“混ざった”。
それがただ嬉しくて、
帰り支度をしながら何度も胸に手を当てた。
そんな時——
「——彩音、最近どう思う?」
教室の外から、静かな声が聞こえた。
(え……城山先輩……?)
扉の向こうで、
2年生の数人が話していた。
名前を呼ばれて、思わず足が止まる。
「今年のレギュラー、どうなるかなってさ」
「……天野さんのこと?」
「うん。
あの一年、音が伸びてきてるよね。
正直、“いい勝負になる”んじゃない?」
一瞬、空気が止まった。
(……っ)
城山彩音の声が返ってくる。
「……わかってるよ。
結衣ちゃん、伸びてる。
あの子の音、強くなってる」
沈黙が落ちた後、
別の2年生が慎重に言う。
「でも彩音は今年……
本気で“パートの中心”を狙ってるんでしょ?」
「……うん。
今年こそレギュラーをとりたい」
その声には、
いつもの余裕とは違う“熱”があった。
「でも……
あの子の音を聴くと、
ちょっと……焦る。」
(……城山先輩が……焦ってる……?)
信じられなかった。
彩音は誰よりも落ち着いていて、
誰よりも技術が安定していて、
ライバルと言われても“余裕”がある人だと思っていた。
なのに。
「……私だって、まだまだなんだよ。
結衣ちゃんと同じで、
音に自信がない日もある」
その声は、
いつもより少しだけ弱かった。
「でも……」
彩音は続ける。
「負けたくない。
今年こそ、本番の席に座りたい。
だから……
結衣ちゃんには、私が本気で行く姿を見せるよ」
静かな決意がこもっていた。
結衣は胸が熱くなる。
(城山先輩……
こんな気持ちで、私と向き合ってくれてたんだ……)
逃げたくなる気持ちも、
怖くなる瞬間も、
きっと同じ。
ただ、音で向き合っていく。
そんな彩音の声が、
すぐ近くで聞こえた。
「……誰かいるの?」
しまった。
結衣は反射的に身を引いてしまい——
譜面ファイルが床に落ちた。
バサッ
「結衣ちゃん……?」
扉の向こうから、
彩音が顔を出してきた。
逃げようとした結衣の肩を、
彩音の手がそっと掴んだ。
「聞いてた……?」
結衣は下を向いたまま、小さく頷く。
彩音は驚くでも怒るでもなく、
静かに息を吐いた。
そして——
「……じゃあ、ちゃんと言うね」
結衣は顔を上げる。
彩音は、
まっすぐな目をしていた。
「結衣ちゃん。
私、あなたに負けたくない。
でも……
あなたと勝負できるの、ちょっと嬉しい。」
結衣の目に涙がにじんだ。
「わ、わたし……
先輩みたいになりたいです。
でも……負けたくないです……!」
彩音はふっと笑顔を見せる。
「うん。
それでいい。
今年のコンクール、
音で勝負しよ?」
二人は向かい合って、
静かに頷き合った。
——“本気のライバル”がここに確立した瞬間だった。
----------
松戸市の市民吹奏楽、クラルテウインドはオーケストラです!毎週日曜、午後から練習しています!全パート募集中なので見学に来てください!
HP https://t.co/eZQqxasE00
#松戸市 #吹奏楽 #吹奏楽コンクール #吹奏楽あるある #吹奏楽ネタ #フルート #オーボエ #クラリネット #サックス #バスクラリネット #ファゴット #トランペット #トロンボーン #ホルン #ユーフォニアム #テューバ #コントラバス #パーカッション November 11, 2025
<ポストの表示について>
本サイトではXの利用規約に沿ってポストを表示させていただいております。ポストの非表示を希望される方はこちらのお問い合わせフォームまでご連絡下さい。こちらのデータはAPIでも販売しております。



