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電子顕微鏡
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2025.11.28 19:00
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コモドドラゴンと同じ狩りのスタイルの肉食恐竜⁉️
#古知累論文紹介
恐竜映画で、ティラノサウルスが獲物に喰らいつくシーンを見たことはありますか?
迫力満点のシーンですが、実際に彼らが「どうやって」肉を食べていたのかを知るのは、実はとても難しいことなんです。
骨の化石は残りますが、「動き」や「行動」は化石に残らないからです。
しかし、その秘密を解く手がかりが、実は「歯の表面」に残されていました。
今回ご紹介するのは、1億5000万年前の肉食恐竜の歯に残された、ミクロの傷跡(マイクロウェア)を分析した研究です。
舞台はポルトガルのジュラ紀後期の地層です。
ここから見つかった、アロサウルスやドロマエオサウルス類(ラプトル)と思われる小型の肉食恐竜の「抜け落ちた歯」が主役です。
研究チームは、この歯を電子顕微鏡で拡大し、目には見えない微細な傷を観察しました。
すると、そこには太古の食事の痕跡が刻まれていたのです。
まず見つかったのは、歯と歯がぶつかってできたと思われる「摩耗面」です。
これは、上下の歯が噛み合う際についたものと考えられます。
「欠けた跡(スポーリング)」も見つかりました。
これは、肉だけでなく、骨などの硬いものを噛んだ時にできた傷だと推測されました。
つまり、彼らは肉だけでなく、ときには骨などの硬い部分まで噛んでいた可能性があるのです。
そして、最も重要な発見は「傷の向き」でした。
歯の表面には、斜め方向の細かいひっかき傷が無数に残っていました。
これは何を意味するのでしょうか?
研究者たちは、これを「パンクチャー・アンド・プル(突き刺して引く)」という摂食動作の痕跡だと考えています。
獲物にガブリと噛みつき、そのまま頭を後ろや斜めに強く引くことで、肉を引きちぎるスタイルです。
この動きは、現代のコモドドラゴン(コモドオオトカゲ)の食事方法と非常によく似ています。
さらに、この仮説を検証するために、コンピューターシミュレーション(有限要素解析)も行われました。
歯の3Dモデルを使って、どの角度から力が加わると歯が壊れにくいかを計算したのです。
その結果、歯が最も耐えられる角度と、実際に観察された傷の角度(45度〜60度付近)が、見事に一致しました。
つまり、彼らの歯は「噛みついて引っ張る」という動作に最適な構造をしており、実際にその通りに使っていた可能性が高いのです。
また、一本の歯からは、興味深いドラマが見えてきました。
その歯は先端が大きく折れてなくなっていましたが、折れた断面が丸くすり減っていたのです。
これは、獲物をつかむときなどに歯の先端が折れ、その後もしばらく口の中で使われ続けるあいだに、折れた面が丸く摩耗していったことを示しています。
おそらく、獲物を捕らえる際に激しい衝撃が加わったのでしょう。
これまで、白亜紀のコエルロサウルス類などで詳しく示されていた『突き刺して引く』食事法が、今回の研究でジュラ紀の小型肉食恐竜でも支持された可能性が示されました。
元論文URL→ https://t.co/OAEgF2hi6B November 11, 2025
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