破産した今だからこそ公に出来ますが、2016年11月、山賀氏からの相談を受け、ガイナックス救済のためにCSOの名刺を持って無償で買収先を探し走り回っていました。

山鹿氏から伝えられたのは、カラーからの告訴まで残された猶予はわずか1か月という極めて難易度の高い条件下でしたが、上場企業2社、誰もが知る非上場企業1社、さらに海外企業1社と交渉を行いました。

特に非上場企業については、当時アニメ事業への参入を検討していた会長本人に直接オファーを行いました。六本木の電信柱の陰で立ち話をしながら、買収額は「カラーへの支払いを含む負債総額そのもの」であり、私自身のマージンは一切ゼロであることを率直に伝えました。

そのうえで会長は、わずか2分ほどの会話で「いいよ。買う」と即断してくださいました。

その1週間後、山賀氏・浅尾氏を伴って本社での調印に向かったものの、調印30分前になって“隠れ負債”の報告が入り、交渉は急転直下で破談となりました。

破産によって資産が国内外に散逸すれば、倭国の文化的資産が大きく損なわれると、考えて自分なにに全てのコネクションを活かして動いていましたが、結果として力及ばず、非常に残念な結末となりました。

というか、当時のガイナックスは財務管理が完全に機能不全に陥っており、あるいは虚偽報告が行われていたと判断せざるを得ない状況でした。

事実としてお伝えしておきたいのは、山賀氏本人には「カラーへの負債を踏み倒す意図」はまったくなく、売却によって何とかわ返済したいという思いから相談を寄せてきていたという点です。

実際、資金難の山賀氏は腕時計を売って電車賃を工面し、週に1〜2度行っていた赤坂での打ち合わせに来ていました。本人は決してそうした事実は語らないと思うので、この点については私から補足としてフォローしておきたいと思います。 December 12, 2025