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エネルギー政策
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2025.12.04 20:00
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1. いま倭国・東電エリアは本当に「レッド」か
発電側の現状
倭国全体の発電の内訳は、
再エネ(さいえね、再生可能エネルギー)約23%、原子力約9%、火力(かりょく)約69%(2023年度)です。経済産業省
再エネは2010年の約1割から、2023年には2割強まで増えていますが、ヨーロッパと比べるとまだ低く、導入ペースも頭打ち感が出ています。ISEP 環境エネルギー政策研究所+1
東京エリアは、予備率(よびりつ:余裕の供給力)が3%前後ギリギリになるケースが何度も出ており、「安定だが、余裕は薄い」状態です。JEPIC+2一般財団法人 倭国エネルギー経済研究所 - IEEJ+2
つまり
常に非常事態ではないが、
ショック(猛暑・大規模故障)があると一気に厳しくなる「慢性的な綱渡り」
という評価が妥当です。
「福島・新潟が心臓だった」はほぼ正しい
事故前、首都圏には福島第一・第二と柏崎刈羽(新潟)から大容量の幹線送電が来ており、「東京の心臓」の一つだったのは事実です。東京電力+1
これらが止まり、代わりにLNG(液化天然ガス)火力・石炭火力と再エネで穴を埋めている、という構図です。
2. 「火力を自ら閉め、投資せず、再エネ不発」という評価
ここは「半分正しい・半分ちがう」です。
正しい側面
古い石炭火力・効率の悪い設備は、2030年前後までに順次とめていく方針で、実際に廃止予定も増えています。Argus Media+1
再エネは伸びたものの、系統(送電網)の制約で出力抑制が増え、目標ペースには届いていません。ISEP 環境エネルギー政策研究所+1
ちがう/補足が必要な点
「投資していない」わけではなく、
超々臨界圧の高効率石炭、
高効率ガスタービン、
大規模蓄電池
などには一定の投資が続いています。JEPIC+1
ただし、GX(グリーントランスフォーメーション)政策と排出量取引制度(GX-ETS)の導入により、
新しい化石燃料火力を長寿命前提で大量に増やすのは政治的にかなり難しい 状況です。内閣官房+2Climate Integrate | 気候を保護するために+2
クロケンさんのいう「見えない火力パージ縛り」は、
公式には「段階的な脱炭素」の名目ですが、
実質としては新規火力へのブレーキになっている、という理解でよいと思います。
3. クロケン案は現実にどれくらい近いか
① 原発の再稼働を「一定のトルク」で進める
政府は方針を転換し、「原発最大限活用」「2040年に原子力20%前後」を打ち出しています。ファイナンシャル・タイムズ+1
新潟県知事も柏崎刈羽の再稼働を容認し、東電原発が14年ぶりに動く方向です(細かい安全・書類問題はまだ残る)。ファイナンシャル・タイムズ+1
→ ここはクロケンさんの方向性とほぼ完全に一致しています。
② 旧原発幹線を生かしたガス火力の配置
発想としてはかなり合理的です。
既にある大容量の変電所・送電線を流用すれば、
新しい幹線をゼロから引くより安く、
系統増強の時間も短縮できます。サイエンスダイレクト+1
実際に福島では、大規模蓄電池プロジェクトが進み、「元・原発頼みの送電ノード」を再エネ・蓄電の結節点として使う動きが出ています。Reuters
制約は、
LNG受け入れ基地・パイプラインの位置
地元合意と「また大規模発電所か」という心理
GX-ETSによるガス火力のCO₂コスト上昇
ですが、「送電幹線をムダにしない」というコンセプト自体は、電力政策的に筋が良いです。
③ 新型の石炭火力も欲しい
ここだけは、現実とのギャップが大きいです。
G7合意では「2030年代前半までに石炭火力を段階的に廃止」が宣言されており、Climate Integrate | 気候を保護するために
倭国のエネルギー計画も、石炭の比率を早期に下げる方向で統一されています。自然エネルギー財団+1
現実路線としては「既設の高効率石炭を、脱炭素電源(原子力・再エネ・蓄電)で徐々に置き換える」が上限で、
新規の大規模石炭をクリーンに増やす余地はほぼない、というのが国際交渉上の前提になっています。
4. 「10年後」を狙ううえでの本当の課題
クロケンさんの視点をベースに、10年スパンで見ると課題は次の4本柱だと整理できます。
送電網と系統の強化
北海道・東北・九州など再エネが多い地域と、首都圏・中京圏をつなぐ幹線の増強
東西連系(50Hz/60Hz)の強化
→ 「電気が余っている地域」と「足りない地域」を、今よりずっと太くつなぐこと。
原発の再稼働と老朽管理の現実路線
安全対策と地元合意に時間がかかるのは前提として、
どの炉をいつまで使い、どのタイミングで次世代炉(SMRなど)に置き換えるか、現実的なロードマップづくり。ファイナンシャル・タイムズ+1
「消せる需要」と蓄電の拡大
動的料金(時間で電気料金を変える仕組み)
工場・データセンターの需要抑制契約
大容量電池・揚水発電の増強
→ ここが進むと、同じ発電設備でも「予備率3%」の意味がかなり変わります。Reuters+1
火力の「賢い残し方」
既設の高効率ガス・石炭を「バックアップ要員」として、急がず丁寧にフェードアウトさせること
GX-ETSでCO₂コストは上がるが、容量市場などで「壊滅的な供給不足」は避ける仕組みづくり。おきつと+2Shulman Advisory+2
まとめ(クロケンさん向けの一文)
現状認識:
「福島・新潟の原発を失い、火力を急いで絞り、再エネも伸び悩み → 予備率ギリギリ」という理解は、大筋で正しい。ただし『常時レッド』ではなく、『事故や猛暑が来るとすぐレッドになる構造』。
方向性:
クロケンさんの
原発を一定ペースで再稼働させ
旧幹線を生かしてガス火力や蓄電を配置し
火力パージをイデオロギーではなく現実と折り合う
という発想は、倭国政府の実際の軌道とかなり近いです。
石炭だけは国際政治上の制約が強いので、
「新設石炭」ではなく「原発+ガス+再エネ+蓄電」でどう埋めるか、という方向に修正しておくと、今後のニュースの読み解きもかなりスッキリすると思います。 December 12, 2025
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