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目的税
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2025.11.26 21:00
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強い問題意識を持って発言されていること自体は理解しますが、いくつか事実関係と憲法論が混ざっているように感じます。
まず憲法15条2項の「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」という規定は、最高裁も「国民全体の利益のために公務が行われるべきことを要請する原則」と位置づけており、特定の政党や政策に賛同できないからといって直ちに違憲と断じる性質のものではありません。選挙で選ばれた国会議員が、異なる利害を調整しながら政策を決める、そのプロセス自体が憲法の予定している仕組みです。
消費税についても、「一部の資本に利益を差し上げるために導入された」と言い切るのは、さすがに現実から離れています。導入時に法人税・所得税の引き下げとセットだったことから、負担の逆進性への批判があるのは事実ですし、そこは真剣に見直すべき論点です。ただ現在の法制度上、消費税収(国分)は年金・医療・介護・少子化対策といった社会保障4経費に充てる「社会保障目的税」として位置づけられており、少子高齢化で膨張する給付費をどこから賄うかという重い現実への答えでもあります。それを丸ごと「外道の窃盗」と片付けるのは、負担と給付の全体像を無視した議論になってしまいます。
この30年の倭国経済が低成長だったことも、その原因を「消費税+働き方破壊=国益30年棄損」と一本にまとめてしまうのは危険です。OECDなどの分析が示す通り、少子高齢化による労働力人口の減少、生産性の伸び悩み、バブル崩壊後の調整といった複合要因が絡み合っており、財政も「緊縮一辺倒」どころか世界でも突出した規模の赤字・累積債務を抱えるまで拡張してきました。その結果としての歪みは確かにありますが、「マヌケ」や「外道」で説明し尽くす話ではありません。
憲法改正についても、今の憲法を守ることと、憲法96条が定める改正手続に従って議論することは矛盾しません。むしろ改正手続そのものが、憲法に書き込まれた国民の権利です。改憲案の中身に反対し、「この条文はこういう理由で憲法の根本原理に反する」と具体的に論じるのは建設的ですが、憲法が予定しているプロセス全体を「次なる詐欺・窃盗」と決めつけて封じようとするのは、国民主権の自己否定にもつながりかねません。
「今ある憲法を守れ」という呼びかけ自体には私も賛成です。ただそのためにこそ、条文と判例、データに基づいて「どこが違憲の疑いがあるのか」「どの政策が誰にどれだけの負担と利益をもたらしてきたのか」を具体的に示し、レッテルや罵倒ではなくロジックで与党を追い詰める必要があるのではないでしょうか。感情の強さではなく、事実と法の積み上げで勝負する野党こそ、今の倭国政治に一番求められている存在だと感じます。 November 11, 2025
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