産業構造
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2025.12.20 04:00
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もう大分昔の話になるが、当時ハーバーガーは米国経済学会会長講演としてサンセット・サンライズ・ダイアグラムという形でTFP(全要素生産性)上昇率について興味深い話をしている。(Arnold C. Harberger, “A Vision of the Growth Process,” AER(1998) )。https://t.co/MZotfsDIOS
国のTFP上昇率は国を構成する個々の産業の値の加重平均になる。産業の値は産業に属する企業の値の加重平均になる。それを値の低い方から順番に並べるとSSダイアグラムが描ける。
どの産業も、大きくプラスで平均を引き上げる企業がある一方、必ずマイナスの値で足を引っ張る企業もある。どの国も、プラスの寄与の大きい産業とマイナスに寄与する産業があり、前者がいわゆるリーディングインダストリーでこの当時まで米国では10年毎に入れ替わってきた。
これが彼の講演の要旨、ポイントである。
倭国の長期停滞は、ダイナミックにリーディングインダストリーが交代してきた80年までと違い、90年代以降新しいそれらしきもの、すなわちTFPの高い上昇率で国の経済全体の値を引き上げる新規産業が不在となり、国全体のTFP上昇率が低位にとどまったという解釈が可能である。
この論理は、企業と社員の間にもアナロジーが効く、生産性高く企業の生産性の上昇に寄与する社員がいる一方、足を引っ張る社員もいる。最近多くの製造業大企業が業績悪化を理由としない大量の早期希望退職者の募集に踏み切っている。40歳代後半以降で生産性上昇に寄与しない社員、固定費として無視できない正規雇用社員を減らしたいのだ。規制改革の本丸は金銭解雇制度の導入と言われている。働きアリの法則もあるが、AIの急速な普及もあって企業の選択肢として今後導入が不可避になる。ひいては倭国経済の成長のためにも導入が不可欠である。
産業については、2010年の産構審ビジョンで自動車依存の「一本足打法」から戦略五分野の「八ヶ岳構造」へと方針転換し、2017 年には、Connected Industries という産業分類横断的な未来像を提示し、リーディングインダストリーの考え方を放棄している。今現在の高市内閣の成長戦略は産業の顔ぶれが多少変わっただけで相も変わらず、昔の名前で出ています状態、旧態依然たる様相で知恵がほとんど感じられない。
私見を述べれば、先端最終製品部門と製造装置・計測機器など資本財を作るBtoBの中間財部門をしっかりと区別して、前者にだけ大量の資金を投入するリスクを避ける一方、中間財産業を基盤産業部門として明確に位置付けその切れ味を高めていく、量より質の産業政策が重要だと思っている。
これは、これも今や古い話になるが、内生的経済成長理論のデイヴィッド・ローマーのモデル、すなわち、最終財部門、中間財部門、研究開発部門の産業構造を前提としたモデルと合致している。ローマーは中間財部門の独占的競争による多様な中間財の供給がイノベーション、成長のカギであるとしている。いうまでもないが、常々重要性を強調しているグローバル・ニッチトップ企業がこれに相当し、倭国ほどこうした企業が多く、活発に活動している国はないのである。
ラピダス一点張りは危険すぎる、このままでは必ず失敗する。高市首相はポーズで資金を出す、あるいは利権議員や官僚の話ばかりに耳を傾けるのはやめて、よく有識者の意見を聞いて適切な選択と集中を図り着実に実施していくべきである。 December 12, 2025
付加価値の低い産業を保護し続けて、安い労働力に頼り切った産業構造のまま、新しい成長産業を育てるのをサボって、世界の技術の進歩も理解できない国民になって、働かずにベーシックインカムで生きるような生活を望む国民が増殖した結果なのです。恥ずかしい!。 https://t.co/7UteWScITC December 12, 2025
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