「凡そ この度開戦以来現代民衆の心情ほど解しがたきものはなし。
多年従事せし職業を奪はれて職工に徴集せらる、もさして悲しまず。

空襲近しと言はれても亦驚き騒かず。何事の起り来るとも唯その成りゆきに任かせて寸毫の感激をも催すことなし。

彼等は唯電車の乗降りに必死となりて先を争ふのみ。是現代一般の世情なるべく全く不可解の状態なり」永井荷風『断腸亭日乗』一九四四(昭和一九)年三月二四日

「元来倭国人には、理想なく強きものに従ひ、その日その日を、気楽に送ることを第一になすなり」
永井荷風『断腸亭日乗』 December 12, 2025

「要するに、ずっと以前から「倭国国民を構成する存在が個人であることに目覚めていない」という事実を
荷風は執拗に指摘しているのだ。
つまりは、「倭国国民は自分が人間であることに目覚めていない」のだ」

永井荷風の90年前の日記を読むと、全く進歩していないとわかる。 https://t.co/kUDfDWut6e December 12, 2025