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新宿武蔵野館
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2025.12.14 07:00
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ファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督「マルドロール/腐敗」新宿武蔵野館にて鑑賞
正義はある、だが正義は負ける。
沈黙した声のかわりに、
銃弾が尽きるまで、
この輪は回り続ける。
フランス・ベルギー合作クライムスリラー。
ヴェルツ監督の「ベルギーの闇」シリーズ(「変態村」、「地獄愛」、「依存魔」)に続く第4弾。(なお私は依存魔しか観られていない。)
実在した「ベルギーのトラウマ」である「マルク・デュトルー事件(1995-1996)」を基に、ベルギー社会の構造的腐敗をオリジナルキャラクターで描く。美しい恋人と結婚間近で、あどけなさすら残る若き憲兵のポール。極秘任務「マルドロール作戦」に配属され、連続少女失踪事件を追うが、自治体警察・司法警察・国家憲兵隊の連携がとれず、熱血漢なポールは孤独で危険な闘いに狂い始める。演歌(?)調の哀しげな音楽と陽気なシチリアのウェディングが彩る、本物の執念の物語。ベルギーの話であるが、組織の機能不全や権力の腐敗は普遍的事象で、国際的問題であると考えさせられる。
デヴィッド・フィンチャー作品で「ゾディアック」を選ぶほど、事件に取り憑かれた男が正義の彼方に狂う物語が好きで、簡単なあらすじをみた瞬間劇場鑑賞を決めていた。(アンプラグドさん、ムビチケありがとうございました!)あとは、「おんどりの鳴く前に」も一大ブームになっていたな。
自分の所属する組織では、どこが憲兵隊で、どこが司法警察で、どこが自治体警察だろうと考えたら、わかりやすくゲンナリしてくる。
この宇宙には腐敗しゆくものの一定の方程式があるんじゃないかと思える。つまり悪はうまれるべくして、いつの世もそこにうまれる。腐って、無関心で、いい加減なことばかり。私たちがいまだ正義と信じているものが実際の近代社会でどういう扱いをされたのか、その最前線を見せつけられた。
子ライオンみたいなお顔、クリームパンのような坊やが怒りと絶望に目を見開く姿は耐えがたい、だけど何故か目が離せない。アントニー・バジョンさんの演技に熱視線!他の作品もみてみたい。
ベアトリス・ダルの存在は秘密のスパイスのように芳しい。あんなにヨレヨレな母親像でも、どこか力強くみえた。
#マルドロール腐敗 December 12, 2025
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