安徳天皇 トレンド
0post
2025.12.12 17:00
:0% :0% (-/-)
人気のポスト ※表示されているRP数は特定時点のものです
【『地平』2026年1月号/連載】new!!
台湾・麗しの島だより——移行期正義の練習帳(第19回)製糖業の記憶をめぐって交差する台湾と倭国
栖来ひかり(文筆家)
ーーー
●現代アートの展覧会――歴史的事件の交差点
台湾の現代アートでも「移行期正義」は大事なテーマだが、ここ数年でとりわけ心に深く残っているのが《浪のしたにも都のさぶらふぞ》という展覧会である。
このタイトルは、『平家物語』に登場する壇ノ浦の有名なシーンから来ている。平氏が源氏に敗れ、幼い安徳天皇が祖母の二位殿に「わたしをどこへ連れていくのか」と問うと、祖母は「海の底にも都がございます」と答えて天皇とともに壇ノ浦に入水する。下関市にある赤間神宮はこの安徳天皇を祀っており、竜宮城のような赤間神宮の社殿から鳥居を見ると、その向こうに一行が身を投げたとされる現場が見える。神宮の奥の院には平家一門の墓もある。
壇ノ浦とは、瀬戸内海と倭国海の潮がぶつかる関門海峡にあり、重要な歴史の舞台となってきた。壇ノ浦の戦い、宮本武蔵と佐々木小次郎の巌流島の決闘、長州藩と英・仏・蘭・米が戦った馬関戦争……。「台湾と源平合戦、なんの関係が?」と不思議に思われるかもしれないが、日清戦争のさいに、清国から倭国へと台湾「割譲」を取り決められた日清講和条約は、赤間神宮に隣接する料亭「春帆楼」にて調印された。下関の海を挟んだ向かい側は、福岡県北九州市の門司である。関門トンネルが開通するまえ、門司港は九州鉄道の始発点であり、倭国の玄関口でもあった。台湾と門司港を内台航路が結び、台湾から運ばれたバナナのうち黒ずんだ荷は門司港で卸され、露店商が「バナナのたたき売り」をした。これは今も伝統芸として残り、歌詞には台湾が倭国の植民地であった記憶を留める。そして、台湾における倭国植民地時代の主要産業として発展した「砂糖」が台湾から門司へ運ばれたことで、台湾の製糖拠点のひとつであった雲林県の虎尾(フーウェイ)と門司は結ばれていた。
https://t.co/7SNumcbZzU December 12, 2025
<ポストの表示について>
本サイトではXの利用規約に沿ってポストを表示させていただいております。ポストの非表示を希望される方はこちらのお問い合わせフォームまでご連絡下さい。こちらのデータはAPIでも販売しております。



