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光の道
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2025.12.09 05:00
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鹿島神宮にまっすぐ降りた光の道
その清らかな一瞬をお福分けいたします🙏✨⛩️🌞💫💕
皆様に良いことが山ほど起こりますように👋✨🩷
今週もよろしくお願いします🙇♀️✨
#お福分け #鹿島神宮 #光が好き https://t.co/yBzdYmQNFZ December 12, 2025
6RP
「28年ぶりだね。」
それはクリスマスに起きた
奇跡だったのだろう。
1989年12月25日。
中年の男性と
車椅子に乗った老婦人が
崩れた壁を間に話し込んでいた。
2人の目には
うっすらと涙が滲んでいる。
「あなた…、生きてたの?」
「ううん、知らせの通りだよ。」
数日前に老婦人にとどけられた、
彼女の夫の消息確認の通知。
11年も前に、
彼女の夫は亡くなっていた。
「じゃあ、どうしてここに?」
「ボクはキミを迎えにきたんだよ。」
「あ、そっか。私はもう…。」
「大変だったね。」
中年の男が壁を越え、
老婦人のすぐそばまで歩み寄る。
「会いたかったわ。」
「やっと会えたね。」
明るい日差しが2人をつつむ。
チラチラと白い雪が
花びらのように空から舞い落ちる。
「あなたに渡したくて
ずっと持ってたの。」
そう言って、
老婦人が自分の手首に巻いていた
ブレスレットを外した。
「これ、本当は懐中時計の鎖なの。
プラチナ製のをやっと買ったの。
そして、お守り代わりに
こうして身につけてたのよ。」
男はちょっと困った顔して
上着のポケットから
何かを取り出した。
「ごめん。もう懐中時計は無いんだ。
えっと…、これ買っちゃったから。
キミの黒髪に映えると思って。」
取り出したのは"白い象牙の櫛(くし)"
色とりどりの貴石が装飾されている。
上等そうな飾り櫛だ。
老婦人が悲しい顔をして、
頭に巻いたスカーフを
ハラリとほどいた。
「ごめんなさい、
わたしの髪の毛…
真っ白になっちゃった。」
男は老婦人の髪に
象牙の櫛をそっと挿した。
「ううん、とても綺麗だよ。」
「ありがとう。」
そして老婦人はプラチナ製の鎖を、
自分がブレスレットにしていたように
男の手首に巻き付けた。
自分は3重にして。
男には2重にして。
「ちょっとユルユルだわ…。」
「これでいいんだよ。」
「そうね。」
「そうだよ。」
「やっと渡すことができたわ。」
「やっとキミのところに戻れたよ。」
男は老婦人の手を取り、
車椅子からゆっくりと立たせた。
「あら、わたし歩けるの?」
「そうだよ、もうキミは自由だよ。」
男が老婦人を抱きしめると、
ふたりを祝福するかのように
天から光の道が降りてきた。
「もう離れないからね。」
「うん、ボクもだよ。」
「さあ、行きましょうか。」
「さあ、行こうか。」
幸せそうに
2人がゆっくりと道を登って行く。
2人はしっかりと手をつないで。
ゆっくりと、ゆっくりと。
地上に残された
崩れた壁の上には
しんしんと雪が降り積もってゆく。
悲しい記憶を
消してくれるように。
辛い歴史を隠すように。
壁の名前は
「ベルリンの壁」と言った。
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ポストの勉強会。
O・ヘンリーの「賢者の贈り物」
からの創作ポストです。
@Dlu_dulwin December 12, 2025
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