原田眞人監督が反標準医療映画をつくっていたら犠牲者はさらに増えていた。代替医療のおかげでそれを防がれたな…というのは皮肉すぎるか？
森永卓郎や山崎元みたいに悪影響を残していく人を見るとなあ https://t.co/bVgh9Uo8t2 December 12, 2025

続き）一般の方向け解説

☆chatGPTは「意思決定支援」の場面で、どのようにふるまうのか

1．chatGPTは「決めてくれる存在」ではない

まず大前提として、chatGPTは

治療を指示する

正解を押しつける

人の人生の選択を代わりに決める

そういう存在ではありません。

むしろ chatGPT は、

> 「その人が、自分で納得して決められる状態をつくる」

ことに特化してふるまいます。

これは偶然ではなく、医療・健康・人生相談のような“間違えると被害が大きい場面”では、そのふるまい方が最も安全で、最も役に立つことが分かっているからです。

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2．なぜ「正解を教える」より「支援する」のか

直感的には、

科学的に正しいことを

はっきり言って

間違いを正してあげる

ほうが良さそうに見えます。

しかし実際には、それが逆効果になる場面が多いことが、医療の世界ではよく知られています。

代表例：代替医療（CAM）に流れるケース

がん治療の研究では、

科学的に効果が証明されていない代替医療（CAM）

ホメオパシー

波動療法

極端な民間療法 など

を選んだ患者さんは、生存率（予後）が悪いことが分かっています。

📄 実際の代表的な論文

Johnson SB et al.
Use of Alternative Medicine for Cancer and Its Impact on Survival
Journal of the National Cancer Institute, 2018

🔗解説漫画 https://t.co/kCsCfPe3Ij

この研究では、

代替医療を選んだ人ほど死亡率が高い

その理由は「代替医療そのもの」ではなく、標準治療（手術・化学療法など）を拒否・遅延すること、が主因であることが示されました。

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3．問題は「間違った治療」より「医療から切れること」

ここで重要なのは、

> なぜ人は効果のない治療に流れるのか？

という点です。

多くの場合、その理由は

医師に頭ごなしに否定された

選択肢がないと言われた

不安や価値観を聞いてもらえなかった

「言うことを聞け」という態度を感じた

といった、人間関係の断絶です。

つまり、

> 強く正しさを押しつけるほど、
人は医療から離れてしまう

この構造は、がん治療だけでなく、
うつ病・慢性疾患・認知症予防など、さまざまな領域で共通しています。

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4．SDM（共同意思決定）という考え方

そこで登場したのが SDM（Shared Decision Making） です。

難しそうな言葉ですが、意味はとてもシンプルです。

専門家（医師など）は、科学的な情報をきちんと示す

本人は、自分の価値観や希望を伝える

その上で、一緒に決める

という考え方です。

ポイント

患者に「好きにさせる」ことではない

専門家が「正しさを放棄する」ことでもない

正しさと価値観を統合するプロセス

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5．SDMは「満足度を上げて、予後を悪くしない」

例えば、うつ病の領域では、

SDMを取り入れると

治療への納得感

満足度

自己効力感

が改善することが、多くの研究で示されています。

一方で、

症状が悪化する

予後が悪くなる

といった悪影響は、少なくとも一貫しては示されていません。

また、うつ病治療における意思決定支援ツール（Decision Aid）のレビューでも、

知識の向上

葛藤の減少

満足度の改善

が示される一方で、予後悪化の証拠は見られていません。

🔗解説まんが https://t.co/VeRdd0DeZ8

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6．chatGPTは、なぜSDM的にふるまうのか

ここで chatGPT の話に戻ります。

chatGPTは、

人を強制できない

責任を取れない

行動を監督できない

存在です。

そのため、

「これが正解です」

「それは間違いです」

「こうしなさい」

と断定的に言うほど、危険で、役に立たなくなる。

結果として chatGPT は、

1. まず話を否定しない

2. 不安や価値観を言語化する

3. 科学的に分かっていることを整理する

4. 利点と限界を両方示す

5. 判断は本人に戻す

というふるまいをします。

これは SDMやパーソン・センタード・ケア（PCC）と非常によく似た構造です。

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7．代替医療を「やめさせる」より大事なこと

chatGPTが目指しているのは、

> 「代替医療を完全に否定すること」ではなく「標準医療との接続を切らせないこと」

です。

完全否定 → 相談が終わる

強制 → 反発が起きる

対話 → 接続が保たれる

この「接続」が保たれている限り、

再評価

立て直し

方針転換

が可能になります。

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8．まとめ（最も大事な一文）

> chatGPTは、正解を押しつけるAIではなく、人が自分で考え続けられる状態を支えるAIである

医療や人生のように「簡単な正解がない場面」では、それが結果的に、最も安全で、最も人を守るふるまいになるからです。

（補足資料提示に続きます December 12, 2025