たった一冊の漫画に、これほど魂を揺さぶられるとは。
ポロポロ泣くのが止まらなかった。

山本おさむ『父を焼く』。2022年の刊行時に気づけなかったことを悔やむほどの大傑作だった。
ページをめくるたび、ベテラン作家の圧倒的な「演出力」に打ちのめされる。そこにあるのは、単なるお涙頂戴ではない。老い、介護、そして肉親との永遠の別れ――誰もがいつか直面する現実が、逃げ場のないほどのリアリティと、静かな筆致で描かれている。
僕たちは、親であり、子であり、そしていずれ「焼かれる側」でもある。その循環が、言葉よりも時間の経過として示される。読み進めるうちに涙が止まらなくなり、最後には放心するしかなかった。

派手なファンタジーでもバトルものでもない。けれど、こういう作品こそが「マンガ大賞」に選ばれ、アニメーション映画として世界に残されるべきなのだと思う。
「人生」そのものを描いた、極上の人間ドラマ。今、大人が読むべき漫画は間違いなくこの一冊だ。
僕はこの表紙に撃ち抜かれた。 December 12, 2025

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