フランソワ トレンド
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2025.12.15 03:00
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星の笑い声
原作があるミュージカルを創作する時、私は物語の背景にある原作者の生い立ちや人間関係、そしてその考えにたいへん興味を惹かれます。それは原作者を深く知ることで、どうしてもその物語を書かずにはいられなかった作者自身の心の渇望が、リアルな人間像として迫ってくるからです。
異説、異論はあるかもしれませんが、『星の王子さま』から私が強く感じたのは、サン=テグジュペリが王子という存在を創りだすきっかけに、14歳で夭折した彼のたったひとりの弟・フランソワが深く関係しているのではないかということでした。
もちろん、サン=テグジュペリの著作の中に、王子と亡くなった弟のつながりを直接感じさせるような記述は見受けられません。しかし、この物語を読み返すたびに、サン=テグジュペリがもう二度と会えない誰かの面影を抱きながら生きてきた痕跡を、その行間の端々から感じずにはいられないのです。
王子は別れの時、飛行士に笑い声のプレゼントを贈ります。
「ぼくは、あの星のなかのひとつに住むんだ。そのひとつの星のなかで笑うんだ。だから、君が夜、空をながめたら、星がみんな笑っているように見えるだろう・・・・・・」。
なんと素敵なプレゼントなのでしょう。今はもういない大切な人と見た風景や一緒に過ごしたかけがえのない時間の中に隠された死者と生者をつなぐ特別な思い出。そんな目には見えない大事なものたちは、星空の下に残された私たちの心をなぐさめ、生きる勇気と活力を与えてくれます。
砂漠の基地ギャップ・ジュビーの責任者だったサン=テグジュペリは、砂漠の星空を眺める日々の中で、フランソワの笑い声を聞いていたのではないでしょうか。
音楽座ミュージカル「リトルプリンス」をご観劇いただいたお客様が、そんな大切な何かを思い浮かべる一瞬(ひととき)を手にしていただけたなら、これ以上の幸せはございません。
本日はご来場いただき本当にありがとうございました。
音楽座ミュージカル/Rカンパニー
代表 相川レイ子
(「リトルプリンス」2006年上演パンフレットより)
https://t.co/jszvt5zS2K December 12, 2025
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