まんが倭国昔ばなし アニメ
0post
2025.12.05 22:00
:0% :0% (40代/男性)
人気のポスト ※表示されているRP数は特定時点のものです
#まんが倭国昔ばなしホラー回
『夜中のおとむらい』
________
むかしむかし、今の山形県鶴岡に大場宇平というお侍がいた
ある夜、寄り合いが遅くなり、宇平は真夜中の帰宅の路を1人歩いていた
👇
もう少しで自分の屋敷が見えてくる、という所で道の先から何かがこっちに歩いてくるのがわかった
それは白装束の葬列だった
👇
その葬列は道の端で立ち止まる宇平の脇を通り過ぎていくのだが、誰も言葉を発することなく草履の『ざっ、、、ざっ、、、、』という音が立つだけなのでかなり不気味だった
👇
よく見ると、その葬列は武士のものだという事がわかった
「、、こんな夜更けに武士の弔いの列とは妙だな、、、藩庁で不幸の話は聞かなかったぞ、、、」
不審に思い、宇平は過ぎゆく1人に誰の弔いか聞く
「これは、どなたのお弔いの列なのですか?」
「、、、おうままわり二百石、、、おうば、、うへいさまの、、、、おとむらいに、、ございます、、、」
👇
、、、、拙者の弔いだ、、、
戦慄しながらそう思い、顔を上げると、過ぎ去った葬列の白装束たちが全員立ち止まってこちらをじっとで見つめていた
👇
ゾッとした宇平は慌てて駆け出す
屋敷の前まで辿り着いて驚いた
門の下に、つい今しがた焚いたばかりのお弔いの送り火の跡が残っていたからだ
👇
「おい!帰ったぞ!」
宇平は屋敷の中に入るも、そこには家人が誰もおらず、この不可解な状況を聞く事が出来なかった
👇
「、、、これは一体どういう事だ、、、?」
宇平はわけがわからないまま屋敷を出ると、当て所なく辺りをさまよった
👇
どれくらい歩いたのか、、、
気づくと宇平はお城のお堀端まで来ていた
「大葉殿ではござらぬか?かような時刻にいかがなされた?」
急に声をかけられ灯りで照らされた
見ると、見回りをしていた宇平と親しいお侍、横山太左衛門だった
👇
宇平はホッとしながら太左衛門にすがると、これまでの経緯を話した
そして太左衛門を連れて、屋敷に戻ると、なんと家の明かりがついていた
👇
「お帰りなさいまし」
2人で中に入ると、家人たちが帰りの遅い宇平を気にしながら何事もなく待っていたのだった
👇
宇平が尋ねても家人たちはキョトンとした顔で、家にずっといた、と言う
唖然として立ち尽くす宇平だったが、何かの勘違いだったのだろう、と太左衛門がなだめてこの場は終わった
そして釈然としない様子の宇平に見送られながら、太左衛門は屋敷を後にした
👇
太左衛門としても、宇平が嘘を言っているようには思えなかったが、だからといって彼の奇妙な体験を立証することもできない
モヤモヤしたまま何日かが経った
👇
そしてある早い朝、太左衛門の屋敷にお侍が2人訪れた
「朝早くにごめん このたび、大場宇平殿がお亡くなりになられたのでお知らせに参った」
驚く太左衛門
👇
大場宇平はある夜中、屋敷に押し入った賊にあっけなく斬りコロされてしまったそうだ
屋敷に物を盗られた被害はなく、犯人もわからずじまいだった
太左衛門は、宇平の葬儀に出席しながら、あの夜中に彼から聞いた奇妙な葬列の話を思い出していた
👇
葬儀が終わり、墓場まで列をなして進む間も太左衛門はあれこれまとまらない考えを思い巡らせていた
すると、道の脇で自分たちが向かう方とは反対を向く黒い影が、列の1人に声をかけていた
「、、、これは、、どなたの、、、おとむらいなの、、ですか、、、?」
「お馬廻り二百石、大場宇平様のお弔いにございます」
👇
太左衛門はギョッとしてやりとりの方を向く
「これ、誰と話している、、、?!」
やりとりした者に声をかけると、
「そこのお侍様で、、、」
「どこの!?」
「え、、、、」
見るとそこには誰もいなかった。
👇
お弔いの列は立ち止まり、一同で元来た宇平の屋敷の方を見つめる
「、、、、大場宇平殿が見たと言うのは、このお弔いの行列だったのか、、、、、」
おわり
_______
ストレートな怪談話
しかも主観が途中で変わる高度なホラー
絵も色鉛筆で描かれたようなタッチが不気味で開始1秒からずっと怖い、、、
まんが倭国昔ばなしのバリエーションの豊富さが伺えられる
謎はもちろん宇平が何故自分のシ後の葬列に遭遇してしまったのかその意図さえもわからずじまいなのも恐ろしさに拍車をかけている、、、 December 12, 2025
3RP
#まんが倭国昔ばなしホラー回
『キジも鳴かずば』
________
むかしむかし、犀川という川のほとりに小さな村があった
毎年秋、雨の季節になると川が氾濫して多くの家や人が流されるので、みんな大層困っていた
👇
そんな村に、弥平という父親と千代という小さい娘が暮らしていた
弥平が外に働きにいっている間、千代は家の外で大好きな手毬をしながら歌を歌って待っているのが常だった
千代の母親は先の洪水で亡くなってしまっていた
2人の暮らしはかなり貧しかったが、それでも慎ましく幸せに日々を送っていた
👇
次の雨の季節がやってきた頃、千代は重い病にかかる
本当は医者に連れていってやりたかったがそんな金はないので、弥平は家で必死に看病していた
だが病いはどんどん悪くなる一方で千代の命は明日をも知れぬ状態だった
👇
「おっとぅ、、」千代は病床で弥平に声をかけた
「あずきまんまが食べたいな、、」
それはかつてたった一度だけ母親と三人で食べた千代が知るこの世で一番のごちそうだった
金のない弥平は返す言葉がなくうなだれるしかなかった
👇
その夜、雨の降りしきるひとけのない村を走る弥平がいた
「、、、地主様の蔵にはあずきがある、、」
👇
大屋敷の蔵に忍び込んだ弥平は震える手でひと掬いのあずきを袋に入れた
それはたった一度犯してしまった盗みだった
👇
そして何とか家に戻ると鍋に火をかけてあずきを入れる
「千代や、あずきまんまだよ お食べ」
弥平に食べさせてもらうと千代は一粒のあずきを噛み締める
「、、、あずきまんま、おいしいなぁ」
「そうかそうか、よかったよかった」
👇
あくる日、地主の屋敷ではあずきが少量盗まれていることがすぐにわかった
大した被害ではないが一応番所に届出をする
👇
それから何日経ち、あずきまんまと弥平の看病の甲斐があってか、重かった千代の病は日毎に良くなっていき、起き上がれるまでに回復した
👇
「まだ布団から出ずに寝ているんだよ」
次の日、弥平は仕事に行く時に千代に声をかけて出ていった
「はーい」
と言ったものの、身体の調子が良くなってきた千代はじっとしておれず家の外に出た
👇
「と~んと~んと~~ん♪
おいしいおいしいまんま食べた~♪
あずきの入ったまんま食べた~♪
と~んと~んと~~ん♪」
大好きな手毬唄をうたって遊ぶ千代。
それをすぐそばの畑で農作業をしていた村人が聞いていた
👇
それから2日ほど経って、しばらく穏やかになっていた天気だったがまた雨足が強くなってきた
犀川の水かさはどんどん増し、今にも氾濫しそうだった
今年も被害に遭ってしまうのか、、、村人たちは不安な面持ちで川を見ていた
👇
そんな中、何人かで村長の家で話し合いが行われた
「、、、、、、やはりここは人柱を建てるしかないのかのぅ、、、」
『人柱』とは、生きたまま人を土に埋めて神様に捧げる恐ろしい因習だった
👇
人柱になるのは、何か悪いことをした咎人が一般的だったので、そんな者はいないか?と村長がみんなに聞いたところ、
「実は、、、、、、」
声を上げたのは弥平の家の近所の者だった
👇
その夜、弥平の家の戸を番所の役人が叩いた
「弥平!先日地主の蔵からあずきを盗んだだろう!
娘の千代が手毬唄であずきを食べたことを歌っていたぞ!観念しろ」
👇
身を寄せ合って震える弥平と千代だったが、
「、、、おっとぅはじきに帰るから、おとなしゅうして待ってるんだよ」
千代の頭を優しくなでると弥平はお縄につき、役人たちと去っていった
「おっとぅ、、、、おっとぅ、、、、!」
千代は雨の降りしきる家の外で泣き崩れるしかなかった
👇
弥平はそのまま帰ってくることはなかった
犀川の氾濫を食い止めるために人柱として埋められてしまったからだ
👇
それから人柱の効果があったからなのか、雨をおさまっていき、その年、犀川が氾濫することはなかった
👇
泣き暮らす千代だったが、村の人に千代があずきまんまを食べた手毬唄を歌っていたことから弥平の盗みが発覚したことを聞かされる
👇
千代の泣き声は村人たちの心に突き刺さり、何日も何日も村中に響き渡った
👇
ひとしきり泣き続けると、千代はぴたりと泣き止み、それ以来言葉を一切発さなくなる
それから何年か経ち、千代の姿はどこかに消えてしまう
👇
そしてある年、猟師がキジを撃ちに山に入っていた
「ぴぃーーーー」
大きく鳴いて飛び立つキジに狙いを定めて猟師は鉄砲を撃ち込めた
👇
落ちた獲物を取りにすすきの原をかき分けると、そこにはキジを抱える成長した千代が立っていた
「キジよ、おまえも鳴きさえしなければ撃たれずにすんだものを、、」
ボソリと呟く千代に「、、、しゃべれるようになったのか、、、、」と驚く猟師
千代はキジを抱えたまますすきの荒野に消えていった
👇
それから千代の姿を見た者は誰もいなかった
ただ、千代の発した後悔の念に駆られたような重い言葉は、村人たちの間でいつまでもいつまでも悲しみを込めて語り継がれたという事だ、、、、、
おわり
______
ただただやるせない話、、、、、
柔らかいタッチの絵柄からは想像できないような重い展開
常田富士男さんの優しい弥平の声と、市原悦子さんの千代の父親を想う泣き声が心に残り続ける、、、、
派手さはないが、この話もまんが倭国昔ばなしの名作の一つとして印象深い、、、、 December 12, 2025
<ポストの表示について>
本サイトではXの利用規約に沿ってポストを表示させていただいております。ポストの非表示を希望される方はこちらのお問い合わせフォームまでご連絡下さい。こちらのデータはAPIでも販売しております。



