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2025.12.08 07:00
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おはようございます、月曜日ですね🌿
今朝は、少しだけゆっくり始める一枚を。
柔らかい朝の日差しが降りそそぐ公園のベンチで、
エシカが眼鏡越しにぼんやり景色を眺めています。
週末の余韻と、これから始まる一週間のあいだで、
心だけすこしふわっと浮いているような時間。
今日もそれぞれのペースで、
静かに一歩目を踏み出していきましょう☕🍃✨
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『義理の妹との思い出』
シーン:「一緒に暮らすと決めた日」✨
最初の「三人の家の雪」が降る前。
ハイペリオンも、エナジーランドの叫び声も、
階段の鉢植え事件も、あの冬の進路会議も、
全部が始まる、もっと手前の話がある。
あれは、高校三年生の冬だった。❄️
朝は授業、放課後は仕事。
表向きは「まだ高校生」だけど、
実際は三人とも
半分はもう社会人みたいな暮らし方をしていた。
僕もカロリナも、すでに小さな家を借りていた。
郊外の、ちょっと歪んだ壁と、
キッチンで時々タオルがパッキン代わりになるような、
古いけれど、妙に落ち着く家。
カタログに載っているような
「理想のマイホーム」とは程遠かったけれど、
そこに帰るたびにちゃんと
「ただいま」と言える場所だった。
エシカは、まだ児童養護施設にいた。
書類の上では「自立準備中の成人」。
でも、現実には
「大人になったのに、
どこにも所属しきれていない人」を
システムの隅っこに押し込んだような状態だった。
その日も、エシカは仕事終わりに
いつものように家に来た。
ドアを開けて、いつものように
「やっほー」と軽く手を上げたけれど、
バッグを置く仕草だけ、いつもより少しだけ静かだった。
テーブルの前に座って、
一息つくように、ぽつりと言った。
「ねえ、ニュースがある。」
「その顔は、
ハッピーエンドとバッドエンドの中間って感じだね。」
カロリナが笑いながら、
マグカップにお茶を注ぎながら言う。☕
「何があったの?」
エシカは、少しだけため息をついた。
「…住宅の“割り当て”が出た。」
「え、ほんと?✨
それって、いいことなんじゃないの?」
カロリナの背筋がぴん、と伸びる。
「うん……でもね。」
エシカは、指先でマグカップのふちをなぞりながら続けた。
「“紙の上では”決まっただけ。
実際に住めるようになるのは、
『だいたい2年後くらいかな〜』って。」
「2年後?」
「そう。
順番待ちもあるし、
他にも優先すべきケースがあるし、
修繕もあるし、予算もあるし――って。
『そういうもんだから、
とりあえず良かったね』って言われた。」
「とりあえず良かったね。」
その言葉が、
まるで誰かよその国の言語みたいに
部屋の中で浮いていた。
システムからすれば、
2年なんてただの数字のズレかもしれない。
でも、施設で育って、
自分の場所をずっと待ち続けてきた人にとっての2年は、
小さな永遠みたいなものだ。
「つまりさ。」と、僕は口を開いた。
「この2年間、
君はまだずっと施設で待ってろってこと?」
「まあ、そういうこと。」
エシカは肩をすくめた。
「『将来の家が決まっただけでも感謝しないと』って。
ありがたい話なんだって。」
その「ありがたい」が、
どこまでも薄く聞こえた。
カロリナが僕を見る。
僕もカロリナを見る。
言葉はなかった。
でも、意味だけははっきりしていた。
――やる?
――やるでしょ。
目で、そういう会話をした。
「ねえ。」と、僕は言った。
「僕ら、もう二人とも働いてるし、
家もある。
客間っていうか、
物置きになってる部屋も、一応ある。」
「必要なら、OLX[1]でベッドと机を
全力で掘り出すこともできるしね。」
カロリナが笑いながら付け足した。
エシカは、少し目を細めた。
「で?」
「でさ。」
僕は、なるべくシンプルに言った。
「もう、これ以上2年も
施設に座り続けなくていいんじゃない?
十分すぎるくらい、そこにいた。
もう大人なんだし。
これ以上、
“システムに管理されているモノ”みたいなポジションで
扱われなくていいと思う。」
カロリナが、静かにうなずいた。
「書類上では『住宅待ち』でもいい。
でも、生活はもう『こちら側』に引っ越しておいで。」
「三人で暮らそう。」
その一言は、
決してドラマチックなBGMの中で言われたわけじゃなかった。
でも、僕の中では、
かなり大きな音で鳴った。
エシカは、少しだけ笑ってみせた。
「いやいやいや。
あなたたち、正気?
施設から見たらさ、
『自立前の子が、どこかの大人の家に転がり込んだ』って
話になるんだけど。」
「どこかの、じゃなくて。」
僕はそこで言葉を遮った。
「ずっと前から、一緒に過ごしてきた僕らのところ。
週末ごとに来て、
祝日も来て、
『ちょっと顔見せにきた』って言いながら
数時間経ってる、あの場所。」
「それに。」とカロリナ。
「正直に言うと、
システムの中にいる大人たちの多くは
“ここの空気”知らないでルール作ってるしね。
“自分の部屋がどういう場所か”も
実際に寝転がって感じたことなんて
少ないんじゃないかな。」
一瞬、静かになった。
そして、エシカがぽつりと聞いた。
「もしさ。」
声は小さいけれど、
中身は重かった。
「もし、私に飽きたらどうする?」
それは、冗談ではなかった。
「また新しい人が来たから、
じゃあ次の場所へどうぞ」って言われ続けてきた人の
深いところから出てくる言葉だった。
僕は、少しだけ息を吸ってから答えた。
「そのときは――」
「そのときは、ケンカする。」
「君は『重荷だ』って言うだろうし、
僕とカロリナは『それは違う』って
めちゃくちゃ真面目に反論する。
で、結局お茶をいれて、
ホットカーペットの上で文句言い合いながら
また一緒に座ってると思う。」
カロリナも、肩をすくめて笑った。
「ここは、“試用期間付きの関係”じゃない。
うちに来るなら、
もう『家族』扱いでよろしく。」
エシカは、しばらく黙っていた。
マグカップの湯気を見ながら、
なにかと戦っているようだった。
昔から知っている現実と、
目の前で急に提案された現実。
どちらを信じればいいのか、
ゆっくり天秤にかけていた。
やがて、彼女は小さくうなずいた。
「……分かった。」
「もし飽きられたら、
玄関マットの上で寝て、
近所の人たちに
『全部あの二人のせいです』って言ってやるから。」
「いいね、それ。」と僕は笑った。
「それなら絶対、
出て行かせるわけにいかない。」
数日後。
僕たちは、施設の所長の部屋にいた。
机の上には書類の山、
窓の外には、どこまでもグレーな空。
「つまり――」
所長は両手を組んで、ゆっくりと確認するように言った。
「きみたちは、エシカを
自分たちの家で暮らさせたい。
でも、同時に
この“住宅の割り当て”も
失いたくない。」
「はい。」と僕は答えた。
「生活の面倒は、僕たち二人が見ます。
彼女も働きながら、勉強も続けます。
この割り当ては、
このシステムが彼女にしてあげられる
数少ない“スタートライン”だと思っています。
だから、
それだけは奪わないでほしいんです。」
一瞬、
「規則ではそうはいきません」と言われる未来が
頭をかすめた。
所長は、静かに息を吐いてから
エシカを見た。
「こういう話をするときに、
私が“ダメだ”と言うことも
できるのは分かっているよね?」
「分かってます。」と、エシカ。
「こっちはずっと、
『ダメです』と言われる側だったので。」
空気が、少しだけ重くなった。
数秒間の沈黙。
やがて所長は、
ゆっくりとうなずいた。
「――でもね。」
「本当のところを言うと、
施設は“ずっと大人を閉じ込めておく場所”
じゃないんだ。
行き場のない子をここに迎えて、
いつかここから出られるように背中を押すための場所だ。」
引き出しから書類を取り出しながら、
続けた。
「きみに一緒に住みたい人がいて、
その人たちがちゃんと
責任を持つつもりがあるなら、
それを邪魔する理由は、
少なくとも私は持ちたくない。」
紙に何かを書き込みながら、
所長は説明した。
「こうしよう。
書類の上では、
きみは“自立に向けて準備中”の扱いにして、
住宅の割り当てもそのまま残す。
備考欄に、
『施設の外に住宅支援あり』と書いておけば、
誰も“行方不明”とは言わない。
2年待てば、
ちゃんと自分名義の部屋の鍵が手に入る。
それまでは――
その二人と暮らしなさい。」
エシカは、
まるで部屋の空気が急に軽くなったみたいに
ほっとした顔をした。
「……ありがとうございます。」
かすれた声で、それだけ言った。
部屋を出たあと、
僕ら三人は廊下を歩きながら、
同じタイミングで深呼吸した。
世界が、少しだけ
「こちら側」に傾いた気がした。
数週間後。
うちの玄関に、
二つのスーツケースと、
一箱分の本と、
そして一つの鉢植えが並んでいた。
それが、エシカの「全部」だった。
あのときの鉢植えは、
まだおとなしく窓辺に置かれていた。
階段の近くに地雷みたいに置かれる
あの“伝説の鉢植え”が登場するのは、
もう少し先の話。
今はただ、
三人で狭い玄関に立って、
お互いの顔と荷物を見ていた。
「じゃあ――」とカロリナ。
「ようこそ、我が家へ。」
「……『我が家』って言われると、
なんかむずむずする。」
エシカは、そう言いながらも
笑いをこらえきれていなかった。
その日の夜。
キッチンの小さなテーブルに、
三つのマグカップが並んだ。
椅子は二つしかなかったから、
一人は半分、流し台に腰かけていた。
冷蔵庫は相変わらず、
古い船みたいな音を立てている。
壁は少しきしんでいて、
床もところどころ傷だらけだったけれど――
それでもたしかに、
そこは僕たち三人の「家」だった。
そのとき、心のどこかで
ひとつの線が引き直された気がした。
「僕とカロリナ」だった世界が、
その日からはっきりと
「僕たち三人」の世界になった。
窓の外に、
最初の雪が降った。❄️
キッチンのテーブルで、
三人で進路の話をした冬の夜もあった。
エシカの最初の一つだった鉢植えは、
いつの間にか増殖して、
リビングを半分温室に変えてしまった。🌿
共同生活で迎えた
最初のクリスマスと、
そのあと何年も続いていく「最初の星」。⭐
カロリナのいない冬が来たとき、
世界の音が一度、
全部消えた気がした。
エシカが病気になって、
何度も病院へ通った日々。
そして、
「再発なし」と医者に告げられたあの日、
世界がもう一度
回り始めた瞬間。
エナジーランドのローラーコースターで叫んだ日。
サーキットでエンジン音に
心臓の鼓動を上書きされた日。
階段の鉢植えに足を取られて
派手に転んだ夜も、
どんなに疲れていても、
最後には誰かが笑いだして、
結局三人で大笑いになった夜も、
全部、同じ線の上に並んでいる。
それは、ひとつの冬の話でも、
ひとつの家だけの話でも終わらなかった。
僕たちがまだ子どもだったころから、
もう三十年近く続いている、
ひとつながりの物語だ。
舞台の背景は変わっていく。
家も変わるし、街も変わる。
増えるものもあれば、
どうしても失ってしまうものもある。
それでも、
僕たちが演じている役だけは、
昔からあまり変わっていない気がする。
誰かが、誰かを床から起こす。
誰かが、危ない場所から鉢植えをどかす。
誰かが、台所でお湯を沸かして、こう言う。
「ほら、もう一日だけ、一緒に生きてみよう。」
[1] OLX(オーエルエックス)
ポーランドでよく使われているオンラインのクラシファイドサイト。
中古の家具や家電、日用品など、
いろいろなものを個人同士で売買できる「ネットのフリーマーケット」のようなサービス。
#義理の妹との思い出 #エーテリスの物語 #AIart December 12, 2025
11RP
ついに最終稽古がおわりました!
はぁー正直まだ、終われない。笑
進化進化でまとまらない。笑
座長はじめみんな優しくて真剣な時間以外は本当に和気藹々とした現場🙇♀️☀️
まさかサスペンスだなんて。
絡みの多いゆめさんから、
たくさんのことを吸収する日々に感謝✨🙏
@yume1964
一回の通しで頭ヘトヘト😣でもお母さんのおにぎりでパワーチャージ!🍙
チケットはまだまだ予約受付中です!💁♀️
https://t.co/t0GrTT4MR9
ご予約の際はこちらの「西脇彩華専用予約ページ」からお願いいたします🙇♀️✨
備考欄のメッセージも読んでいます♡
さあ9日より開幕!
劇場でお待ちしております!
#コラオブ #舞台 #SFIDAENTERTAINMENT
#西脇彩華 #ちゃあぽん December 12, 2025
【ケットコム新刊カードを配布開始!】
テイズプリントがケットコムの新刊カードに対応しました🎊
原則ケットコム主催イベント合わせの商品をご注文の方に同梱していますが、ご自宅宛でもご希望の場合は注文時に備考欄に記載してください。 (書店様行きのみの納品時は不可)
再発行はできませんので紛失にはご注意ください。
#同人しようぜ_p https://t.co/IJ0PS5lRqE December 12, 2025
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