指定避難所 トレンド
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2025.12.09 10:00
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「てんでこ」の知恵 ― 三陸の津波教訓
東北三陸地方の方言「てんでこ」は、「それぞれ」「各自」「ばらばらに」という意味で、特に津波防災の標語「津波てんでんこ」として知られる。これは「津波が来たら、家族や他人を待たず、各自すぐに高台へ逃げろ」という厳しい教えだ。一見、冷たく聞こえるが、命を繋ぐための実践的な知恵である。
この教えの根底には、繰り返された大津波の惨禍がある。
1896年の明治三陸大津波では、死者・行方不明者約2万2千人。家族が互いに助けようとして逃げ遅れ、一家全滅するケースが多かった。
1933年の昭和三陸津波も同様の被害を生み、地域で「命てんでこ」「てんでんに逃げろ」と口伝された。
標語「津波てんでんこ」自体は1990年、岩手県田老町での津波サミットで誕生。研究者・山下文男氏らが議論し、定着した比較的新しい言葉だ。三陸の津波石碑にも似た教訓が刻まれ、古い記憶を伝えている。
2011年の東倭国大震災で、この教えは真価を発揮した。岩手県釜石市では、片田敏孝教授の指導による防災教育と「てんでんこ」が融合。児童・生徒約3千人がほぼ全員避難に成功した「釜石の奇跡」が生まれた。特に鵜住居地区では、中学生が小学生の手を引き、さらに高い場所へ。指定避難所で危険を察知し、さらなる移動を判断した。
子供たちは「奇跡ではなく、自分たちの訓練の結果」と語る。まずは自分の命を守ることで、後で互いを助け合える――これが「てんでんこ」の本質だ。
今も三陸の海岸に立つ看板や石碑が警告するように、津波はいつ来るかわからない。家族愛が仇になる前に、この知恵を胸に刻みたい。 December 12, 2025
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