12月10日で退職し、岩手医科大学での13年弱の勤務を終えました。
東倭国大震災からの復興のためと請われ、テニュアであった慶應義塾大学を辞して異動しました。
ゲノムコホート研究を推進しましたが、講座もなくなり、コホート研究もできなくなり、大学発ベンチャの活動も止められました。
残念です。 https://t.co/Y9bhxsL8WO December 12, 2025

#気まぐれ論文共有
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NEJM 2025
脂質の代謝に関わるANGPTL3遺伝子を編集して機能を落とし、コレステロールや中性脂肪を下げる治療として試みた第1相試験です。

僕の専門領域ではありませんが、だからこそ「へぇぇ、興味深い」と思う論文に惹かれます。好奇心。

ANGPTL3は 体質的に機能が低下している方が稀におり、コレステロールや中性脂肪が低く、心血管疾患の発症確率も低いことが報告されていました（この発見もNEJMです）。

そこで、ゲノム編集技術であるCRISPR-Cas9を使い、肝臓の細胞のANGPTL3の機能を落とす治療薬として開発しました。

第1相試験ですので、主要な目的は安全性ですが、効果も評価しています。
そして、安全に投与ができ、治療の効果もあることが示されました。

もちろん、長期の安全性や効果の検証が望まれますし、最終目的はコレステロールなどの値を下げるだけではなく、心血管疾患などを減らして健康を増進することなので、まだまだ今後の評価が必要です。

ゲノム研究で「ANGPTL3の低活性バリアントの保有者は、コレステロールなどが低く心血管疾患の発症が少ないが、それ以外は困っていない」を発見し、それを直接的に治療に発展させる、という素敵なプロジェクトです。
おお、すごい。 December 12, 2025