命乞い トレンド
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2025.12.08 19:00
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#まんが倭国昔ばなしホラー回
『三本枝のかみそり狐』
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むかしむかし、ある村はずれに三本枝と呼ばれる竹林の道があって、そこには人を化かす狐が出ると言われて、村人たちから大層恐れられていた
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「あの三本枝には日が暮れたら近づかない方がいい、、、酷い目に遭わされるぞ、、」
ある時、寄り合いの席でみんながそんな話をしていると、
「馬鹿馬鹿しい そんな狐、おれが捕まえて狐汁にしてやる」
笑い飛ばしたのは、彦兵衛という若者だった
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次の日の黄昏時、彦兵衛は1人揚々として三本枝に向かう
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竹林に来ると、その奥で人影を見つける
それは、赤ん坊を背負った若い女だった
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「こんな日が暮れた暗がりに女と赤ん坊がいるのはおかしい、、、これは三本枝の狐に違いない おれをたぶらかそうとしてもそうはいかんぞ」
彦兵衛は、竹林を行く女の後を尾けて里を下っていった
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やがて女は一軒のあばら屋の前へ来る 戸を叩いて、
「おっかぁ、泊まりに来たよ」
と声をかけると、中から老婆が出てきて「おぉ、赤ん坊も一緒かぇ」と中に迎え入れる
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「性悪狐め、婆さんを騙そうとしているな、、」
茂みから様子を伺う彦兵衛は確信する
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勢いよく戸を開けて、
「婆さま!騙されるな!その女はおまえの娘じゃねぇ!
三本枝の化け狐だ!!」
と言い放つ彦兵衛 囲炉裏を囲んでいる赤子を抱いた老婆と女はキョトンとした面持ちで彦兵衛を見る
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「何を言ってるだ?おらと一緒にいるのはわしの可愛い娘と孫だ
それよりあんたは勝手に人の家に入って来て何者だ?」
「どうせその赤ん坊は畑の赤カブか何かに違いない!おれが赤カブに変えてやる!」
彦兵衛はズカズカと家の真ん中の老婆の元に進むと、その手にあった赤ん坊を奪い取ると、頭の上に掲げた
「な、何するだかぁ、、、!?」
「おぎゃぁぁぁおぎゃぁぁぁぁぁぁ、、、、」
老婆の絶叫、赤ん坊の泣き声が部屋中に響く中、彦兵衛は持ち上げていた両手を力一杯振り下ろし、赤子を火が焚べられている囲炉裏の中に投げ入れた
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「おぎゃあああああああああああ」
赤ん坊は赤カブに変わることなく、全身が炎に包まれて焼け4んだ
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彦兵衛は慌ててあばら屋を飛び出す
「馬鹿な、、、そんな、そんなはずはないのに、、、、!」
恐ろしくなって無我夢中で逃げた
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「人の大事な赤ん坊を、、、、あの男絶対に許さぬ!命をとってくれる!!!」
老婆は恐ろしい形相になる
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「おれはとんでもない事をしてしまった!人の子を焼き56してしまった!!今から戻ってもあの婆さまはおれを許してくれないだろうな、、、おれは一体どうすればいいんだ、、、!!」
彦兵衛は自分の行いを悔いながら闇雲に走っていると、一軒の山寺にたどり着いた
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天の助けとばかりに山寺に駆け込むと、
「どなたか!どなたかいませぬか!!」
と必死で叫ぶ
すると、奥から色の白い細身の坊さまが出て来た
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「お、おれは狐と間違えて人の赤子を56してしまったんです、、!今婆さまが追いかけて来ています!おれは一体どうしたら、、、!」
「そうですか、、、わかりました
私はその婆さまとやらをなだめで帰します おまえは本堂に隠れていなさい」
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しばらくして、髪や着物を振り乱し鬼のような形相をした老婆が包丁を握りしめて本堂に入ってくる
彦兵衛は物陰で目を強く瞑りながら手をあわている
「どうなさいましたか?」
障子の向こうから坊さまが現れる
「今、ここへ男が逃げ込んできたろう?それをわしに引き渡せ 命をとるのじゃ そいつを引き渡せ」
「落ち着きなさい
ここは私が良いようにしますから、あなたは帰りなさい」
「そんなわけにはいかん 引き渡せ男を早く早く男を引き渡せ」
「いいから あなたは帰りなさい 悪いようにはしませんから」
「うぅぅぅ、、、、どうか、お助けを、、、」
物陰で必死に手を合わせ心の中で命乞いをする彦兵衛
坊さまの頑とした態度に老婆は、
「それならば頼んだぞ、、、、坊さま頼んだぞ、、、それならば頼んだぞ、、、頼んだぞ坊さま、、、、頼んだぞ、、、、」
そう何度も何度も恨みの込めた言葉を漏らすと、闇の中に消えていった
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「お坊さま、ありがとうございました、、、命が助かりました」
頭を下げる彦兵衛に坊さまは言った
「だが彦兵衛、おまえは人を1人アヤめたのだ
これは坊主になるしか道はないぞ よいな」
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坊さまはかみそりを砥石で何度も研ぐ
ぎぃぃ、、、、ぎぃぃ、、、、
鈍い不快音が鳴る
そして正座する彦兵衛の後ろに来ると、かみそりを頭に当てる
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ぞり、、、、
頭に痛みが走る
ぞり、、、、ぞり、、、、
「お、お坊さま、、、頭が、、痛い痛いです、、、」
「お前は人をアヤめたのだろう これくらいの痛み、我慢しなさい」
ぞり、、、ぞり、、、、ぞりり、、、、、
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長い痛みの末、何とか彦兵衛の断髪が終わる
かみそりを拭う白い布巾、そして彦兵衛の頭は血だらけになっていた
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夜も遅いから泊まって行きなさいと言われ、彦兵衛は本堂に布団を敷き眠る事となった
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頭の痛みの中何とか眠る
それくらい経ったか、、、ふと目を覚ますと、そこは薄暗い竹林の中、、、
布団だと思っていたものは沢山の木の葉だった
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「そうか、、、婆さまも女も赤ん坊も、坊さまも、全て狐だったのか、、、、」
だが、頭に手をやるとべったりと血がつく
彦兵衛は、ほおかむりを被ると、すごすごと村に帰った
それからというもの、彦兵衛は何があっても見栄を張ったり強がったりしなくなったということだ、、、、
おわり
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ストーリーもさることながらとにかく絵力が凄い、、、怖すぎる、、、
こんなもの幼い時に観たら、狐さんの見方が変わってしまう、、、
山姥化するおばあちゃんも怖いけど坊さんの淡々とした雰囲気もかなり不気味で極め付けはあの血染めのかみそり、、、、
この話も間違いなくトラウマ必至回だ、、、、、 December 12, 2025
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