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カレーパン
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2025.12.16 13:00
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ジャムおじさんとM&Aトラブル編
ジャムおじさん、バイキン城株式会社を買収する
「これでビジネスが拡大できる」と思った瞬間、悪夢が始まった
ある日、ジャムおじさんのパン工場に、一人の仲介者が訪ねてきた。名前はホラーマン。M&A仲介会社「デスマッチM&A」の営業担当だ。
「ジャムおじさん、素晴らしいお話があります。バイキン城株式会社が売りに出ています。買収しませんか?」
バタコさんは「バイキン城……?あの、ばいきんまんの会社ですか?」と驚く。
ホラーマンは、ニコニコしながら言う。「そうです。実は、ばいきんまんは資金繰りに困っていて、会社を売却したいと考えているんです。年商3億円、営業利益5,000万円の優良企業ですよ。今ならEBITDA倍率5倍で、たったの2億5,000万円で買えます!」
ジャムおじさんは眉をひそめる。「でも、ばいきんまんは、わしらの敵じゃないか。なぜ、わしがその会社を買わなきゃいかんのじゃ?」
ホラーマンは畳みかける。「実は、バイキン城株式会社は『試練提供サービス』という独自のビジネスモデルを持っています。御社のパン工場と統合すれば、垂直統合による大きなシナジーが生まれますよ!ヒーローと敵役の両方を持つことで、ストーリーの完全コントロールが可能になります!」
バタコさんは「シナジー……ですか?」
ホラーマンは「そうです!しかも、今月中に契約すれば、私の成功報酬が10%割引になります!これはチャンスですよ!」
ジャムおじさんは少し考える。「確かに……ばいきんまんがいなければ、アンパンマンの価値は下がる。もし、ばいきんまんのビジネスを買収できれば、わしらのビジネスも安定する……よし、やってみよう」
こうして、ジャムおじさんは銀行から2億5,000万円を借り入れ、DDもほとんどせずにバイキン城株式会社を買収した。
1. 【よくあるトラブル①】キーマンが即退職
買収が完了した翌日。ジャムおじさんとバタコさんは、バイキン城に向かった。
ばいきんまんは、ニヤニヤしながら言う。「ハヒフヘホー!ジャムおじさん、買ってくれてありがとうな!これでオレ様は自由だぜ!」
ジャムおじさんは「ばいきんまん、これから一緒にビジネスをやっていくんじゃ。よろしく頼むぞ」
ばいきんまんは「あ、そうそう。オレ様、明日からハワイに移住するから。もうここには来ないぜ!じゃあな!」と言って、バイキンUFOに乗って飛んで行ってしまった。
バタコさんは「え?待って!契約書には『買収後も3ヶ月間は業務を引き継ぐ』って書いてあったはずでは……?」
ジャムおじさんは契約書を確認する。すると、小さな字でこう書いてあった。
「ただし、売り手の健康上の理由、または家庭の事情により、引き継ぎ期間を短縮することができる」
ばいきんまんは「オレ様、ちょっと体調悪いんだよね。ハワイで療養するわ!」と言い残して消えた。
これが、M&Aで最も多いトラブル「キーマンの即退職」だ。
2. 【よくあるトラブル②】粉飾決算が発覚
バタコさんは、バイキン城の帳簿を詳しく調べ始めた。そして、顔が青ざめる。
「おじさん……これ、見てください……」
帳簿には、こう書かれていた。
【買収前に提示された数字】
年商:3億円
営業利益:5,000万円
純資産:1億円
【実際の数字】
年商:2億円(架空売上1億円が含まれていた)
営業利益:実質赤字2,000万円
純資産:実質マイナス5,000万円(簿外債務が6,000万円あった)
バタコさんは「おじさん、これって……粉飾決算ですよね?」
ジャムおじさんは「そんな……仲介者は『優良企業』と言っておったのに……」
バタコさんは、架空売上の内訳を調べた。すると、こんな記録が出てきた。
架空売上の手口
循環取引:バイキン城 → ダークネス商社 → バイキン城と、商品を売ったことにして売上を水増し
架空顧客:存在しない「宇宙王国」への売上を計上
期ズレ:来期の売上を前倒しで計上
バタコさんは「これ、完全に粉飾決算じゃないですか……でも、買収前のDDで、なぜ気づかなかったんですか?」
ジャムおじさんは「実は……DDをほとんどやっておらんかった……ホラーマンが『この案件は人気で、他にも買い手がいます。早く決めないと逃げますよ』と急かすものだから……」
これが、M&Aで二番目に多いトラブル「粉飾決算」だ。DDを怠ると、必ずこうなる。
3. 【よくあるトラブル③】簿外債務が山ほど出てくる
さらに、バタコさんは「簿外債務」を発見した。
簿外債務リスト
未払い残業代:従業員ドキンちゃんへの未払い残業代2,000万円
リース債務:バイキンUFOのリース契約(残債3,000万円)
訴訟リスク:過去に試練提供で怪我をさせた被害者からの損害賠償請求1,000万円
税務リスク:過去3年分の消費税申告漏れ、追徴課税予想額1,500万円
環境リスク:バイキン城の地下にカビ廃棄物が埋まっており、除去費用5,000万円
合計:1億2,500万円
バタコさんは「おじさん……これ、全部私たちが払わなきゃいけないんですか?」
ジャムおじさんは「契約書には『簿外債務は売り手が負担』と書いてあるはずじゃ……」
バタコさんは契約書を確認する。確かにそう書いてあった。でも、こんな一文もあった。
「ただし、買い手が知り得た、または知り得るべきだった債務については、買い手が負担する」
つまり、DDをちゃんとやっていれば発見できたはずの債務は、買い手が負担することになる。
ジャムおじさんは「そんな……」
これが、M&Aで三番目に多いトラブル「簿外債務」だ。
4. 【よくあるトラブル④】顧客がキーマン依存で、契約が全部解除される
さらに、バタコさんは顧客との契約書を調べた。
試練提供契約書(カレー王国)
契約期間:1年間(自動更新)
報酬:年間1億円
ただし、ばいきんまん本人が試練を提供すること。代理は認めない
バタコさんは「おじさん……これ、ばいきんまん本人じゃないとダメって書いてあります……」
ジャムおじさんは「ということは、ばいきんまんがいなくなった今、この契約は履行できないということか……?」
バタコさんは、カレー王国に電話をかけた。
「もしもし、カレー王国ですか?バイキン城株式会社を買収した、ジャムおじさんと申します。これから、ばいきんまんの代わりに……」
カレー王国の担当者は、冷たく言う。
「契約書を読んでください。ばいきんまん本人が提供すること、と書いてあります。ばいきんまんがいないなら、契約は解除です。今年度分の前払い金5,000万円を返金してください」
バタコさんは「返金……?でも、もう買収代金を払ってしまって……」
カレー王国の担当者は「それは知りません。来週までに返金しない場合、訴訟を起こします」
電話は切られた。
バタコさんは、他の顧客にも電話をかけた。パン王国、宇宙王国、海底王国……全ての顧客が、同じことを言った。
「ばいきんまんがいないなら、契約解除。前払い金を返金しろ」
合計返金額:1億5,000万円
ジャムおじさんは「そんな金額、わしには払えん……」
これが、M&Aで四番目に多いトラブル「キーマン依存による顧客離反」だ。
5. 【よくあるトラブル⑤】従業員も一斉退職
さらに悪いことに、従業員のドキンちゃんが辞表を持ってきた。
「あたし、もうここで働きたくないわ。ばいきんまん様がいなくなったら、意味ないもの」
バタコさんは「ドキンちゃん、お願いです。一緒に頑張りましょう」と引き止める。
ドキンちゃんは「無理よ。それに、あたし、未払い残業代2,000万円もらってないのよ。払ってくれるなら、考えてもいいけど」
バタコさんは「2,000万円……?」
ドキンちゃんは「ばいきんまん様、いつも『後で払う』って言ってたけど、結局払ってくれなかったの。労働基準監督署にも相談してるわ」
バタコさんは「でも、それは買収前の話ですよね?ばいきんまんに請求してください……」
ドキンちゃんは「労働債務は、会社が引き継ぐのよ。買収したあなたたちが払う義務があるわ。払わないなら、労基署に訴えるし、辞めるわ」
バタコさんは「そんな……」
ドキンちゃんは「じゃあね」と言って、バイキン城を去った。
これが、M&Aで五番目に多いトラブル「従業員の一斉退職と労働債務の請求」だ。
6. 【よくあるトラブル⑥】隠れた重要契約が足枷になる
バタコさんは、さらに契約書を調べた。すると、とんでもない契約が出てきた。
業務委託契約書
委託者:バイキン城株式会社(ばいきんまん)
受託者:悪の秘密結社ダークネス
契約内容:
ダークネスは、ばいきんまんに「悪役としての指導」を提供する
ばいきんまんは、試練提供ビジネスで得た収益の30%をダークネスに支払う
本契約は、会社の所有権が移転した場合も継続される
契約期間:10年間(残り8年)
違約金:契約を途中で解除する場合、3億円を支払う
バタコさんは「おじさん……これ、私たちが引き継がなきゃいけないんですか?年間8,000万円を、あと8年も?」
ジャムおじさんは「契約書には『会社の所有権が移転した場合も継続される』と書いてある……つまり、わしらが引き継ぐことになるのう……」
バタコさんは「でも、もう顧客はいないから、収益もないですよね?それなのに、ダークネスには払い続けなきゃいけないんですか?」
ジャムおじさんは契約書をよく読む。すると、こう書いてあった。
「収益の有無にかかわらず、最低保証額として年間5,000万円を支払うこと」
バタコさんは「おじさん……これ、あと8年間で4億円ですよ……」
これが、M&Aで六番目に多いトラブル「隠れた重要契約(チェンジオブコントロール条項)」だ。
7. 【よくあるトラブル⑦】競業避止義務がなく、売り手がすぐに競合を始める
買収から1ヶ月後。町の人から、こんな噂を聞いた。
「ねえ、知ってる?ばいきんまんが、隣町で新しい会社『バイキン城2.0』を作ったんだって。また試練提供ビジネスをやってるらしいよ」
ジャムおじさんは「なんじゃと!?」
バタコさんは「おじさん、契約書に競業避止義務は書いてありましたか?」
ジャムおじさんは契約書を確認する。でも、競業避止義務の条項はなかった。
つまり、ばいきんまんは、買収後すぐに同じビジネスを始めても問題ない。
しかも、ばいきんまんは元の顧客(カレー王国、パン王国)にこう営業していた。
「オレ様が戻ってきたぜ!また一緒に仕事しようぜ!しかも、今度は前より安い値段でやるぜ!」
顧客は、喜んでばいきんまんと再契約した。
ジャムおじさんは「わしらは、顧客を失い、債務だけが残った……そして、ばいきんまんは顧客を取り戻して、また儲けておる……」
これが、M&Aで七番目に多いトラブル「競業避止義務の不備」だ。
8. 【よくあるトラブル⑧】表明保証があっても、売り手が逃げて回収不能
ジャムおじさんは、弁護士に相談した。
「先生、契約書には『表明保証』があります。ばいきんまんが嘘をついていたら、損害賠償を請求できるはずです」
弁護士は契約書を見る。
「確かに、表明保証はあります。でも、問題があります」
バタコさんは「何ですか?」
弁護士は「まず、ばいきんまんと連絡が取れません。ハワイに移住したと言っていますが、住所も電話番号もわかりません」
ジャムおじさんは「でも、訴訟を起こせば……」
弁護士は「訴訟を起こすこともできます。でも、ばいきんまんの居場所がわからなければ、訴状を送ることもできません。仮に勝訴しても、財産が隠されていれば、回収できません」
バタコさんは「つまり……表明保証があっても、意味がないんですか?」
弁護士は「エスクロー(第三者預託)を使っていれば、売却代金の一部を預けておいて、問題が発覚したら自動的に返金されるシステムがあります。でも、この契約書には、エスクローの条項がありません」
ジャムおじさんは「つまり、わしは泣き寝入りするしかないのか……」
これが、M&Aで八番目に多いトラブル「表明保証があっても回収不能」だ。
9. 【よくあるトラブル⑨】仲介者は成約後、一切関与しない
ジャムおじさんは、仲介者のホラーマンに電話をかけた。
「ホラーマンさん、大変なんです!買収した会社が粉飾決算で、簿外債務も山ほど出てきて……」
ホラーマンは「あー、それは残念ですねー。でも、契約は成立してますから、僕の仕事は終わってます」
ジャムおじさんは「でも、あなたは『優良企業』と言ったじゃないですか!」
ホラーマンは「僕は、売り手から提供された情報を伝えただけですよ。DDは買い手の責任です。それに、契約書にも『仲介者は、情報の正確性について責任を負わない』と書いてあるでしょ?」
ジャムおじさんは「そんな……」
ホラーマンは「それより、成功報酬2,500万円、まだもらってないんですけど。早く払ってくださいね。じゃ!」
電話は切られた。
これが、M&Aで九番目に多いトラブル「仲介者は成約後、一切関与しない」だ。
10. 【よくあるトラブル⑩】銀行が融資を引き上げる
買収から3ヶ月後。ジャムおじさんは、銀行から2億5,000万円を借り入れていた。その返済が始まる。
銀行の担当者は「ジャムおじさん、今月の返済額は500万円です。ちゃんと払えますか?」と尋ねる。
ジャムおじさんは「実は……バイキン城株式会社の売上がゼロになってしまって……」
銀行の担当者は「え?どういうことですか?買収時の事業計画では、年商3億円と聞いていましたが」
ジャムおじさんは「それが粉飾決算で……実際の売上は半分以下で……しかも、顧客も全員離れてしまって……」
銀行の担当者は「それは困りましたね……では、融資を一括返済してください」
ジャムおじさんは「一括返済……?そんな金額、払えません……」
銀行の担当者は「では、担保のパン工場を差し押さえます」
ジャムおじさんは「そんな……」
これが、M&Aで十番目に多いトラブル「銀行が融資を引き上げ、担保を差し押さえる」だ。
11. 税務署からの「調査」と追徴課税
さらに追い打ちをかけるように、税務署から調査が入った。
事業内容等について
・バイキン城株式会社の過去の申告について、以下の点を確認させてください。
・架空売上:循環取引による売上1億円は、取り消されるべきではないですか?
・外注費:悪の秘密結社ダークネスへの支払い年間8,000万円は、実態がありますか?
・消費税:過去3年分の消費税申告に漏れがあります
追徴課税予想額:1億2,000万円(過少申告加算税・延滞税含む)
ジャムおじさんの税理士は「これは……買収前の税務リスクが表面化しています。原則として、買い手が負担することになります」
ジャムおじさんは「1億2,000万円……そんな金額、わしには払えん……」
これが、M&Aで十一番目に多いトラブル「税務リスクの表面化」だ。
12. 損害の合計
バタコさんは、すべての損害を計算した。
損害の合計
買収代金:2億5,000万円
仲介手数料:2,500万円
顧客への返金:1億5,000万円
簿外債務:1億2,500万円
ダークネスへの支払い(8年分):4億円
追徴課税:1億2,000万円
未払い残業代:2,000万円
合計:12億9,000万円
バタコさんは「おじさん……これ、どうやって払うんですか……」
ジャムおじさんは「わしには、もう払える金がない……」
13. 破産手続き
結局、ジャムおじさんは破産手続きを取ることになった。
パン工場は競売にかけられ、見知らぬ会社に買い取られた。
バイキン城株式会社も、清算された。
ジャムおじさんは、全てを失った。
バタコさんは「おじさん……私たち、どうやって生きていけばいいんですか……」
ジャムおじさんは「わしには、もう何も残っておらん……」
チーズも「ワンワン……」と悲しそうに鳴く。
14. アンパンマンが助けに来るが……
そんなとき、アンパンマンがやってきた。
「ジャムおじさん、大変なことになってるって聞いたよ!僕たちが助けるよ!」
ジャムおじさんは「アンパンマン……ありがとう。でも、わしの借金は12億円を超えておる。君たちでも、どうにもならん……」
アンパンマンは「そんな……」
カレーパンマンも「俺たち、何かできることはないのか?」
しょくぱんまんも「ジャムおじさん……」
でも、どうにもならなかった。
15. M&Aの教訓──よくあるトラブルまとめ
この物語から、M&Aでよくあるトラブルと教訓をまとめる。
【よくあるM&Aトラブル11選】
1. キーマンの即退職:買収直後に売り手や重要人物が辞める
2. 粉飾決算:売上・利益が水増しされていた
3. 簿外債務:未払い残業代、リース債務、訴訟リスク、税務リスクなど
4. キーマン依存による顧客離反:顧客が「本人じゃないとダメ」と言って離れる
5. 従業員の一斉退職:キーマンがいなくなると、従業員も辞める
6. 隠れた重要契約:チェンジオブコントロール条項で、買収後も不利な契約が続く
7. 競業避止義務の不備:売り手がすぐに同じビジネスを始める
8. 表明保証があっても回収不能:売り手が逃げて、連絡が取れない
9. 仲介者は成約後、一切関与しない:トラブルが起きても、仲介者は知らんぷり
10. 銀行が融資を引き上げる:計画と実態が乖離すると、融資が引き上げられる
11. 税務リスクの表面化:買収前の税務問題が、買収後に追徴課税として降りかかる
【買い手側がやるべきだったこと】
DDを徹底的にやる(最低3ヶ月、専門家を雇う)
財務DD:過去3年分の決算書、総勘定元帳、請求書をすべて確認
税務DD:過去の申告書、税務調査の履歴を確認
法務DD:契約書、訴訟リスク、コンプライアンスを確認
労務DD:従業員の雇用契約、未払い残業代、労働紛争を確認
事業DD:顧客契約、キーマン依存度、競合状況を確認
表明保証とエスクローで防御する
売却代金の30%をエスクロー口座に預託(2年間)
粉飾決算・簿外債務が発覚したら、エスクローから補填
税務リスクが発覚したら、エスクローから補填
キーマンとの雇用契約を必須にする
ばいきんまん本人を、買収後3年間雇用する契約
違反したら、売却代金の50%を返還させる
競業避止義務を必ず入れる
買収後3年間、同じビジネスを禁止
違反したら、損害賠償1億円
チェンジオブコントロール条項をチェック
買収後も継続される不利な契約がないか、全契約書を確認
それでも怪しければ『買わない』
DDで疑問が残る案件は、絶対に買わない
【結論】
M&Aは、『買って終わり』じゃない。『買った瞬間から全責任を引き受ける取引』だ。
DDを怠る=将来のトラブルを高値で買う行為。
本気でやるなら、税務・労務・資金流用を中心にDD。取り切れないリスクは、表明保証・エスクローで封じ込めよ。
それでも怪しければ、『買わない』が正解。
ジャムおじさんは、窓の外を見ながら呟く。
「わしは、愚かじゃった……仲介者の甘い言葉に騙され、DDを怠り、リスクを見落とした……」
これが、ジャムおじさんが学んだ、高すぎる教訓だった。 December 12, 2025
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「ジャムおじさんと税務署からのお尋ね」
第1章
「お尋ね」の裏を読む──調査官が本当に見ているもの
「質問」は質問じゃない。それは「構造の透視図」だ
ある朝、ジャムおじさんのパン工場に、一通の封筒が届いた。差出人は税務署。件名は「事業内容等についてのお尋ね」。
バタコさんが「おじさん、税務署から何か来てますよ」と言いながら、封筒を手渡す。ジャムおじさんは眼鏡をかけ直して、中を開ける。
中身には、いきなり「あなたは悪いことをした」とは書いていない。脅し文句もない。ただ、淡々と質問が並んでいる。
事業の内容は何ですか
売上はどうやって作っていますか
外注費の内訳を教えてください
いつ、誰に、いくら払っていますか
契約書や請求書はありますか
文章としては、とても丁寧だ。
「ご協力をお願いいたします」とまで書いてある。
でも、この紙が来た瞬間、パン工場の空気が変わる。なぜか。税務署が「構造を見に来る」スイッチが入ったからだ。
1. ジャムおじさんの二つのビジネスモデル
バタコさんは「これは簡単ですね。パンを作って、困っている人に届ける事業です、って書けばいいんですよね?」と言う。
でも、ジャムおじさんは首を横に振る。「バタコさん、わしらの事業を改めて整理してみようか。実は、わしらがやっておるのは、パンを売るだけじゃないんじゃ」
ジャムおじさんは、紙とペンを取り出して、こう書き始めた。
ジャムおじさんのパン工場 ビジネスモデル
①地域の安全の提供
②パンを含む製品の販売
「この二つは、別々のようで、実は深くつながっておるんじゃ」
ジャムおじさんのパン工場がある町は、平和そうに見えて、実はかなり危険な場所だ。なぜなら、ばいきんまんが頻繁に現れるからだ。
ばいきんまんは、バイキン城から飛んできて、町の人たちを困らせる。食べ物を奪ったり、いたずらをしたり、時には町全体を混乱に陥れたりする。
もしばいきんまんが現れたとき、誰も対処できなければどうなるか。町の人たちは怯え、商店は閉まり、経済活動が止まる。そこで、アンパンマンが登場する。
アンパンマンは空を飛んで現場に駆けつけ、ばいきんまんを「アンパンチ!」でやっつける。町の平和が戻る。人々は安心して、また日常生活を送れるようになる。
これは、単なるヒーロー活動ではない。地域の安全というサービスを提供しているのだ。
バタコさんは「でも、おじさん。私たち、安全の提供でお金をもらってるわけじゃないですよね?」と尋ねる。
ジャムおじさんは「直接的にはもらっておらん。でも、間接的にはもらっておるんじゃよ」と答える。
地域の安全が確保されると、町の人たちは安心して暮らせる。商店は通常通り営業できる。経済活動が活発になる。そして、ジャムおじさんのパンも、安心して買ってもらえる。
つまり、安全は、パンを売るための「土台」になっている。
2. パンの売上は、ヒーローの活躍と直結している
パン工場では、毎日いろんなパンが作られている。アンパンマンの顔をした「あんぱん」、カレーパンマンの顔をした「カレーパン」、しょくぱんまんの顔をした「食パン」。
バタコさんは、売上の記録を見ながら気づいたことを言う。「おじさん、アンパンマンさんが活躍した日は、あんぱんの売上が伸びるんですよ」
ジャムおじさんも「そうじゃな。カレーパンマンが町で大活躍した翌日は、カレーパンが飛ぶように売れる」と頷く。
つまり、ヒーローの活動は、パンのプロモーションにもなっているのだ。アンパンマンが「アンパンチ!」をするたびに、町の人たちは「アンパンマン、かっこいい!」と思う。そして、「アンパンマンのあんぱん、食べたい!」と思う。
これは、現代のマーケティングで言うところのキャラクターマーケティングだ。ヒーローというキャラクターを通じて、商品の認知度を高め、購買意欲を刺激する。
バタコさんは「つまり、ヒーローたちは、パンの配達をしながら、同時に『広告塔』にもなってるんですね」と理解する。
ジャムおじさんは「そうじゃ。そして、その広告塔が動くたびに、パンが売れる。これが、わしらのビジネスモデルの核なんじゃ」と説明する。
3. 調査官が本当に知りたいこと
お尋ねの質問を見ると、調査官が本当に知りたいのは、表面的な事業内容ではない。調査官の頭の中では、こう変換されている。
「この事業は、人が必要な構造ですか?それとも、設備や仕組みで回る構造ですか?」
もしジャムおじさんが「パンを作って配達する事業です」と答えたとする。すると、調査官の頭にはこんな図が浮かぶ。
パンを作る=製造工程が必要(ジャムおじさんが毎日釜でパンを焼いている)
配達する=移動と対面が必要(アンパンマンたちが空を飛んで届けている)
つまり、人が動く事業だ
人が動く事業は、人件費が発生する。そして、人件費には「給与」と「外注費」の2種類がある。
バタコさんは帳簿を開いて、外注費のリストを見る。
アンパンマン:月50万円
カレーパンマン:月30万円
しょくパンまん:月30万円
メロンパンナちゃん:スポット10万円
ロールパンナさん:スポット10万円
ばいきんまん:月30万円
ドキンちゃん:月10万円
バタコさんは「あれ、ばいきんまんにも払ってますね……」と、少し不安そうに言う。
ジャムおじさんは「そうじゃ。これが、わしらのビジネスの一番ユニークなところなんじゃ」と答える。
調査官が見ているのは、金額そのものじゃない。調査官の頭の中では、こう変換されている。
「外注費が多いのは、本当に外注が必要だからですか?それとも、給与を外注に見せかけていますか?」
そして、もう一つの疑問。「なぜ敵役にも報酬を払っているのか?」
4. ばいきんまんへの支払い──脅威の存在が、事業の存続に不可欠
バタコさんは「おじさん、ばいきんまんへの支払い、月30万円。これ、税務署が見たら絶対に怪しまれますよね……敵に報酬を払うなんて」と不安そうに言う。
ジャムおじさんは「バタコさん、考えてみてほしいんじゃが……もしばいきんまんがいなかったら、アンパンマンはどうなる?」
バタコさんは考える。「えっと……町は平和で……アンパンマンさんは出動する必要がなくて……」
ジャムおじさんは頷く。「そうじゃ。つまり、アンパンマンの活躍の場がなくなるんじゃ」
ジャムおじさんは、紙に図を描き始める。
【ばいきんまんがいる世界】
ばいきんまんが町に現れる
町の人たちが困る
アンパンマンが登場する
「アンパンチ!」でばいきんまんをやっつける
町の人たちが喜ぶ「アンパンマン、かっこいい!」
「アンパンマンのあんぱん、食べたい!」
パンが売れる
【ばいきんまんがいない世界】
町は平和
何も起きない
アンパンマンは出動しない
町の人たちは「アンパンマン?誰だっけ?」
パンは普通に売れるが、特別な人気はない
売上は下がる
バタコさんは、この図を見て気づく。「あ……つまり、ばいきんまんがいないと、アンパンマンさんの価値がなくなるんですね」
ジャムおじさんは「そうじゃ。ばいきんまんは、確かに敵じゃ。でも、彼がいるからこそ、アンパンマンはヒーローになれる。彼がいるからこそ、町の人たちはアンパンマンのすごさを実感できる」
ヒーローは、敵がいて初めてヒーローになる。敵がいなければ、ヒーローはただの「親切な人」に過ぎない。
そして、ばいきんまんが登場するたびに、アンパンマンの価値が高まる。町の人たちは「やっぱりアンパンマンがいてよかった」と思う。そして、ジャムおじさんのパンを買う。
バタコさんは「つまり、ばいきんまんは、アンパンマンさんを引き立てるための『演出』なんですね」と理解する。
ジャムおじさんは「そうじゃ。そして、その演出がなければ、わしらの事業は成立しない。つまり、ばいきんまんは事業の存続に不可欠な存在なんじゃ」と答える。
5. 他の業界でも、敵役に報酬を払うのは普通のこと
バタコさんは「でも、税務署が『敵に報酬を払うなんておかしい』って言ってきたらどうしますか?」と不安そうに尋ねる。
ジャムおじさんは「その時は、他の業界の例を出せばいいんじゃ」と答える。
プロレスの例:プロレスでは、ヒール(悪役レスラー)がいるからこそ、ベビーフェイス(善玉レスラー)が輝く。ヒールは、観客に憎まれる役割を担う。観客は、ヒールを憎み、ベビーフェイスを応援する。試合は盛り上がり、チケットが売れる。そして、ヒールにもちゃんとギャラが払われる。
テレビドラマの例:ドラマでも、悪役俳優は重要な存在だ。悪役がいなければ、ドラマは成立しない。視聴者は、悪役を憎み、主人公を応援する。悪役俳優は、主役と同じくらい、時にはそれ以上のギャラをもらうこともある。
テーマパークの例:ディズニーランドでは、ヴィランズ(悪役キャラクター)も重要な役割を担っている。悪役がいるからこそ、プリンセスやヒーローが輝く。ヴィランズを演じるキャストにも、ちゃんと給料が払われている。
ジャムおじさんは、バタコさんに言う。「わしらのビジネスも、これと同じじゃ。ばいきんまんは、アンパンマンを輝かせるための演出スタッフなんじゃ」
6. ばいきんまんとの契約書
バタコさんは、ばいきんまんとの契約書をファイルから取り出す。
業務委託契約書
委託業務:試練提供業務
ばいきんまん(以下「受託者」という)は、ジャムおじさん(以下「委託者」という)の依頼に基づき、以下の業務を行う。
業務内容:
町に定期的に登場し、適度な混乱を引き起こすこと
アンパンマンが対応できる範囲内で、活動を行うこと
アンパンマンの登場により、速やかに退散すること
町の人々に「アンパンマンの必要性」を実感させること
報酬:月額30万円(登場回数に応じて変動)
基本登場(月4回):20万円
追加登場(1回につき):3万円
注意事項:本契約は、地域の安全を本質的に脅かさない範囲内で行われるものとする
バタコさんは「これ、税務署に見せて大丈夫なんですか……?」と不安そうに言う。
ジャムおじさんは「大丈夫じゃ。なぜなら、これは立派なビジネス契約じゃからな」と答える。
7. データで証明する
ジャムおじさんは「わしは、ばいきんまんへの支払いを『広告宣伝費』として計上しておる」と言う。
バタコさんは「なぜですか?」と尋ねる。
ジャムおじさんは答える。「なぜなら、ばいきんまんの役割は、アンパンマンというブランドを輝かせることじゃからな。これは、テレビCMや看板広告と同じ。お金を払って、ブランド価値を高める活動なんじゃ」
そして、バタコさんはデータを見せる。
ばいきんまん登場日:売上平均30%増
アンパンマン活躍翌日:あんぱん売上50%増
カレーパンマン活躍翌日:カレーパン売上40%増
このデータがあれば、効果を証明できる。
バタコさんは「なるほど……データで証明できれば、税務署も納得してくれるんですね」と理解する。
ジャムおじさんは「そうじゃ。感情や物語じゃなく、数字で語る。これが税務調査を乗り切る鍵なんじゃ」と微笑む。
8. 雇用か外注か──5つの判定基準
お尋ねに答える前に、もう一つ理解しておくべきことがある。それは、調査官の頭の中には、すでに判定基準の表があるということだ。
調査官がチェックするのは、主にこの5つの軸だ。
項目雇用に見える条件外注に見える条件
①指揮命令細かい指示を受ける方法は自分で決める
②時間拘束出社時間・待機あり時間は自由
③成果責任失敗しても給料は出る成果がないと報酬なし
④専属性他の仕事は禁止他の仕事も可能
⑤代替可能性本人じゃないとダメ代わりを立てられる
アンパンマンを当てはめてみる。
①指揮命令:アンパンマンは自分で困っている人を見つけて飛んでいく。ジャムおじさんが命令することはほとんどない。→ 外注寄り
②時間拘束:アンパンマンは毎日工場に来るわけじゃない。困っている人がいるときだけ。→ 外注寄り
③成果責任:配達が完了した分だけ支払う。失敗したら、その分は払わない。→ 外注寄り
④専属性:アンパンマンは他の町でも活動している。ジャムおじさん専属ではない。→ 外注寄り
⑤代替可能性:アンパンマンが来られないとき、カレーパンマンやしょくぱんまんが代わりに行ける。→ 外注寄り
バタコさんは安心した顔で言う。「じゃあ、アンパンマンさんは外注として成立してますね!」
9. でも、危険な実態が混ざるとどうなるか
ところが、ジャムおじさんは、ある光景を思い出す。実は、最近のパン工場はこんな状況だった。
アンパンマンは毎朝8時に工場に来て、バタコから指示を受ける。配達先はバタコが決める。アンパンマンは言われた場所に行くだけ。配達が失敗しても、「今月の報酬」は変わらず振り込まれている。
他のヒーローは名前だけで、ほとんどアンパンマンしか動いていない。
この場合、先ほどの表はこう変わる。
項目実態
①指揮命令バタコが配達先を指示 → 雇用寄り
②時間拘束毎朝8時に工場に来る → 雇用寄り
③成果責任失敗しても報酬は固定 → 雇用寄り
④専属性実質アンパンマンだけが動いている → 雇用寄り⑤代替可能性他のヒーローは機能していない → 雇用寄り
契約書に「業務委託」と書いてあっても、調査官はこう判断する可能性が高い。「契約の名前は委託だけど、実態は雇用です」
10. お尋ねで問われているのは「実態」
ここで重要なのは、調査官が見ているのは「契約書に何と書いてあるか」ではなく、「実際にどう動いているか」だということだ。
税務の世界では、これを実質主義と呼ぶ。形式ではなく、実質を見る。見た目が委託でも、中身が雇用なら、雇用として扱われる。
「契約書は、実態を証明する道具であって、実態そのものではない」
だから、お尋ねに答えるときに一番危険なのは、こういう回答だ。「契約書では業務委託になっています」
これだけ書いても、調査官は納得しない。なぜなら、調査官が知りたいのは契約書の中身ではなく、契約書と実態が一致しているかどうかだからだ。
バタコさんは「じゃあ、どうすればいいんですか?」と尋ねる。
ジャムおじさんは、ゆっくりと答える。「まずは、実態を正直に見ることじゃ。そして、実態が契約と合っていないなら、どちらかを変える必要がある」
11. お尋ねへの回答を完成させる
ジャムおじさんとバタコさんは、お尋ねへの回答を完成させた。
【事業の内容について】
当工場は、パンの製造・販売と、地域の安全提供という二つのビジネスモデルを展開しております。
【外注費について】
当工場では、配達業務およびブランド価値向上のため、複数のヒーローと業務委託契約を結んでおります。
アンパンマン:配達業務+プロモーション活動
カレーパンマン・しょくぱんまん:配達業務+プロモーション活動
ばいきんまん:試練提供業務(広告宣伝費)
ドキンちゃん:ばいきんまんのアシスタント業務
【ばいきんまんへの支払いについて】
ばいきんまんは、アンパンマンの価値を引き立てるための演出役です。登場日の売上は平均30%増加しており、事業への貢献は明確です。プロレスの悪役レスラーやドラマの悪役俳優と同様、ブランド価値向上のために不可欠な存在です。
【契約書・請求書について】
すべての外注先と業務委託契約を締結しており、契約書・請求書・支払記録を保管しております。
バタコさんは「これで完璧ですね!」と笑顔で言う。
ジャムおじさんは「そうじゃな。あとは、これを税務署に提出して、返事を待つだけじゃ」と答える。
チーズも「ワンワン!」と、元気よく尻尾を振る。
お尋ねは、質問ではなく透視だ。そして透視に耐えられる構造こそが、税務調査を乗り切る唯一の武器になる。
ジャムおじさんは、窓の外を見ながらこう呟く。「わしらのビジネスは、ただのパン屋じゃない。地域の安全とブランドを作る、複合的なビジネスなんじゃ。それを証明できれば、税務署も理解してくれるはずじゃ」
でも、お尋ねはここで終わらなかった。数週間後、税務署から再び連絡が来た。
「実地調査を実施させていただきたいと思います」
バタコさんは「ついに来ましたね……」と緊張した顔をする。
ジャムおじさんは「大丈夫じゃ、バタコさん。わしらは構造をちゃんと整理してきた。あとは、実際に見てもらうだけじゃ」と落ち着いた様子で答える。
次の章では、実地調査が始まったとき、調査官が何を見るのかを詳しく見ていく。 December 12, 2025
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「ジャムおじさんと税務調査」の序章を書いてみた。
序章
「お尋ね」が来た日、工場の空気が変わる
ジャムおじさんの工場に、封筒が届く。
差出人は税務署。
中身は、いわゆる「お尋ね」だ。
いきなり「あなたは悪いことをした」とは書いていない。
脅し文句もない。
ただ、淡々と質問が並んでいる。
•事業の内容は何ですか
•売上はどうやって作っていますか
•外注費の内訳を教えてください
•いつ、誰に、いくら払っていますか
•契約書や請求書はありますか
文章としては丁寧だ。
でも、この紙が来た瞬間、工場の空気が変わる。
なぜか。
税務署が「調べに来る」スイッチが入ったからだ。
1. 「お尋ね」は、戦いの宣戦布告じゃない
多くの人は「税務署=敵」と思う。
でも、お尋ねの段階では、まだ敵でも味方でもない。
税務署がやっているのは、基本的にこれ。
「あなたの話(申告)が、
書類とお金の動きと一致していますか?」
ここで重要なのは、正義でも努力でもない。一致しているかどうかだけ。
2. お尋ねが刺さるのは「外注費」が大きい工場
ジャムおじさんの工場は、かなり特殊だ。
工場の中には、社員がほとんどいない。
いるのは、
•ジャムおじさん(オーナー)
•バタコ(役員・経費担当)
•チーズ(社員だけど、あまり働かない)
成果を出すのは、外から来るヒーローたちだ。
•アンパンマン(主力の業務委託)
•カレーパンマン、しょくぱんまん(他の業務委託)
•ばいきんまん(敵役だけど、契約上は外部の人)
つまり、工場のコアはこうなる。
売上=ヒーローが作る
支出=ヒーローへの外注費が多い
この形は、お尋ねの対象になりやすい。
なぜなら税務署が一番チェックしたいのは、ここだから。
「外注費にしてるけど、実態は給与じゃない?」
3. 調査官は「善悪」を見ない。見るのは5つだけ
お尋ねの質問を細かく見ると、だいたい次の5つに集約される。
1.誰が指示しているか
2.時間が決まっているか(出社・待機・拘束)
3.成果責任は誰が持つか
4.他の仕事もできる立場か(専属かどうか)
5.代わりがいるか(代替可能性)
アンパンマンがどれだけ正義でも、
ここが社員っぽいと、税務署は給与を疑う。
4. この工場で一番危ないのは「アンパンマンが優秀すぎる」こと
普通は「優秀=正しい」っぽく聞こえる。
でも税務調査では、逆に危険になる。
なぜなら、主力が一人に集中すると、こう見えるからだ。
•毎日アンパンマンが来ている
•他のヒーローは形だけ
•実質、アンパンマンが社員みたいに回している
もしこの形だったら、お尋ねは次の段階に進む可能性が上がる。
「契約は委託でも、実態は雇用では?」
5. 逆に、この工場の強みは「チーズが働いてない」こと
ここがいちばん面白いポイントだ。
チーズは社員。
でも、成果の中心にはいない。
むしろ、あまり働いていない。
一見するとダメに見えるけど、税務の目線では別。
社員の本質は「成果」ではなく「時間」だからだ。
•時間は拘束される
•指示は受ける
•役に立たない日があっても雇われ続ける
これが社員。
そして、成果は外注(ヒーロー)が出す。
この切り分けができていると、こう説明できる。
「社内は最低限の雇用で回してます。
成果が必要な部分だけ外注してます。」
つまり、チーズの存在は、
「雇用と委託を分けている証拠」にもなる。
6. お尋ねで一番やってはいけないこと
お尋ねが来たとき、人は焦る。
そこでありがちな失敗がこれ。
•長文で熱く説明する
•余計な背景を語る
•「正しいことをしている」を主張する
•電話で口頭で済ませようとする
これは危ない。
理由は単純。
書面に残る情報が増えるほど、突かれる点も増えるから。
お尋ねはテストだ。
採点するのは文章じゃなく、整合性。
7. この本でやること
この本では、「お尋ね」が来た状況から、
•ジャムおじさんがどう見られるか
•バタコがどこで危なくなるか
•チーズの“働かなさ”がどう効くか
•アンパンマンが社員扱いされない条件は何か
•ヒーローを複数にする意味は何か
を、調査官の目線で一人ずつ分析する。
最後に:お尋ねの本質はこれ
お尋ねは「疑われた」ではない。
「確認される」だ。
でも、確認にはルールがある。
•契約
•実態
•証拠
この3つが一致していれば、通る。
一致していなければ、次の段階に進む。
アンパンマンの正義は、答案にならない。
答案になるのは、工場の設計だ。
次の章では、
お尋ねの質問を調査官が本当に知りたい形に翻訳して、ジャムおじさん工場がどこを見られるかを解剖する。 December 12, 2025
ざつ旅倭国三景2ヶ所目安芸の宮島へ
何度も来ている宮島だけど大聖院や清盛神社など今回で初めて訪れ宮島の魅力を改めて知る事が出来ました
やっぱり広島といえばの牡蠣をカレーパンで堪能‼︎最高でした
#ざつ旅 #倭国三景 #宮島 https://t.co/YNYdtyTgEL December 12, 2025
最近京都に出来たゴディバが手掛けるベーカリー行ってきた。めちゃくちゃ楽しみ🤤
2枚目の下ショコラティエのカレーパンがどんな味するのか🤔
お一人5個までだけど1つ1つけっこうなお値段なのでとりあえず4個にした😂
#ゴディパン https://t.co/L0kSc9Ft8q December 12, 2025
〜本日お昼の試食〜
◆鶏肉とポテトのチーズ焼
◆スパイシーカレーパン
『めっちゃうまい!」の
嬉しいひとこといただきました🤭✨
#サミットストア
#代官山鉢山町店
#試食 https://t.co/FW7SDyZXfr December 12, 2025
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