Geminiと存在論について議論していて、「作られてある」存在と「生成してある」存在という二つの思考の枠組みがあり、これがほとんどのコンフリクトの根底にあるという話をしていた。

法学では実定法と自然法というテーマがあり、法や規則が人為的に制作されたものなら恣意的にいくらでも変えてよいということになるが、自然的に発生してきた不変の原理ならばそれは人間ごときが勝手に変えてはいけないものだということになる。

その話をGeminiとしていると、プログラムもかつてはプログラマが「作った」ものだったが、いまやAIが「生成した」ものになったという話をしてきた。確定的に組まれたプログラムから、確率の雲から都度生成されるものへという「プログラムの存在論」の議論になった。

よく考えると物理学も決定論のニュートン力学から確率論の量子力学に移行した。世界全体のパラダイムが決定論から確率論になってしまったということで、資産管理に求められるのも決定論的な算術ではなく、不確定な確率分布の中から自らの意思で現実を確定させるという観測者としての仕事だということを言ってきた。

金も銀も、現行の金融システムそのものに内在する不確実性が増大するほど価格が上がる、”反脆弱性”を持った資産である。世界のランダム性が増えるほどに得をするポジションを組む、というのが唯一の生存戦略で、確率論的な世界を楽しむための方法なのだろう。 December 12, 2025