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2025.12.05 12:00
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無症候性頸動脈狭窄の“答え合わせ”?
脳卒中医として長年待っていたCREST-2の結果がついにNEJMに掲載されました。
「高度狭窄なら無症候でも手術」という常識は、現代の強化内科治療(IMM: Intensive Medical Management)の前でも通用するのか?
結論を先に言うと、「CASは内科治療に勝ち、CEAは引き分け」 でした。
強力な内科治療下での外科的介入の価値を、疫学的視点も交えて整理します。
#脳神経内科 #CREST2 #脳卒中
背景:なぜ今さら無症候性をRCTで?
ACASやACSTなど古いRCTでは、CEAが内科治療より有利でした。ただし当時はスタチンも降圧も今ほど強力ではありません。その後、リスク管理の徹底により、無症候性高度狭窄でも内科治療単独の年率リスクは1%前後まで低下したとする報告も出ています。
「ベースラインリスクが下がった現代でも、周術期リスクを冒して手術する意味があるのか?」
これがCREST-2のClinical Questionです。
結果①:CAS vs 内科治療(IMM)
一次複合アウトカム(44日以内の全脳卒中・死亡+4年までの同側虚血性脳卒中)は、
IMM単独:4年 6.0%
CAS+IMM:4年 2.8%
絶対リスク差 3.2ポイント(P=0.02)
ARR=3.2%から算出される NNTは約31。
「31人にCASを行えば、4年間で1人のイベントを防ぐ」計算になります。
結果②:CEA vs 内科治療(IMM)
同じ複合アウトカムは、
IMM単独:5.3%
CEA+IMM:3.7%
絶対差 1.6ポイント(P=0.24)で有意差なし
長期的にはCEA群がやや良さそうですが、周術期の脳卒中が初期リスクとして効いてしまい、長期の上乗せ効果を食ってしまった形でしょうか。
批判的吟味:NNT31と「誰がやるか問題」
CASのNNT31は「やる価値はあるが、劇的ではない」レベルです。
しかも、CREST-2では、周術期stroke/death<3%を達成している熟練オペレーターのみが参加しており、いわば「ハイボリュームセンターの成績」です。
実臨床で経験の浅い施設が真似すると、この3%前後のマージンは簡単に消えます。
この試験が示したのは、「CASが良い」のではなく、「熟練者がやるCASが良い」という点も重要です。
実践:明日からどう診るか① IMMの徹底
まず大前提として、手術の有無にかかわらず徹底したIMM(強化内科治療)が必須です。
CREST-2でも、SBP<130 mmHg、LDL-C<70 mg/dLをターゲットに、薬物療法+生活指導を組み合わせていました。
「手術しない=放置」ではなく、むしろ内科管理をギアチェンジするイメージです。
実践:明日からどう診るか② 誰にCASを検討するか
全例をCASに送るべき、という話ではありません。
MRIでのプラーク内出血、TCDでのMES、進行性の狭窄など、ベースラインリスクが高そうな症例ほど、NNT31の意味は大きくなります。
一方で、高齢・フレイル・重度併存症などで周術期リスクが高い場合は、IMMのみにとどめる判断も以前より正当化されます。
まとめ
現代の強力なIMM下でも、無症候性高度狭窄に対するCASは有用(NNT≈31)。
CEAは有意差を示せず。周術期リスクが長期予後の利益を相殺する可能性。「狭窄=即CEA」ではなく、IMMを徹底しつつ、CASの恩恵が大きいハイリスク例を慎重に選別する時代に。
先生の施設では、無症候性狭窄への介入基準をどう設定されていますか?コメントで教えてください。
📖 参考文献
Brott TG, Howard G, Lal BK, et al. Medical Management and Revascularization for Asymptomatic Carotid Stenosis. N Engl J Med. Published online November 21, 2025. doi:10.1056/NEJMoa2508800
https://t.co/X25yjKsdqZ December 12, 2025
@megane_251011 配信ライブは直近で現場に行きたくても行けない時に限って見てます
手軽に満たされると次に生で見る時に感動が薄れそうで という謎のこだわりです
crest狭いからカメラワークは難しそうですね🤔 December 12, 2025
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