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2025.11.27 08:00
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#中国古生物学ニュース
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🐱✍「琥珀に眠る“木の中のハンター”──白亜紀の微小生態系を再現!」
2025年6月、中国科学院南京地質古生物研究所とブリストル大学の国際研究チーム(蔡晨陽〈ツァイ・チェンヤン〉研究員、李言達〈リ・イェンダ〉博士課程ら)は、約1億年前のミャンマー産白亜紀琥珀から、新属の甲虫ルトゥリゾマ属(Rutrizoma)を発見しました。
この化石は、木の皮の下という“極小世界”で、捕食者・被食者・共生者が入り乱れる複雑な生態系ネットワークを初めて化石で示した例として注目されています。成果は『Proceedings of the Royal Society B』(2025年)に掲載されました。
▼ 発見対象や特徴
新属ルトゥリゾマ属(Rutrizoma)は、ゴミムシダマシ上科に属するコクヌストモドキ科(Silvanidae)の近縁グループと考えられます。
体は細長く、硬い上翅(鞘翅)が短くなっており、木材の内部を自由に動き回るのに適した形をしています。
特に、鋭い単歯の大顎(mandible)をもち、他の昆虫を襲う捕食性の適応を示していました。
同じ琥珀中には、多数のポイナリニウス属(Poinarinius)が共に閉じ込められており、これらがルトゥリゾマの獲物だった可能性が高いとみられています。
▼ 古環境・生態の再現
当時の熱帯林では、木の内部や樹皮の下に“サブコルチカル・エコシステム(subcortical ecosystem)”が広がっていました。
そこには、木材を食べる長蠹や小蠹類、その捕食者となる甲虫、そして甲虫に付着して移動する携播ダニ(phoretic mite)が共存していました。
今回の琥珀標本でも、ルトゥリゾマの体表には複数のダニが付着しており、現生の「樹皮下ミクロ生態系」と同様に、共生・寄生・捕食が入り混じる多層的な関係がすでに成立していたことを示しています。
▼ 学術的意義
ルトゥリゾマの最大の特徴は、腹部後端に見られる「斜盤構造(phragmotic disc)」です。
これは鞘翅の後縁が盾のように発達した構造で、木材中で外敵から身を守る“閉塞器官”として機能したと考えられます。
このような構造は現生の小蠹類や長蠹類でも見られ、同じ生態的圧力下での収斂進化(convergent evolution)の一例とされています。
つまり、ルトゥリゾマは「木の中で獲物を追う捕食者」でありながら、同時に「より大きな捕食者から身を守る被食者」でもあったのです。
琥珀に閉じ込められたこの一瞬が、1億年前の“食う・食われる”連鎖の両側面を同時に物語っています。
▼ 今後の展望
研究チームは、今後も琥珀中の微小化石を対象に、樹皮下生態系の進化史を詳細に復元していく計画です。
特に、携播ダニとの共生関係や、捕食・防御戦略の進化的起源を分子系統解析と組み合わせて検証する予定です。
“白亜紀の木の中”という、これまで見えなかった生態系の解明は、生態学と古生物学の架け橋として大きな意義をもっています。
🐱<こんなに小さい化石にも、過去の食物連鎖の痕跡が残っているんですね!🌲🐞
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#論文解説 November 11, 2025
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