渡なべ
限定「鹿児島ラーメン（味噌）」
名将・渡辺樹庵が描く鹿児島味噌

名将・渡辺樹庵がまた一杯、東京に新しい鹿児島を投じた。
今回の限定は、鹿児島の麦味噌を軸に据えた創作味噌ラーメン。
この麦味噌が持つとろっとした質感と優しい甘みが、渡なべの流儀により見事に再構築されている。

レンゲを入れた瞬間にわかる。
重くないのに密度がある。
甘みは丸く、香りは穏やかで、その奥に九州らしい野趣が確かに息づいている。
味噌ラーメンでありながら、どこか鹿児島流の豚文化まで想起させる深み。
これが渡辺樹庵の創作性だ。

特筆すべきはトッピングの刻みキャベツ。
これがただの添え物ではない。
麦味噌の甘みとキャベツのシャキ感が驚くほど合う。
むしろ濃口醤油よりベストマッチと言っていいほど、味の輪郭をくっきりと際立たせる名脇役だ。

そして、毎度のことながら本家越えを感じさせてしまう完成度。
名店のエッセンスを尊重しつつ、“渡なべが作るとこうなる”という答えを丁寧に提示してくる。
ここで啜るラーメンは、とにかく楽しい。
創作なのに角がない。
独創なのに過剰じゃない。
気づけば夢中で丼に向かっている。

限定ゆえの一期一会。
しかしその一杯には、樹庵さんの経験と遊び心が確かに宿っている。
「渡なべでしか味わえない鹿児島味噌の景色」——そんな言葉がぴったりの傑作だ。
ご馳走様でした。

#ラーメン
#高田馬場
#早稲田 December 12, 2025