古書ドリスは本日、鶯谷にオープンしてから8周年となります。徳島でネットショップと店舗を始めた頃から数えると、気づけばもう20年近く古本屋を続けてきたことになります。運とタイミングと時代の流れに任せて、なんとか業界の末端にへばりついて生きてきましたが、ここまで続いたのなら、多少は商売人として誇りに思ってもいいのかなと思います。

鶯谷に店を出したとき「まずは10年続ける」と自分の中で区切りを決めていました。8周年ということは、その目標まであと少し。今のところ、私はこの場所が好きで、不満もないので、2年後にここを離れる理由もありません。

ドーパミン中毒なんて言葉が流行るくらいに即効性の刺激にあふれている時代ですが、私も一つのことに集中して向き合える時間が、昔より減ってきた気がします。仕事においても、意識的に品揃えを少しずつ変えていったり、知らないジャンルにも手を伸ばしたりしないと、自分の好奇心に陰りが出るのでは、と思うことはあります。

それでも、どれだけ日々たくさんの本を扱っていても、好きな一冊を手に入れたときの喜びは昔から変わりません。本への興味がなくならない限りは、古本屋でいられる気がします。

「多くの人に好かれなくても、誰かの一番好きな古本屋になれれば良い」という気持ちはずっと同じで、耽美・幻想の世界観を軸に、これからもマイペースに古本屋を続けていけたらと思います。お客さんに古本屋を楽しんでもらいたいし、そして何より、自分自身がまだこの仕事を楽しめているうちは続けたいと思っています。 December 12, 2025