風のように トレンド
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2025.12.10 09:00
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おはようございます。胡蝶蘭の”ソーリ”こと吉田茂です。12月9日(火)です。
師走とお軸と座右の銘
登り坂の道端に咲く山茶花に癒されながら、市中の山居である茶室へと足を運ぶ。誰もいない茶室に入ると、お釜の滾る「シュン、シュン」という音が松風のように響き、心を静かに整えてくれる。
師走の恒例として掛けられるのは「無事是貴人」のお軸。
この一年を無事に過ごし、年の瀬を迎えられたことを思い返す。
だが、この言葉は単なる「平穏無事」を意味するのではない。
禅語としての「無事」とは、外に救いを求めず、一切の計らいを捨てた心の状態を指す。その悟りを得た人こそ「貴人」と呼ばれるのだ。
静寂の異空間でお軸と向き合うと、「その心は自分の中にある」と声が降りてくるように感じる。
それは、私の座右の銘の一つである。
「自分の人生は自分が掌握している――問題は我にあり、他人のせいにしてはならない。」
そうした気づきが、茶室の静けさの中で深く胸に刻まれる。
師走の茶室は、初釜に備えた棚でのお稽古が進む。
年に一度の初釜、その作法に戸惑いながら、先生の指導を受ける。
知識や情報が優先され、頭でっかちな評価が重視される時代にあって、茶の湯のお稽古は身体性を通して自分と向き合う場となる。その体験が、豊かな心をもたらすのだと改めて思う。
師走の茶室に響く松風の音と「無事是貴人」のお軸は、座右の銘のように私の心を支え、心を整えてくれた。
今日も宜しくお願いいたします。
写真は:「花が誘う別世界」:山茶花と初釜に向けたお稽古風景
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大人のためのネオ童話『不条理な散歩道』
いつの季節だったのか、はっきりとは想いだせなかった。
春の匂いのように湿っていたし、秋風のように乾いてもいた。
窓のない部屋では天井から降ってくる蛍光灯の光が時間を決めていた。
ぼくの着古した灰色のコートの袖に蛍光灯の光が染みついていた。
すりきれた靴底は、ぼくがようやくここにたどり着いた証拠のはずなのに、どこから来たのかまったく想いだせなかった。
この部屋には、ぼく以外にも人がいた。
スーツ姿の男がずっと電話をしていた。
受話器のコードが千切られているので、つながるはずもないのに、彼は謝罪と言い訳をいつまでもくりかえしていた。
椅子に座った老人が煙草を喫っていた。
老人の眼には理解と諦観と、そして、なにより「ぼくの知らない平安」があった。
老人に近づくと彼は静かに苦笑いした。
「若いころの自分の姿を見るのは、なかなか厄介なものだよ」
息が止まりかけた。
「……ぼくは、あなたなんですか……」
「いや、君がわたしだ」
老人の言葉が、ぼくの胸のなかで山彦のように反響した。
老人の目尻には秋が宿り、眉毛には冬の霜が降りていた。
永い歳月が彼の顔に刻まれていた。
そして青緑色のワンピースを着た、雨に濡れたような光沢を放つ薄茶色の毛の女が机のうえの書類を捨てつづけていた。
捨てても捨てても机のうえには書類が山積みにされたままだった。
女の表情には諦めがはりついていた。
眼は虚ろで、眉のない額に刻まれた影は疑惑と安堵を同時に宿していた。
三人の沈黙のなかには虚無の気配がうごめいていた。
花の香りとカサリという落ち葉の音が換気口から滲みでるように流れてきていた。
春と秋の触手が同時に皮膚に触れ、どちらにも属さない感覚がぼくの胸の奥に沈殿していった。
女が口を開いた。
「やっと来てくれたのね」
声は優しかったが、喉の奥に猫の鳴き声のような振動を残していた。
「ここは……どこなんですか?」
ぼくは自分の声が少し震えていることに気がついた。
震えは寒さのせいではなく、記憶に空いた穴を指で確認するような感覚に似ていた。
「あなたが子供のころから望んでいた場所じゃない」
彼女は答えた。
「でも大人になって、あなたはもう望むことをやめてしまった。それだけは認めざるをえないはず」
ぼくが望むことを、やめた……
思考の奥でなにかが小石のように転がった。
すると部屋の扉が音もなく閉じた。
この部屋の壁紙は古びて皺だらけだった。
蛍光灯はつねに点滅していて、ぼくたちの影を細切れにしていた。
部屋のすみには時間という名の埃が積もりに積もっていた。
部屋を歩くと床が低く唸った。
それは記憶の地層が軋む音だった。
「この部屋から出られるんですか」
「出られるわ」
女は冷笑した。
「あなたが望めばね」
「ぼくが望めば?」
女は返事をせず、それっきり黙りこんでしまった。
夏の湿気をふくんだ沈黙が重く部屋に沈殿していた。
蛍光灯の光は雪のように冷たく、花びらのように儚く、誰かの泣き声のように痛かった。
なにもかもが混ぜあわされたような色と音が、ぼくの魂を支配していた。
薄茶色の毛の女がぼくの眼を逃げ場のない瞳でまっすぐに見つめながら言った。
「この部屋から出ていきたいの?」
彼女の声は優しくて残酷だった。
「ここに残れば、あなたは望まなくてすむ。傷つかなくてすむ。忘れることも、覚えることも、どちらもしなくてすむ」
望まないことで、平安が保たれるということだろうか……
冬の午後の陽だまりのような甘い感情がぼくを誘惑した。
ぼくの胸でなにかがかすかに動いた。
時間に埋もれていた感情の化石がひとつだけ息を吹きかえしていた。
「……痛いのは、いやだけど……」
ぼくは唇を噛んだ。
血の味がした。
生きている味だった。
「望むのをやめたまま、生きるのもいやだ」
そう言ったとたん、女の表情が変わって、彼女と男と老人の姿は霧のように消えていった。
遠くで鳥が鳴いていた。
ぼくはいつもの散歩道に立っていた。
冬の冷たい空気にかすかな春の匂いが混じっていた。
ぼくは歩きだした。
なにかを望むということは痛みを受けいれること。
夢を見るということは傷口を増やすこと。
それでも歩いていくしかない……
ぼくがそうつぶやくと、世界のどこかで誰かが微笑んだような気がした。
image:安達猫風(あだち びょうふう) December 12, 2025
1997年12月10日のコンサート日記より
ステージはバックが窓に仕立ててあって小田さんのお部屋みたいに感じられた
最後は〝You’ll see anything thru the window〟のメッセージともに窓が閉まる設定
本編ラストの「風のように」が素敵すぎた🥹✨
(東京国際フォーラムホールA)
#小田和正 December 12, 2025
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