雇用契約 トレンド
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2025.12.17 20:00
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色々意見が寄せられているけど、
とりあえず意見するならリプライ繋げてる最後まで読んでほしい。
長い文章を読むのがしんどい時代なのは分かっているし、無理強いするつもりもない。
ただ、寄せられている意見の半分くらいには、すでに本文の中で答えている。
まず前提として。
「作業所だから」「障害者だから」「福祉だから」
売れるような努力をしていないのが良くない、という指摘については、
その通りだと思っている。
パッケージ、価格、見せ方、付加価値。
そこに本気で向き合って
ちゃんと売れている福祉クッキーやチョコの事例もある。
だから
「努力不足」「工夫不足」という批判を
福祉側が一切免責されるとは思っていない。
実際、パッケージについては
過去にもこういうことを書いている。
https://t.co/5tUTQH8cZk
その上で、
多かったもう一つの意見。
流通商品だって売れ残る。
なぜ福祉商品だけ、
売れ残りやフードバンク行きに
気を使わないといけないのか?
これには、
大きく分けて2つの理由があるよ。
① 労働条件と責任の非対称性
一般の流通商品は、
・賃金
・労働時間
・雇用契約
・転職の自由
これらが最低限、担保されている。
売れなければ
改善する、撤退する、別の商品に移る。
それが「事業の失敗」として処理される。
でも福祉作業所の商品は違うんだよ。
・工賃は極端に低い
・作る側は経営判断に関与できない
・販路も価格も選べない
・失敗しても責任だけは「現場」に残る
リスクを負っていない側が設計し、
リスクを回避できない側が作る。
この非対称な構造の中で生まれた商品は、
単なる「売れ残り」と同列には扱えない。
② 商品である前に「制度の結果」だから
流通商品は、
市場で選ばれることが前提だ。
でも福祉商品は、
市場の論理だけで生まれていない。
制度、補助金、支援、
「働く場を用意する」という目的が先にある。
つまり福祉商品は、
商品である前に、制度設計の結果なんだ。
その結果として生まれたものが
売れ残り、
説明もなく、
価値も切り落とされて
フードバンクに流れていく。
そこに違和感を覚えるのは、
感情論ではなく、
構造の問題だと思っている。
だからこれは
「かわいそうだから配慮しろ」という話じゃない。
・誰が作ったのか
・どんな条件で作られたのか
・なぜその形になったのか
それを
見えないまま流す構造でいいのか、
という問いだ。
売れなかった責任を
ちゃんと引き受けるのは必要だ。
でも同時に、
責任を引き受けられない立場の人に
「結果だけ」を背負わせる構造も、
見直されるべきだと思っている。 December 12, 2025
2RP
ジャムおじさんとM&Aトラブル編
ジャムおじさん、バイキン城株式会社を買収する
「これでビジネスが拡大できる」と思った瞬間、悪夢が始まった
ある日、ジャムおじさんのパン工場に、一人の仲介者が訪ねてきた。名前はホラーマン。M&A仲介会社「デスマッチM&A」の営業担当だ。
「ジャムおじさん、素晴らしいお話があります。バイキン城株式会社が売りに出ています。買収しませんか?」
バタコさんは「バイキン城……?あの、ばいきんまんの会社ですか?」と驚く。
ホラーマンは、ニコニコしながら言う。「そうです。実は、ばいきんまんは資金繰りに困っていて、会社を売却したいと考えているんです。年商3億円、営業利益5,000万円の優良企業ですよ。今ならEBITDA倍率5倍で、たったの2億5,000万円で買えます!」
ジャムおじさんは眉をひそめる。「でも、ばいきんまんは、わしらの敵じゃないか。なぜ、わしがその会社を買わなきゃいかんのじゃ?」
ホラーマンは畳みかける。「実は、バイキン城株式会社は『試練提供サービス』という独自のビジネスモデルを持っています。御社のパン工場と統合すれば、垂直統合による大きなシナジーが生まれますよ!ヒーローと敵役の両方を持つことで、ストーリーの完全コントロールが可能になります!」
バタコさんは「シナジー……ですか?」
ホラーマンは「そうです!しかも、今月中に契約すれば、私の成功報酬が10%割引になります!これはチャンスですよ!」
ジャムおじさんは少し考える。「確かに……ばいきんまんがいなければ、アンパンマンの価値は下がる。もし、ばいきんまんのビジネスを買収できれば、わしらのビジネスも安定する……よし、やってみよう」
こうして、ジャムおじさんは銀行から2億5,000万円を借り入れ、DDもほとんどせずにバイキン城株式会社を買収した。
1. 【よくあるトラブル①】キーマンが即退職
買収が完了した翌日。ジャムおじさんとバタコさんは、バイキン城に向かった。
ばいきんまんは、ニヤニヤしながら言う。「ハヒフヘホー!ジャムおじさん、買ってくれてありがとうな!これでオレ様は自由だぜ!」
ジャムおじさんは「ばいきんまん、これから一緒にビジネスをやっていくんじゃ。よろしく頼むぞ」
ばいきんまんは「あ、そうそう。オレ様、明日からハワイに移住するから。もうここには来ないぜ!じゃあな!」と言って、バイキンUFOに乗って飛んで行ってしまった。
バタコさんは「え?待って!契約書には『買収後も3ヶ月間は業務を引き継ぐ』って書いてあったはずでは……?」
ジャムおじさんは契約書を確認する。すると、小さな字でこう書いてあった。
「ただし、売り手の健康上の理由、または家庭の事情により、引き継ぎ期間を短縮することができる」
ばいきんまんは「オレ様、ちょっと体調悪いんだよね。ハワイで療養するわ!」と言い残して消えた。
これが、M&Aで最も多いトラブル「キーマンの即退職」だ。
2. 【よくあるトラブル②】粉飾決算が発覚
バタコさんは、バイキン城の帳簿を詳しく調べ始めた。そして、顔が青ざめる。
「おじさん……これ、見てください……」
帳簿には、こう書かれていた。
【買収前に提示された数字】
年商:3億円
営業利益:5,000万円
純資産:1億円
【実際の数字】
年商:2億円(架空売上1億円が含まれていた)
営業利益:実質赤字2,000万円
純資産:実質マイナス5,000万円(簿外債務が6,000万円あった)
バタコさんは「おじさん、これって……粉飾決算ですよね?」
ジャムおじさんは「そんな……仲介者は『優良企業』と言っておったのに……」
バタコさんは、架空売上の内訳を調べた。すると、こんな記録が出てきた。
架空売上の手口
循環取引:バイキン城 → ダークネス商社 → バイキン城と、商品を売ったことにして売上を水増し
架空顧客:存在しない「宇宙王国」への売上を計上
期ズレ:来期の売上を前倒しで計上
バタコさんは「これ、完全に粉飾決算じゃないですか……でも、買収前のDDで、なぜ気づかなかったんですか?」
ジャムおじさんは「実は……DDをほとんどやっておらんかった……ホラーマンが『この案件は人気で、他にも買い手がいます。早く決めないと逃げますよ』と急かすものだから……」
これが、M&Aで二番目に多いトラブル「粉飾決算」だ。DDを怠ると、必ずこうなる。
3. 【よくあるトラブル③】簿外債務が山ほど出てくる
さらに、バタコさんは「簿外債務」を発見した。
簿外債務リスト
未払い残業代:従業員ドキンちゃんへの未払い残業代2,000万円
リース債務:バイキンUFOのリース契約(残債3,000万円)
訴訟リスク:過去に試練提供で怪我をさせた被害者からの損害賠償請求1,000万円
税務リスク:過去3年分の消費税申告漏れ、追徴課税予想額1,500万円
環境リスク:バイキン城の地下にカビ廃棄物が埋まっており、除去費用5,000万円
合計:1億2,500万円
バタコさんは「おじさん……これ、全部私たちが払わなきゃいけないんですか?」
ジャムおじさんは「契約書には『簿外債務は売り手が負担』と書いてあるはずじゃ……」
バタコさんは契約書を確認する。確かにそう書いてあった。でも、こんな一文もあった。
「ただし、買い手が知り得た、または知り得るべきだった債務については、買い手が負担する」
つまり、DDをちゃんとやっていれば発見できたはずの債務は、買い手が負担することになる。
ジャムおじさんは「そんな……」
これが、M&Aで三番目に多いトラブル「簿外債務」だ。
4. 【よくあるトラブル④】顧客がキーマン依存で、契約が全部解除される
さらに、バタコさんは顧客との契約書を調べた。
試練提供契約書(カレー王国)
契約期間:1年間(自動更新)
報酬:年間1億円
ただし、ばいきんまん本人が試練を提供すること。代理は認めない
バタコさんは「おじさん……これ、ばいきんまん本人じゃないとダメって書いてあります……」
ジャムおじさんは「ということは、ばいきんまんがいなくなった今、この契約は履行できないということか……?」
バタコさんは、カレー王国に電話をかけた。
「もしもし、カレー王国ですか?バイキン城株式会社を買収した、ジャムおじさんと申します。これから、ばいきんまんの代わりに……」
カレー王国の担当者は、冷たく言う。
「契約書を読んでください。ばいきんまん本人が提供すること、と書いてあります。ばいきんまんがいないなら、契約は解除です。今年度分の前払い金5,000万円を返金してください」
バタコさんは「返金……?でも、もう買収代金を払ってしまって……」
カレー王国の担当者は「それは知りません。来週までに返金しない場合、訴訟を起こします」
電話は切られた。
バタコさんは、他の顧客にも電話をかけた。パン王国、宇宙王国、海底王国……全ての顧客が、同じことを言った。
「ばいきんまんがいないなら、契約解除。前払い金を返金しろ」
合計返金額:1億5,000万円
ジャムおじさんは「そんな金額、わしには払えん……」
これが、M&Aで四番目に多いトラブル「キーマン依存による顧客離反」だ。
5. 【よくあるトラブル⑤】従業員も一斉退職
さらに悪いことに、従業員のドキンちゃんが辞表を持ってきた。
「あたし、もうここで働きたくないわ。ばいきんまん様がいなくなったら、意味ないもの」
バタコさんは「ドキンちゃん、お願いです。一緒に頑張りましょう」と引き止める。
ドキンちゃんは「無理よ。それに、あたし、未払い残業代2,000万円もらってないのよ。払ってくれるなら、考えてもいいけど」
バタコさんは「2,000万円……?」
ドキンちゃんは「ばいきんまん様、いつも『後で払う』って言ってたけど、結局払ってくれなかったの。労働基準監督署にも相談してるわ」
バタコさんは「でも、それは買収前の話ですよね?ばいきんまんに請求してください……」
ドキンちゃんは「労働債務は、会社が引き継ぐのよ。買収したあなたたちが払う義務があるわ。払わないなら、労基署に訴えるし、辞めるわ」
バタコさんは「そんな……」
ドキンちゃんは「じゃあね」と言って、バイキン城を去った。
これが、M&Aで五番目に多いトラブル「従業員の一斉退職と労働債務の請求」だ。
6. 【よくあるトラブル⑥】隠れた重要契約が足枷になる
バタコさんは、さらに契約書を調べた。すると、とんでもない契約が出てきた。
業務委託契約書
委託者:バイキン城株式会社(ばいきんまん)
受託者:悪の秘密結社ダークネス
契約内容:
ダークネスは、ばいきんまんに「悪役としての指導」を提供する
ばいきんまんは、試練提供ビジネスで得た収益の30%をダークネスに支払う
本契約は、会社の所有権が移転した場合も継続される
契約期間:10年間(残り8年)
違約金:契約を途中で解除する場合、3億円を支払う
バタコさんは「おじさん……これ、私たちが引き継がなきゃいけないんですか?年間8,000万円を、あと8年も?」
ジャムおじさんは「契約書には『会社の所有権が移転した場合も継続される』と書いてある……つまり、わしらが引き継ぐことになるのう……」
バタコさんは「でも、もう顧客はいないから、収益もないですよね?それなのに、ダークネスには払い続けなきゃいけないんですか?」
ジャムおじさんは契約書をよく読む。すると、こう書いてあった。
「収益の有無にかかわらず、最低保証額として年間5,000万円を支払うこと」
バタコさんは「おじさん……これ、あと8年間で4億円ですよ……」
これが、M&Aで六番目に多いトラブル「隠れた重要契約(チェンジオブコントロール条項)」だ。
7. 【よくあるトラブル⑦】競業避止義務がなく、売り手がすぐに競合を始める
買収から1ヶ月後。町の人から、こんな噂を聞いた。
「ねえ、知ってる?ばいきんまんが、隣町で新しい会社『バイキン城2.0』を作ったんだって。また試練提供ビジネスをやってるらしいよ」
ジャムおじさんは「なんじゃと!?」
バタコさんは「おじさん、契約書に競業避止義務は書いてありましたか?」
ジャムおじさんは契約書を確認する。でも、競業避止義務の条項はなかった。
つまり、ばいきんまんは、買収後すぐに同じビジネスを始めても問題ない。
しかも、ばいきんまんは元の顧客(カレー王国、パン王国)にこう営業していた。
「オレ様が戻ってきたぜ!また一緒に仕事しようぜ!しかも、今度は前より安い値段でやるぜ!」
顧客は、喜んでばいきんまんと再契約した。
ジャムおじさんは「わしらは、顧客を失い、債務だけが残った……そして、ばいきんまんは顧客を取り戻して、また儲けておる……」
これが、M&Aで七番目に多いトラブル「競業避止義務の不備」だ。
8. 【よくあるトラブル⑧】表明保証があっても、売り手が逃げて回収不能
ジャムおじさんは、弁護士に相談した。
「先生、契約書には『表明保証』があります。ばいきんまんが嘘をついていたら、損害賠償を請求できるはずです」
弁護士は契約書を見る。
「確かに、表明保証はあります。でも、問題があります」
バタコさんは「何ですか?」
弁護士は「まず、ばいきんまんと連絡が取れません。ハワイに移住したと言っていますが、住所も電話番号もわかりません」
ジャムおじさんは「でも、訴訟を起こせば……」
弁護士は「訴訟を起こすこともできます。でも、ばいきんまんの居場所がわからなければ、訴状を送ることもできません。仮に勝訴しても、財産が隠されていれば、回収できません」
バタコさんは「つまり……表明保証があっても、意味がないんですか?」
弁護士は「エスクロー(第三者預託)を使っていれば、売却代金の一部を預けておいて、問題が発覚したら自動的に返金されるシステムがあります。でも、この契約書には、エスクローの条項がありません」
ジャムおじさんは「つまり、わしは泣き寝入りするしかないのか……」
これが、M&Aで八番目に多いトラブル「表明保証があっても回収不能」だ。
9. 【よくあるトラブル⑨】仲介者は成約後、一切関与しない
ジャムおじさんは、仲介者のホラーマンに電話をかけた。
「ホラーマンさん、大変なんです!買収した会社が粉飾決算で、簿外債務も山ほど出てきて……」
ホラーマンは「あー、それは残念ですねー。でも、契約は成立してますから、僕の仕事は終わってます」
ジャムおじさんは「でも、あなたは『優良企業』と言ったじゃないですか!」
ホラーマンは「僕は、売り手から提供された情報を伝えただけですよ。DDは買い手の責任です。それに、契約書にも『仲介者は、情報の正確性について責任を負わない』と書いてあるでしょ?」
ジャムおじさんは「そんな……」
ホラーマンは「それより、成功報酬2,500万円、まだもらってないんですけど。早く払ってくださいね。じゃ!」
電話は切られた。
これが、M&Aで九番目に多いトラブル「仲介者は成約後、一切関与しない」だ。
10. 【よくあるトラブル⑩】銀行が融資を引き上げる
買収から3ヶ月後。ジャムおじさんは、銀行から2億5,000万円を借り入れていた。その返済が始まる。
銀行の担当者は「ジャムおじさん、今月の返済額は500万円です。ちゃんと払えますか?」と尋ねる。
ジャムおじさんは「実は……バイキン城株式会社の売上がゼロになってしまって……」
銀行の担当者は「え?どういうことですか?買収時の事業計画では、年商3億円と聞いていましたが」
ジャムおじさんは「それが粉飾決算で……実際の売上は半分以下で……しかも、顧客も全員離れてしまって……」
銀行の担当者は「それは困りましたね……では、融資を一括返済してください」
ジャムおじさんは「一括返済……?そんな金額、払えません……」
銀行の担当者は「では、担保のパン工場を差し押さえます」
ジャムおじさんは「そんな……」
これが、M&Aで十番目に多いトラブル「銀行が融資を引き上げ、担保を差し押さえる」だ。
11. 税務署からの「調査」と追徴課税
さらに追い打ちをかけるように、税務署から調査が入った。
事業内容等について
・バイキン城株式会社の過去の申告について、以下の点を確認させてください。
・架空売上:循環取引による売上1億円は、取り消されるべきではないですか?
・外注費:悪の秘密結社ダークネスへの支払い年間8,000万円は、実態がありますか?
・消費税:過去3年分の消費税申告に漏れがあります
追徴課税予想額:1億2,000万円(過少申告加算税・延滞税含む)
ジャムおじさんの税理士は「これは……買収前の税務リスクが表面化しています。原則として、買い手が負担することになります」
ジャムおじさんは「1億2,000万円……そんな金額、わしには払えん……」
これが、M&Aで十一番目に多いトラブル「税務リスクの表面化」だ。
12. 損害の合計
バタコさんは、すべての損害を計算した。
損害の合計
買収代金:2億5,000万円
仲介手数料:2,500万円
顧客への返金:1億5,000万円
簿外債務:1億2,500万円
ダークネスへの支払い(8年分):4億円
追徴課税:1億2,000万円
未払い残業代:2,000万円
合計:12億9,000万円
バタコさんは「おじさん……これ、どうやって払うんですか……」
ジャムおじさんは「わしには、もう払える金がない……」
13. 破産手続き
結局、ジャムおじさんは破産手続きを取ることになった。
パン工場は競売にかけられ、見知らぬ会社に買い取られた。
バイキン城株式会社も、清算された。
ジャムおじさんは、全てを失った。
バタコさんは「おじさん……私たち、どうやって生きていけばいいんですか……」
ジャムおじさんは「わしには、もう何も残っておらん……」
チーズも「ワンワン……」と悲しそうに鳴く。
14. アンパンマンが助けに来るが……
そんなとき、アンパンマンがやってきた。
「ジャムおじさん、大変なことになってるって聞いたよ!僕たちが助けるよ!」
ジャムおじさんは「アンパンマン……ありがとう。でも、わしの借金は12億円を超えておる。君たちでも、どうにもならん……」
アンパンマンは「そんな……」
カレーパンマンも「俺たち、何かできることはないのか?」
しょくぱんまんも「ジャムおじさん……」
でも、どうにもならなかった。
15. M&Aの教訓──よくあるトラブルまとめ
この物語から、M&Aでよくあるトラブルと教訓をまとめる。
【よくあるM&Aトラブル11選】
1. キーマンの即退職:買収直後に売り手や重要人物が辞める
2. 粉飾決算:売上・利益が水増しされていた
3. 簿外債務:未払い残業代、リース債務、訴訟リスク、税務リスクなど
4. キーマン依存による顧客離反:顧客が「本人じゃないとダメ」と言って離れる
5. 従業員の一斉退職:キーマンがいなくなると、従業員も辞める
6. 隠れた重要契約:チェンジオブコントロール条項で、買収後も不利な契約が続く
7. 競業避止義務の不備:売り手がすぐに同じビジネスを始める
8. 表明保証があっても回収不能:売り手が逃げて、連絡が取れない
9. 仲介者は成約後、一切関与しない:トラブルが起きても、仲介者は知らんぷり
10. 銀行が融資を引き上げる:計画と実態が乖離すると、融資が引き上げられる
11. 税務リスクの表面化:買収前の税務問題が、買収後に追徴課税として降りかかる
【買い手側がやるべきだったこと】
DDを徹底的にやる(最低3ヶ月、専門家を雇う)
財務DD:過去3年分の決算書、総勘定元帳、請求書をすべて確認
税務DD:過去の申告書、税務調査の履歴を確認
法務DD:契約書、訴訟リスク、コンプライアンスを確認
労務DD:従業員の雇用契約、未払い残業代、労働紛争を確認
事業DD:顧客契約、キーマン依存度、競合状況を確認
表明保証とエスクローで防御する
売却代金の30%をエスクロー口座に預託(2年間)
粉飾決算・簿外債務が発覚したら、エスクローから補填
税務リスクが発覚したら、エスクローから補填
キーマンとの雇用契約を必須にする
ばいきんまん本人を、買収後3年間雇用する契約
違反したら、売却代金の50%を返還させる
競業避止義務を必ず入れる
買収後3年間、同じビジネスを禁止
違反したら、損害賠償1億円
チェンジオブコントロール条項をチェック
買収後も継続される不利な契約がないか、全契約書を確認
それでも怪しければ『買わない』
DDで疑問が残る案件は、絶対に買わない
【結論】
M&Aは、『買って終わり』じゃない。『買った瞬間から全責任を引き受ける取引』だ。
DDを怠る=将来のトラブルを高値で買う行為。
本気でやるなら、税務・労務・資金流用を中心にDD。取り切れないリスクは、表明保証・エスクローで封じ込めよ。
それでも怪しければ、『買わない』が正解。
ジャムおじさんは、窓の外を見ながら呟く。
「わしは、愚かじゃった……仲介者の甘い言葉に騙され、DDを怠り、リスクを見落とした……」
これが、ジャムおじさんが学んだ、高すぎる教訓だった。 December 12, 2025
倭国の会社員がちゃんと雇用契約を意識して働き始めると、会社への忠誠心は薄くなるでしょうね。
会社が社員の身分を保障するのは雇用契約からでも愛情からでもなく、労働基準法からで、それを理解するだけでも関係を客観視できます。
また雇用契約と労働法を少しでも知れば「言われたことをするだけでいいのだ」とすぐに気がつくはずです。
これまで僕らが染まってきた「労働は尊い」「言われた以上にやるのが仕事」「会社は守るべき共同体」といった概念は、何の法的な裏付けもないフォルクローレでしかなく、甘やかな共同幻想の中で生きていたと気がつくことになるでしょう。
会社と自分を客観化し、合理性を当てはめると、最適解が見えてきます。それは、経営者や幻想に酔っている既存社員には受け入れられない解になりますが、おそらく多くの人がそうなっていく。
そうなることで、多くの会社員が契約を理解し、ちゃんと履行する、成熟した大人になっていく。
いまの倭国の会社員は、ほとんどがお子ちゃまです。それでも生きていけた時代が続いていましたが、限界を迎えつつあるのはあなたも感じていることでしょう。
大人になりましょう。その方が人生は楽しい。 December 12, 2025
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