永遠の仏・久遠実成の釈尊を尊信し、その言葉を「如来の金言」として語り続けた導師日蓮

金言(きんげん)
この言葉を辞書で確認しますと「仏の口から出た不滅の真理を表す言葉」とありますが、日蓮は法門書や門下への手紙の中で「金言」との表現を数多く記しています。

「如来の金言、仏の金言、大聖の金言、仏陀の金言、教主釈尊の金言・・・」と、「金言」というわずか二文字の用法を見ただけでも日蓮にとっての仏、即ち本仏・仏宝とは教主釈尊(永遠の仏・久遠実成の釈尊)であったことが明瞭ではないでしょうか。

このような、日蓮とその教示という原点と原典に還れば、日蓮は2200年(当時の認識として)という時空間を超えて「教主釈尊に還る＝直結」しており、まさに「教主釈尊、久遠の本仏への直参信仰を確立した導師日蓮」であることが理解できるのです。これは同時に「途中の諭師・人師の謬見(びゅうけん)＝不純物などに惑わされることなく、師匠と直に、真っすぐにつながるところに信仰と師弟の正道がある」ということを、日蓮が身を以て教えてくれたといえるのではないでしょうか。

日蓮遺文にあまりにも多く書かれている「金言」の二文字・・・・それを記述するときの日蓮の胸中はどのようなものだったのか?

「教主釈尊の真実を皆に伝えたい」
「教主釈尊の言葉に、一人でも多くの人に触れさせたい」
「教主釈尊の慈悲と智慧を皆に届けたい」

その志と情熱に胸が熱くなると共に、日蓮が語り続けた「如来の金言」こそ「久遠の光」ではないかと思うのです。

守護国家論 　正元元年（1259）
釈迦如来一代五十年の説教、一仏の金言において、権実二教を分かち、権経を捨てて実経に入らしむる仏語顕然たり。

同
また智儼・嘉祥・慈恩・善導等を引いて徳を立てて難ずといえども、法華・涅槃に違する人師においては用いるべからず。「法に依って人に依らざれ」の金言を仰ぐが故なり。

極楽寺良観への御状　文永5年（1268）10月11日
「法に依って人に依らざれ」とは、如来の金言なり。

行敏訴状御会通　文永8年（1271）7月
已今当の三説を非毀して法華経一部を讃歎するは、釈尊の金言なり、諸仏の傍例なり。あえて日蓮が自義にあらず。

開目抄　文永9年（1272）2月
また云わく「数々見擯出（しばしば擯出せられん）」等云々。日蓮、法華経のゆえに度々ながされずば、「数々」の二字いかんがせん。この二字は天台・伝教もいまだよみ給わず。いわんや余人をや。末法の始めのしるし「恐怖悪世の中」の金言のあうゆえに、ただ日蓮一人これをよめり。

同
仏語むなしからざれば、三類の怨敵すでに国中に充満せり。金言のやぶるべきかのゆえに、法華経の行者なし。いかんがせん、いかんがせん。
そもそも、たれやの人か衆俗に悪口・罵詈せらるる。誰の僧か刀杖を加えらるる。誰の僧をか法華経のゆえに公家・武家に奏する。誰の僧か「しばしば擯出せられん」と度々ながさるる。日蓮より外に倭国国に取り出ださんとするに人なし。

四条金吾殿御返事（梵音声の事）　文永9年（1272）9月
教主釈尊は一代の教主、一切衆生の導師なり。八万法蔵は皆金言、十二部経は皆真実なり。

単衣抄　建治元年（1275）8月
日蓮、倭国国に出現せずば、如来の金言も虚しくなり、多宝の証明もなにかせん。十方の諸仏の御語も妄語となりなん。仏の滅後二千二百二十余年、月氏・漢土・倭国に「一切世間多怨難信」の人なし。日蓮なくば、仏語既に絶えなん。

御衣並単衣御書　建治元年（1275）9月28日
仏の滅後に法華経を信ずる人は「一りとして成仏せざることなけん」、如来の金言なり。

報恩抄　　建治2年（1276）7月21日
人死して後色の黒きは地獄の業と定むることは、仏陀の金言ぞかし。

下山御消息 　建治3年（1277）6月
たとい日蓮をば軽賤せさせ給うとも、教主釈尊の金言、多宝・十方の諸仏の証明は空しかるべからず。

千日尼御前御返事　弘安元年（1278）7月28日
この語は私の言にはあらず、皆、如来の金言なり。十方の諸仏の御評定の御言なり。

兵衛志殿御書　弘安元年（1278）9月9日
この大悪法は、弘法・慈覚・智証の三大師、法華経最第一の釈尊の金言を破って法華最第二・最第三、大日経最第一と読み給いし僻見を御信用あって、今生には国と身とをほろぼし、後生には無間地獄に堕ち給いぬ。

法衣書　弘安3年（1280）
「要ず当に真実を説きたもうべし」は教主釈尊の金言、「皆これ真実なり」は多宝仏の証明、「舌相は梵天に至る」は諸仏の誓状なり。

写真は「我が家の風景」(AI林夫妻) December 12, 2025