誤認逮捕 トレンド
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2025.11.30 20:00
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❷ 間違えられた男にほぼ間違えられた男
保釈の期限内で ベース弾きの仕事を終えて ミルクの瓶を持って帰宅 眠る子供たち 妻は暗闇の椅子に腰かけ 黒い服を着て 黒でなくてもよかった 眠れないと呟く 肩を抱こうとする夫から反射的に飛びのき 怯えが 震えが 怒りの加速が 暴走であり 泣き笑いであり 慟哭 叫び 夫が近づく 妻の手に固いブラシが 棒でもよかった 夫の額を打つ 傷口が 赤く 垂れ ミラー割れる 無言の夫が 動かない夫が 鎮まる妻であり 距離を縮め 夫の頬に自分の頬を寄せる妻の
カウンセリング 医師は妻のサナトリウム行きを告げる 夫の車に乗せて 妻は乗せられて 逆らわずサナトリウムの奥へ 奥まったその奥へ サナトリウムの外は広い庭であり ゆっくりと歩く人々の 木々の 草の 風の 匂いが 湖の見える丘であり 下っていく間違えられた男であり 間違えられた男にほぼ間違えられた男であり 一人になり
裁判 検事対弁護士 保険の女三人の 三人の店主の証人尋問 六人なのか 時間がかかる 三人か 十人か 数が茫漠として 目が 耳が 尖って 溶けて 法廷に人が多い 息ができない 陪審員たちの無言が 男の母の涙が 判決を待つあいだに
雑貨店 夜 ハット コート姿の男 コートのポケットに手を突っ込み ピストル所持のかたち 金を出せ 店の肥えた女 ナイフを手に 床を強く踏む音響き 店の奥から女の亭主の細身の店主が 男を背後から羽交い絞めであり 女は警察に通報する 逮捕 間違えられた男の類似であり 真犯人であり 保険の女三人の面通し 三人の店主の面通し 真犯人に間違いありません 間違えられた男にほぼ間違えられた男の無実の判明であり 晴れて
警察の廊下で 真犯人の男と間違えられた男にほぼ間違えられた男の対面であり 無言のすれ違いであり ハットとハットの類似であり コートとコートの類似であり 骨張った顔と骨張った顔の類似のすれ違い 真犯人の無言に 無言ではなかったかもしれない 間違えられた男にほぼ間違えられた男がなにかメッセージを発し わずかに廊下が揺れ すれ違う
真犯人の間諜の顔が 何重もの顔が 変装に次ぐ変装であり 間違えられた男に変装であり 類似であり 職務を離れて強盗 誤認逮捕のあいだに逃走 結果敵を欺き 身を隠し 身を現し まぬけな逮捕による暴露であり 正体が取り調べ 調書 裁判 判決に至るあいだに正体は 円弧 曲がっていく 正体は見えるのか 見えないのか 元の顔が 現れる 元の顔が元でなかったとしても だれかの顔であり 類似の
間違えられた男にほぼ間違えられた男は妻を迎えにサナトリウムを訪れる 無言の妻に真実の解明を伝える 無実が 無言に溶けていく 時間がかかる ゆっくりと回復するまで 無罪であり 春のやわらかな日差し
#詩 339/2025.11.26/X
✳️この詩、最後まで読むのは忍耐要るかも、でも、この詩の《二重性》の更なる《ほぼ二重性》の、《大まかな四重性》は残しておきたい試み
❶❷に分離したのは1ポストだと文字オーバーで。空白入れて計2800字ぐらい。5000字まで入るはずなのに何故?
Firenze November 11, 2025
1RP
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