福島第1原発 トレンド
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2025.12.03 12:00
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裏で新潟県知事の説得に動いた、岸田、二階
ワシは心より感謝。
原発・出口なき迷走:「国策」原発再稼働 お忍びで岸田氏が新潟入り 知事の「師」も暗躍 | 毎日新聞 https://t.co/oP7B6npXCZ
「国策」として進められてきた原子力発電所の再稼働の判断を巡っては、国や電力会社、地方自治体のさまざまな思惑が交錯する。新潟県知事が再稼働容認を表明するまでの過程では、どのような働きかけがあり、「県民の信」はどう作られたのか。一連の動きをみると、原発政策を巡る国の役割や責任のあいまいさ、いびつさも浮かび上がってくる。
今年5月、新潟市内の懐石料理店である極秘会合が開かれた。会合の主役は岸田文雄元首相で、お忍びでの来県だった。岸田氏を後援する新潟の企業経営者が囲んだ形だが、その場には花角英世知事も参加していた。
岸田氏は首相在任中に原発回帰の方針を打ち出し、東京電力福島第1原発の事故以降停滞していた原子力政策を推し進めた。柏崎刈羽原発の再稼働を花角氏が容認するかが焦点となっていただけに、「再稼働に向けた布石の会合だ」(関係者)といった臆測も呼んだ。
水面下ではもう一人の大物政治家も暗躍していた。
花角氏が官僚時代に秘書官として仕え、師弟関係にある自民党の二階俊博元幹事長は、経済産業省が長らく花角氏とのパイプ役として頼ってきた人物だ。2024年に政界を引退した後も地方の議員らへの影響力を保っており、国は二階氏を通じて県民投票や知事選で再稼働の是非を問う必要を主張している自民の有力県議に翻意を促すなど動きを進めた。
グループインタビューで記者の質問に答える二階俊博・元自民党幹事長=東京都千代田区で2024年10月9日午後4時51分、新宮巳美撮影
政界の動きと連動するように、資源エネルギー庁の幹部らの動きは強まり、自民県議団に「県議会こそ民意の代表だ」という説得を続けた。
「県民の信を問う」とは?
「ラストチャンスだった」
国は県議会から「信」を得させる形で、花角氏が再稼働の容認表明をしやすくする環境作りに躍起になっており、来年6月に任期満了を迎える花角氏への包囲網をじりじり狭めてきた。
花角氏は18年の知事選の際、再稼働に関して「結論を得て『県民の信を問う』」と明言した。その手法についてこれまで明らかにしたことはなかったが、有力な選択肢とみられていたのが県民投票や選挙だった。とりわけ、花角氏は任期途中で辞職し、再稼働を争点にして県民に問う「出直し知事選」に打って出ることを模索し続けてきた。
「悪夢のシナリオ」
しかし、国や東電としては知事選は最も避けねばならない選択肢だった。
野党が強い地盤を持つ新潟県。昨年10月の衆院選では五つの小選挙区全てで自民が敗北した。今年7月の参院選でも立憲民主党の現職が再選し、自民は敗れた。
知事選になれば「再稼働の是非」というワンイシューで戦うことになるのは必至だ。再稼働に慎重な態度を示していた米山隆一前知事(現立憲衆院議員)が出馬する臆測が絶えないなか、仮に選挙で花角氏が野党系候補に敗れて再稼働が遠のくのは「悪夢のシナリオだ」(経産省幹部)として、国は知事選は避けたいのが本音だった。
柏崎刈羽原発の再稼働を巡る動き①
福島の原発事故後、政権は国政選挙や安保法制整備などへの影響を恐れ、柏崎刈羽再稼働に介入することを控えてきた。
しかし、23年12月の原子力規制委員会による事実上の運転禁止命令解除を受け、24年3月には資源エネルギー庁の村瀬佳史長官が新潟県庁を訪れ、花角氏に再稼働への理解を求めた。県内28市町村で再稼働の必要性を訴える国の説明会を開いた。
今年10月の県議会には、村瀬氏と東京電力ホールディングス(HD)の小早川智明社長が出席。再稼働を前提に今後10年間で計1000億円の拠出と、1、2号機の廃炉検討を表明した。さらに花角氏が求めていた避難路の整備費用を全額国が負担する方針を示した。
柏崎刈羽原発の再稼働を巡る動き②
大物政治家の働きかけや新潟県への支援拡充などの動きの積み重ねが11月21日の花角氏の再稼働容認表明につながった。石破政権の幹部は「準備を重ね、原発を再稼働する政府方針は決まっていた。新潟県が判断するための手順が大切だった」と説明。このタイミングでの表明は前政権からの既定路線だったと打ち明けた。
12月2日の新潟県議会には再稼働に伴う、安全対策や防災対策を県民に周知するための広報費などを計上した補正予算案が提案された。議会の多数を占める自民県議団の賛成で可決される見通しで、再稼働を容認した知事の判断について、事実上「信任」を与えるのは確実とみられる。
これにより、順調に進めば来年1月中にも再稼働が可能となる見通し。知事の任期満了が迫る同6月には営業運転される見込みで「一度再稼働してしまえば、知事が代わってもひっくり返すのは困難だろう」(東電幹部)という狙いも働いた形での決着だった。
ただ、県民意識調査で明らかになったように、再稼働の賛否は県民世論が二分されていることには変わりはない。県関係者によると、花角氏自身は今秋まで知事選で信を問う必要性を感じていたが、結局は「国策なのに、選挙で県民に決めさせるのはおかしい」(経済官庁幹部)という国の論理に押し切られてしまった格好だ。【古川宗、高田奈実、木下訓明】 December 12, 2025
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