【島がしらって、なんなんだ？】

新潟市南区新飯田。
新飯田小学校の横に、「島がしら」と刻まれた石碑が立っています。
「新飯田中学校跡」は分かる。
でも、島がしら…？

実はこれ、新飯田という土地の“正体”をそのまま表した言葉です。
南区の旧白根市エリアは、信濃川と中ノ口川に挟まれた、巨大な「島」のような場所です。

そして新飯田周辺は、その島の端、すなわち「頭」にあたる部分。
だから「島がしら」。

ところが現在、信濃川と中ノ口川が分かれる場所は、もっと上流の燕市にあります。
今の地図だけを見ると、ここが「頭」とは、とても思えません。

けれど、標高や河川の変遷図を重ねてみると、この新飯田付近で信濃川と中ノ口川がつながっていた痕跡が、はっきりと浮かび上がります。
田んぼのゆるやかなカーブ。
わずかな高低差。
不自然に曲がる道。
それらはすべて、かつて川だった記憶です。

三条市との境界線がどこか不思議な位置にあるのも、行政の線ではなく水の流れが土地を分けていた名残なのかもしれません。
中学校は合併して、川の流れも変わりました。
それでも「島がしら」という言葉だけは、ここが「水とともに生きてきた場所」だということを、今も静かに伝えています。

何気なく通り過ぎてしまいそうな石碑ですが、新潟平野の長い記憶をたどる、小さな旅のスタートになりました。 December 12, 2025

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